ホラー×ループ×青春の物語が話題となりヒット中の映画『カラダ探し』(公開中)。同作はウェルザード氏による人気携帯小説の実写化作で、主人公・森崎明日香(橋本環奈)はある日幼い少女から「私のカラダ、サガシテ」と不気味な言葉を言われ、幼なじみの高広(眞栄田郷敦)、そしてクラスメイト4人(山本舞香、神尾楓珠、醍醐虎汰朗、横田真悠)と共に“赤い人”に殺される7月5日を迎え続ける。明日を迎える唯一の方法は、校内に隠されたとある少女のバラバラにされた“カラダ”をすべて見つけ出すことだった。

今回は、高広役の眞栄田にインタビュー。いい意味で「日本ぽくない」と語る今作についての印象や、自身の状況、そして芝居に対する思いの変化などについて話を聞いた。

  • 眞栄田郷敦 撮影:友野雄

    眞栄田郷敦 撮影:友野雄

■作品を見て「こんな青春なかったな」

――オファーを受けた時の率直な思いはいかがでしたか?

僕は、羽住(英一郎)監督の映画『OVER DRIVE』の関係者試写に行かせてもらったことがきっかけでこの仕事を始めたんです。だから気合いが入りましたし、ホラー作品も初めてで楽しみでした。高校生ならでは繊細なお芝居もあり、アクションもあり、芝居の部分も試せるというところで、早く撮影したいという思いでした。

――ホラーでありつつ、かなり物理的に戦っている場面が多かったり、アクション要素の強い面白さがある作品でした。

いい意味で、日本のホラーっぽくない魅力がありますよね。観終わった後に「1人でトイレ行けない」みたいなことがない(笑)。アメリカンホラーに近いというか、僕は幼少期に映画館に行ってワクワクする気持ちを思い出しました。すごく懐かしい気持ちになったし、テンポ感とか音楽の入れ方とかも、エンターテイメントとして楽しめるホラーだと思います。

――青春も描かれていましたが、ご自身の高校時代と比べてみたりするといかがでしたか?

やっぱり、完成した作品を見た時に「いいな」「俺、こんな青春なかったな」と思いました(笑)。海でみんなとはしゃいでたりしてるシーンなんか、本当にうらやましい。高校生の頃は音楽の道を目指していたので、もう遊ぶ余裕なんてありませんでした。プロになるための練習をして将来のために自身を追い込んでいたので、青春と言えるようなことはしていませんね。映画の中の6人は命をかけてる状況ということもあって、信頼関係が生まれているし結束力があって、この人数でこんなに仲良く深い関係になれることってなかなかないと思うんです。本当にいい6人だなあと思いました。撮影を思い出して、僕も5人に会いたくなりました。

――そうやって会いたくなるということは、作品に挑む時には命かけるくらいの気持ちで仲間ができるということでしょうか?

作品には、命かけてるかもしれないですね。

――ちなみに、高校生の時は高広のようにモテてはいました?

いやあ、そんなことないですね! 今は落ち着いているねって言われるんですけど、中高生の時はそんなに落ち着いていなくて、ついかっこつけたんです。かっこつけるやつはモテないというのを、卒業してから知りました(笑)

■役や作品への姿勢には変化

――高広はかっこつけていないけどかっこいい、というような魅力があるように思いますが、演じている時にはいかがでしたか?

今回のお話をいただいてまず漫画版を読んだんですが、原作や漫画版だとけっこうグレている感じの役だと思っていたんです。そしたら、脚本が来た時に「めっちゃイケメンになってるじゃん!」とびっくりして。でも、仕草や人との接し方について、みんなの前にいる高広と、1人でいる高広、明日香と関わる高広のバランスがあって演じがいがありましたし、かっこよさや人気者の雰囲気はちょっと研究しました。

――どういうところを研究したんでしょうか?

見え方かな? メイクさんにも相談しましたし、さりげないかっこよさを頑張りました(笑)

――以前橋本さんと共演された『午前0時、キスしに来てよ』の時は、眞栄田さんがけっこう弟キャラというか、いじられキャラ的なところがあったと思いますが、その後いくつも主演作を経験されたりして、変化はありましたか?

まだいじっていただいています(笑)。みなさん、僕のことを心配してくださってるみたいで……たまに「天然ぽい」とも言われるんですが、自分ではあまりわかっていないんです。それこそ環奈さんと共有した『0キス』は映画出演2作目で、いっぱい悩んで自分のことに精一杯でした。

今でもすごく悩んではいるんですが、最初の時を振り返ると、何にそんな悩んでいたんだろうと思ったりもするんです。今の悩みは役を知れば知るほど出てくる悩みであり、脚本を読み込めば読み込むほど考えることが出てきて、いろんな人の意見も聞きたいし、周囲にも相談しがいがあります。でも、演技を始めたての時はそこまで深く考えていない、というよりもとにかく何をすればいいのかもわからない段階だったので、自分なりに役や作品に向き合えるようになったことが、変化なのかもしれません。

今は役をできるだけ深掘りしたいし、求められることにできるだけ応えたいし……ただ、今持っている悩みの方がずっと続くものだと思います。理想や目標はどんどん高まっていくだろうし、この仕事を始める前に観ていた映画も、今観ると全然思うことが違ってきます。知識も見えるものも増えていくので、それに伴って理想も高くなって、エンドレスだと思います。

――そんな変化に伴って、眞栄田さんへの注目度もどんどん上がっているように思います。

今『東京リベンジャーズ』の続編を撮影しているんですが、「前作よりも注目されるようになったよね」と言われ、初めて「世の中からそう見えてるんだ」と実感しました。でも、僕の中ではそんなに変わってないんです。ファンの方からのお手紙などで反応をいただくことはありますし、それは嬉しいことなんですけど、周囲を気にしすぎずやっていけたらと思います。

■眞栄田郷敦
2000年1月9日生まれ、ロサンゼルス出身。2019年に映画『小さな恋のうた』で俳優デビュー。主な出演作に映画『午前0時、キスしに来てよ』(19年)、『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』『東京リベンジャーズ』(21年)、ドラマ『ノーサイド・ゲーム』(19年)、『私の家政夫ナギサさん』(20年)、『プロミス・シンデレラ』(21年)、主演ドラマ『星になりたかった君と』(21年)、『キン肉マン THE LOST LEGEND』『レンアイ格闘家』(21年)などがある。