――本作で、ご自身にとって挑戦だったと感じていることを教えてください。

岸井:今までにないということでは、肩車ですね。あと、ワイヤーアクションをしていて、初めてでした。

香取:見た人は「どこで?」と思うかもしれないですけど、ワイヤーアクションをしているんです(笑)

――香取さんにとっての挑戦は?

香取:カッコ悪くすること。カッコ悪い役でも、カメラの前だとカッコつけてカッコよく映ろうとしてしまうのですが、それを極限までなくす。やっていて面白かったですし、楽しかったです。

――カッコ悪くするために工夫したことはありますか?

香取:ちょっと運に任せるところもありました。歩いているときにたまたま足が絡まってコケないかなとか、スマホをポケットから出すとき引っかからないかなとか。でも、いろんな経験値できれいに出しちゃうんですよ。きれいに一番いいところに出してしまうところを、そうじゃなくしようとするのは楽しかったです。

――岸井さんは裕次郎のダメ夫ぶりをどう思いましたか?

岸井:ムカつきましたが、お互いに問題があるなと。言えばいいのにってすごく思いました。プロテインのことで「成分なんて違わないだろうな」って心の中で思っていて、「変わんなくない?」って言えばいいのにと。でも、「いい意味で」とか言ってくるのが面倒くさいから心の中に留めているんだろうなとも思いました。何かと「いい意味で」って言われたら私も嫌です。

香取:監督が演出しているときに「いい意味で」って言った瞬間があって、その瞬間に2人で目を合わせて、監督に「今言ったのマジですか!?」って言ったら「あ……」って(笑)。監督自身が入っている男だから、裕次郎のことをダメって言えば言うほど、監督のことをダメって言っているみたいな。でも実際、口癖みたいです。

岸井:それで奥様に怒られているらしいです(笑)

――カッコ悪い役への挑戦は香取さんにとってどんな経験になりましたか?

香取:これまでカッコいい役や前向きな男を演じさせてもらうことが多かったですが、今回本当にダメなヤツだなって思う男だったので、苦手なお芝居だけど、これで終わりたくないので、もうちょっとちゃんとした男を演じたいなと思いました。

――お芝居に苦手意識が?

香取:お芝居は一番苦手です。歌やバラエティなどいろんなことやっている中で。ほかのものは自分で作っている部分が……絵も自分で描いていて、バラエティもスタッフと一緒に作っているところがありますが、お芝居は一番作られている中に入っていく感じがするので緊張しますし、セリフも与えられたセリフなので苦手です。でもずっとやり続けているから本当に嫌いではないんだろうなと。

――苦手意識を克服したいですか?

香取:克服しようとは思ってないです。こんな苦手な僕でも声をかけてくれる人がいるならばと思ってずっとやらせてもらっています。

■香取慎吾
1977年1月31日生まれ、神奈川県出身。1991年にCDデビューし、『NHK紅白歌合戦』に23回出場。2017年9月に稲垣吾郎、草なぎ剛と「新しい地図」を立ち上げた。近年の主な出演作は、ドラマ『家族ノカタチ』(16/TBS)、『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~』(21/テレビ東京)、『クソ野郎と美しき世界』(18)、『凪待ち』(19)など。また、スタイリスト・祐真朋樹氏と共にショップ「JANTJE_ONTEMBAAR」を展開。ルーヴル美術館で個展を開くなど、多岐にわたって活躍。NHK Eテレ『ワルイコあつまれ』、bayfm『ShinTsuyo POWER SPLASH』、ABEMA『7.2新しい別の窓』にレギュラー出演中。
■岸井ゆきの
1992年2月11日生まれ、神奈川県出身。2009年女優デビュー。2017年に『おじいちゃん、死んじゃったって。』で映画初主演を務める。2019年『愛がなんだ』で、第11回TAMA映画祭最優秀新進女優賞ならびに第43回日本アカデミー賞新人賞を獲得。そのほか近年の主な出演作は、映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』(21)、『やがて海へと届く』(22)、『神は見返りを求める』(22)、ドラマ『#家族募集します』(21/TBS)、『恋せぬふたり』(22/NHK)、『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』(22/日本テレビ)、『拾われた男』(ディズニープラス/NHK)など。

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