LIFULL(ライフル)が運営する不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」はこのほど、過去3年以内に注文住宅を建てた500人にアンケートを行い、満足できるマイホームの鍵をまとめた。

同調査は2022年8月26日~8月30日、過去3年以内に土地を購入して注文住宅を建て、注文住宅の検討に一定関与した20〜69歳の男女(学生を除く)500人を対象に、インターネット調査にて実施した。

  • 注文住宅を建てた500人に、満足できるマイホームの鍵を徹底調査!

円安と物価上昇による生活への影響や自然災害への意識の高まりにともない、夢のマイホームの建て方にも変化が出ているようだ。

  • 性能重視の傾向。会社選びの決め手の第1位は「担当者との相性」、「住宅性能」が第2位に

注文住宅を建てることを思い立ってから、理想の家が建つまで、重要になるのはどの建築会社を選ぶのか、となる。最終的に会社を選ぶ決め手で一番多かった回答は、「担当者との相性」(41.4%)だった。2位は僅差で「住宅性能(高気密・高断熱、省エネ)」(39.7%)が続いた。

特に注目すべきポイントは、この2位の「住宅性能」。生活における快適さはもちろんのこと、資源・エネルギー価格の上昇、環境意識の向上が進む中、住宅性能に重きをおくことで、光熱費の削減をはじめ、長い目で見た時のランニングコストの効率化、環境へ配慮する人が増えてきていると考えられる。

また、2022年度は住宅ローン控除やこどもみらい住宅支援事業など、住宅の省エネ性能に応じた控除額や補助金もあるため、費用面を重視する人においても取り入れやすくなったことが想定される。

なお、2022年10月より、ZEH水準の住宅に対し、借入金利を一定期間引き下げる制度【フラット35】(ZEH)が加わるなど、省エネ住宅への優遇が加速していることも注目したいポイントとなる。

  • 事前の条件整理が鍵! 会社に問合せる前にやった方がいいことは「希望条件整理」と「費用試算」

“家を建てる会社や不動産会社に連絡する前"に行った方がよいことを聞いたところ、「希望条件の整理をする」(46.7%)、「住宅の購入に使える費用を試算する」(40.7%)が多い結果となった。

実際の購入者からは、「家を建てることについてほとんど下調べをしていなかったので、担当者の提案に乗る形で家づくりが進んだ。結果的には、至る所で自分たちの思っていた広さやデザインではなく……。もっと自分達でちゃんと勉強してから家づくりを始められたらよかった」「どんなお家にしたいのかは同居家族と話し合っておいた方がいい。どんな構造を取り入れたいのか、イメージをしておいたほうがいい」などといったアドバイスがあった。

  • 比較で会社を見極める! モデルハウスの見学数は「4〜5軒」、見積もり依頼は「2〜3社」が最多

モデルハウスの見学数で最も多かった回答は「4〜5軒」(32.2%)。一方、見積もりを依頼したのは「2〜3社」が45.2%で最多となった。見積もり依頼よりも、モデルハウスの見学数のほうが多いことから、モデルハウスを見積もりの判断材料やプラン検討にも利用したことがうかがえる。

  • 購入者のボリュームゾーンは年収400〜600万円未満が最多。次いで600〜800万円未満

注文住宅の購入者で、年収のボリュームゾーンが最も多いのは400〜600万円未満で「26.5%」。次いで、600〜800万円未満が「25.4%」となった。800万円未満の購入者が実に約6割という結果となっている。

  • 安さと満足度は反比例!? 価格の安さを一番重視した人は満足度が最も低い結果に

  • 想定予算よりも購入額が高くなった人は約7割

注文住宅を建てた人の8割以上が「満足している」と答えた。しかし、「価格の安さ」を重視して会社を選んだ人は、建てた住宅の満足度が低い結果となった。会社選びにおいて安さだけで選ぶと、住み始めてから後悔することにつながるようだ。なお、想定予算よりも実際の購入額が高くなったという人は約7割。多くの人が予算よりも高くなりがちなため、費用が膨らまないよう、優先順位をつけて進めることが重要となる。

また、予算よりも高くなったと答えた人の中で、100〜300万円未満のアップが最多だった。さらにこの人たちが予算を下げるために工夫した点として最も多かったのが「家の形状をシンプルにした」、次いで「不要な設備を削減した」となった。予算と向き合いながら、本当に必要な点と妥協できる点を見極めながら取捨選択していくことが重要となる。

  • やってよかったことは「税金・助成金」「住宅ローン」の活用などお金に関するものが上位に

やってよかったと思っていることの1位は「税金・助成金などをしっかり利用した」(32.9%)、続いて「施行会社に自分の意見をちゃんと伝えた」(30.7%)、「自分に合った住宅ローンを組んだ」(29.5%)となり、1位と3位にお金に関する項目がランクイン。想定予算よりも高くなりがちの注文住宅だからこそ、助成金や住宅ローンを上手く活用していくことが求められそうだ。

  • 住んでからのイメージが重要!こだわったポイントは「間取り」「生活動線」「収納」

注文住宅を建てるうえで、非常にこだわったポイントは、「間取り」が42.1%で最も高くなった。次に多かったのが「生活動線」(35.7%)、「収納」(30.8%)で、日々の暮らしに密接な部分にこだわったことがうかがえる。

今回の調査結果を受けて、LIFULL HOMES総研 副所長&チーフアナリスト 中山登志朗氏は、以下のようにコメントしている。

  • LIFULL HOMES総研 副所長&チーフアナリスト 中山登志朗氏

注文住宅は施主の希望を最大限反映できる建築手法ですから結果的に満足度も高いのですが、今回の調査では、間取りやデザインなど設計・意匠面の優位性よりも住宅性能の高さといった機能面や、プランニングを一緒に検討してくれる担当者の存在が重視される“意外な"結果になりました。
 
円安による物価高騰の影響で資材価格が上昇しても、注文建築ユーザーの環境保全に対する意識は高いこと、また住宅はハードだけでなくソフトも重要な要素であることを物語っています。
 
地球温暖化防止のために自分ができること=住宅の省エネ・断熱性能を高める意識、同時にそれを実現・サポートしてくれるパートナーの重要性が浮き彫りになる結果となりました。