WOWOWは、野木亜紀子脚本、松岡茉優と宮本エリアナW主演による連続ドラマ『フェンス』を2023年春に放送・配信する。

  • 松岡茉優(左)と宮本エリアナ

今回、野木が描くのは、2022年に本土復帰50年を迎え、今も世界最大規模の米軍基地を抱える沖縄の現在。松岡演じる東京から来た雑誌ライター「キー」と、宮本演じる沖縄で生まれ育ったブラックミックス「桜」がバディとなり、ある性的暴行事件の真相を追う。ジェンダーや人種、世代間の違い、沖縄と本土、日本とアメリカなど、さまざまな"フェンス"を乗り越え、人と人が分かり合う姿をオリジナル脚本で描くエンターテインメント・クライムサスペンス。

松岡は「さまざまな立場の人がいて、それぞれに見えている景色が違って、描き方の難しい作品です。でもやっぱり、むやみに誰かを傷つけることは絶対に避けたいから誠実に向き合って答えのない答えを見つめたいと思います。もれなく私も野木さんの作品のファンですが、台本を拝読したのは初めてで、今まで楽しく見ていた作品の諸先輩がたはこのプレッシャーを乗り越えてお芝居されていたのか、と唸っています。野木さんからの俳優に対しての信頼が、ぎりぎりと音を立て詰まっていました。努めて、務め上げたいです。相棒となる宮本エリアナさんと共に知らない人には知ってもらう、知ってる人は傷つけない作品を作れたらと思っています。見守っていただけたら嬉しいです」とコメント。

宮本は「野木亜紀子さんらしいテンポの速さと、ストーリーの展開にさすがだなと思いました。私が演じさせていただく大嶺桜は、ミックスの子ならではの自身の悩みや葛藤があり、脚本を読みながら自分の幼少期の気持ちとリンクする部分がたくさんあるなと感じました。また、沖縄の抱える問題や、女性の抱える苦悩がギュッとこの作品に込められている印象です。SNSが当たり前の現代、そのSNSやメディアの裏ではどのような出来事が起こっているのか? どんな現実があるのか? 何が正しくて何が間違いなのか? そして、私たちには何が出来るのか? さまざまな視点から考えさせられる作品になっていると思います。ぜひみなさまに見ていただきたいです!」と語る。

そして野木は「かつて報道記者として沖縄に住んでいたという北野拓プロデューサーから『沖縄が舞台のクライムサスペンスを作りませんか』と言われたのが2020年の夏。そのときは『とてもじゃないけど背負えない』と断りました。翌年に普天間出身の高江洲義貴プロデューサーが加わり企画が通り、取材を始めたものの、『こんなに複雑で重い荷物をどうしたらいいのか』と幾度も挫けました。この『複雑で重い荷物』 は、沖縄が否応なしに背負わされてきたものであり、日本という国の縮図でもあります。取材の中で私は、たくさんの悲しみに触れ、たくさんの闘う女性たちに励まされました。この物語は悲劇ではありません。キーと桜が悲しみをぶん殴り、フェンスに挑む話です。今、多くの人に見てもらいたいです」と、本作の制作の経緯と共に作品への思いを述べている。