ナビットはこのほど、全国の主婦を中心としたモニター会員1,000人を対象に「ご近所付き合いについて」のインターネットによるアンケート調査を実施した。

  • 「ご近所付き合いについて」のアンケート調査を実施

戦後間もない1947年から1953年にかけて『向こう三軒両隣』というホームドラマがNHKラジオで放送された。

「向こう三軒両隣」とは、自分の家の向かい側の3軒と両隣の2軒のこと。かつては治安維持のためにつくられた隣組の単位になったこともあるが、ドラマでは「向こう三軒両隣」の人々の姿によって戦後日本の民主化の様子が明るく描かれていた。

いまでは若い人の間では聞かれなくなった言葉だが、引っ越しの際の挨拶の目安にもなっている。マンションなどの集合住宅では向こう三軒はないので、代わりに生活の音が伝わりやすい両隣と上下の4軒が基本とされているようだ。

  • 質問:ご近所の方をどの程度知っていますか?

「ご近所の方をどの程度知っていますか?」と聞いた。「人柄事情」や「家族構成」、「顔や名前」を知っている程度の人を合計すると8割近くを占めているが、「家にあげたり仲良くしている程度」はわずか4.8%。「顔や名前を全く知らない」との回答が18.1%ある。

  • 質問:ご近所付き合いは得意ですか?

「ご近所付き合いは得意ですか?」という質問に対しては、「とても得意」と「どちらかといえば得意」を合わせても12.8%。一方、「とても苦手」と「どちらかといえば苦手」の合計は48.6%と半数近くもある。

  • 質問:どの程度のご近所付き合いがよいと思いますか?

ご近所付き合いの程度については「あいさつをする」程度がよいと考えている人が46.3%と半数近くを占めた。「立ち話をする」(23.6%)、「すれ違ったときに会釈をする」(17.1%)と合わせると87%に達する。

  • 質問:ご近所付き合いは必要だと思いますか?

ご近所付き合いは49%が「必要だと思う」と回答したのに対し、「必要だと思わない」は8.8%にとどまっている。

フリー回答にて、「ご近所と良好な関係を保つために、気をつけていることは何ですか?」と聞いた。こちらの回答でも、「あいさつ」と回答した人が300人近くと最多となった。このほか「深入りしない」、「音に気をつける」、「ルール、マナー、モラルを大切に」などの回答が目立った。

以下に、回答の一部を原文のまま紹介する。

・「基本的な取り決めを守る 丁度よい距離感を保つようにする最低限の挨拶の励行 気さくな態度」
・「お隣の家とは、携帯番号を教え合い、何かあったときに助け合う約束をしています。ご近所の十数軒とは、自治会の当番を順番に受け、回覧板を回すなどの役を務めています」
・「ご近所付き合いをしたいと思っているが、転勤族なので全く知り合いもできず、今までご近所の方と会話すらしたことが無い。どうやったら関係性を築けるのか知りたい」

  • 国の調査でも近所付き合いは年々低下傾向に

国による「地域での付き合いの程度に関する意識調査」によると、近所付き合いの程度は都市・地方を問わず低下している。

上表は1975年と2018年を比較したものだが、「よく付き合ってる」割合は町村が約3分の1に、大都市は半分以下に激減。「ある程度付き合ってる」は町村で倍増、大都市で微増となっている。

この背景としては、(1)少子高齢化、(2)共働き世帯の増加、(3)単身者世帯の増加といった社会構造の変化が挙げられる。さらに、直近ではコロナ禍も「ご近所付き合い」の希薄化に影響を与えているものとみられている。