東京商工リサーチは9月14日、「大手外食チェーン値上げ・価格改定」の調査結果を発表した。調査は、国内の大手外食122社を対象に、2022年1月〜9月上旬までに値上げを実施、または実施予定を文書またはウェブ、開示資料で公表した企業を集計した。

  • 主な「値上げ・価格改定」を公表した企業

    主な「値上げ・価格改定」を公表した企業

資源価格や原材料価格の高騰、円安を背景に、大手外食チェーンの値上げが相次いでいる。輸入食材を中心に、仕入コストの上昇が続き、大手外食の約6割がメニュー価格の値上げに踏み切ったことがわかった。

  • 「値上げ・価格改定」(業態別)

    「値上げ・価格改定」(業態別)

大手外食チェーン122社のうち、メニュー価格の値上げを公表したのは71社(構成比58.1%)と約6割。うち、値上げを公表したのは88ブランドで、「中華・ラーメン」が最多の16ブランド。次いで、「ステーキ・焼肉」「ファストフード」が各12ブランドと続くなど、小麦や牛肉などの原材料を海外から調達する割合の高い業態を中心に、値上げが相次いでいる。また、「レストラン」(前回6→9)や「居酒屋」(同4→6)など、今年に入り2回の値上げを公表した「チェーン店」も5社(5ブランド)あり、多様なメニューを総合的に扱う「チェーン店」でも値上げが目立った。

値上げ幅が判明した44ブランドのうち、最多レンジは「5%以上10%未満」の25ブランド(構成比56.8%)。ただ、単価の安い「ファストフード」や「コーヒーショップ」のメニューでは、販売価格が15%以上の値上げもあるなど、値上げ幅を押し上げており、「10%以上」の値上げは11ブランド(同25.0%)で、前回から5.6ポイント上昇した。

値上げの理由で最も多かったのは、「原材料」の高騰で75ブランド(構成比85.2%)。次いで、「物流」46ブランド(構成比52.2%)、「資源(原油含)」23ブランド(同26.1%)、人件費19ブランド(21.5%)と続く。原材料価格の高騰や物流費上昇による急激なコストアップで、外食チェーンは販売価格への転嫁を避けられない。さらに、これから年末に向け、燃料価格の二段高も懸念され、収益悪化に抵抗するためにさらなる値上げを呼び込む可能性も残している。