熊本電気鉄道は、合志市の御代志地区土地区画整理事業にともない、御代志駅と再春医療センター前駅を移設。10月10日から新駅の営業を開始した。御代志駅では駅舎と駅前広場が整備され、ホームは1面2線にすることも可能な構造(現在は1面1線)になっている。

  • 移設後の御代志駅を発車する藤崎宮前行の列車

移設前の御代志駅は、かつて島式ホームで駅舎もあったとのことだが、後に1面1線の無人駅となり、1986(昭和61)年の御代志~菊池間廃止で終着駅に。ホーム上で菊地方面からのバスと列車(藤崎宮前~御代志間)の対面乗換えが可能な駅だった。

2018年、合志市による御代志地区土地区画整理事業がスタート。国道387号沿いにあった線路と駅を移設することで、沿線土地利用が可能な大街区を創出し、商業施設を立地誘導するほか、御代志駅の交通結節機能向上も図るとしている。

10月10日に開業した新線は、熊本高専前~再春医療センター前間の中間あたりで旧線と分かれ、列車は徐行しながら移設後の新駅へと進む。再春医療センター前駅は旧駅と同じく1面1線の無人駅だが、熊本再春医療センター等の施設との距離がより近くなり、バリアフリー対応としてスロープが設けられた。ただし、国道387号沿いにあった旧駅に対し、新駅から国道387号に出る場合は熊本再春医療センターと新設の道路(御代志木原野線)を通る必要があるため、遠回りなルートになる。

  • 熊本高専前~再春医療センター前間で旧線と分かれ、新線へ

  • 移設後の再春医療センター前駅。スロープが設置された

  • 再春医療センター前駅を発車した列車が徐行しながら通過

  • 再春医療センター前駅の旧ホーム。「移転しました」の案内があった

御代志駅は旧駅から南へ約200mの位置に移設された。ホームは2両編成の列車に対応した1面1線の行き止まり式で、1線増やして1面2線とすることも可能な構造になっている。ホームから改札を通って駅前広場まで、段差なしで移動できる点も特徴。移設後の御代志駅は有人駅となり、これまでなかった定期券等の販売窓口機能も設置された。駅舎は既存の木立の中に佇むデザインだという。

駅前広場は交通結節拠点をめざし、鉄道・バスの乗換えやタクシー利用、車での送迎などに使いやすい空間として整備された。ホームから改札を出てすぐの場所に身障者用の乗降場があり、他にタクシーのりばと一般車乗降場を用意。バス停も新駅の駅前広場に移設され、駅舎に近い1番のりばを菊地方面、隣の2番のりばを桜町バスターミナル・熊本駅方面などのバスが使用する。

  • 移設後の御代志駅ホームは1面1線だが、1線増やして1面2線とすることも可能な構造に

  • 有人駅となった御代志駅の駅舎

  • バス停も駅前広場に移設された

  • 菊地方面のバスが駅前広場に

利用者の快適性向上のため、身障者用の乗降場とバス停に屋根も整備。トイレはバス停付近にあり、広くきれいになった。その他、ロータリー内にバス待機場と短時間駐車場が設置されている。

御代志駅では10月10日に新駅開業を祝う式典が開催され、あわせて「MIYOSHI」モニュメントの除幕式も行われたという。モニュメントは国道387号に面した場所に置かれ、手前に旧線の線路があったが、すでに撤去された。10月9日の終電後、国道387号から新駅の駅前広場へ進入する道路の工事が行われたとのこと。新駅の200m先では、旧駅のホームがほぼそのままの状態で残っていたが、すでに撤去工事が始まっている様子だった。

  • 駅前広場に一般車乗降場やタクシーのりばも設置されている

  • 「MIYOSHI」モニュメントも設置

  • モニュメントの手前にあった旧線の線路は撤去された

  • 御代志駅の新駅から旧駅まで約200m離れている

  • 旧駅が島式ホームだった時代の名残が見られる

  • 御代志駅の旧ホームにも「移転しました」の案内があった

熊本電気鉄道は御代志駅と再春医療センター前駅の移設に合わせ、10月10日から一部区間で鉄道運賃を変更した。各駅で運賃変更に関する掲示があり、韓々坂~御代志間を440円から410円、坪井川公園~御代志間を390円から360円、亀井~御代志間を310円から280円、黒髪町~再春医療センター前間を390円から360円、三ツ石~再春医療センター前間を170円から160円に値下げするとともに、これらの区間の通勤・通学定期も変更すると案内していた。