西山朋佳白玲へ里見香奈女流五冠が挑戦する第2期ヒューリック杯白玲戦七番勝負(主催:ヒューリック株式会社)の第2局が9月3日(土)に京都府京都市「ザ・ゲートホテル京都高瀬川」で行われました。結果は126手で里見女流五冠が勝ち、七番勝負の対戦成績を2勝0敗としました。

本局は西山白玲の先手番。初手で西山白玲が▲7八飛と三間飛車を明らかにしたのに対し、里見女流五冠は振り飛車を匂わせつつも、どこに振るかはすぐには明示しません。結局、角交換を目指す▲2二角成に△同飛と取ることで、後手の飛車の位置が決まり、前局に引き続いて相振り飛車となりました。その直後に西山白玲が8筋に振り直しましたが、両者の対戦に前例がある進行がしばらく続きます。

西山白玲が▲7五歩△同歩▲8五飛と動いて、十字飛車を含みにした攻めを見せます。対して△7三銀が好手で、先手の動きを封じる展開になりました。西山白玲は▲5六銀と角取りに当てますが、里見女流五冠は構わずに△7六歩と桂取りに突き出し、お互いに一歩も譲りません。この付近のやり取りで、後手のほうが持ち歩が多くなったため、やや後手のペースになりましたが、お互いの玉が薄いため、実戦的には難しいところでしょう。盤上のあちこちで駒がぶつかっており、駒を入手してからの攻撃をどちらが先に実現できるかという展開です。

89手目、西山白玲は▲5六角と金桂の両取りに角を打ちましたが、ここからの里見女流五冠の指し手が巧みでした。△3七歩成▲同桂△3六桂と王手金取りに打ち返し、▲5九玉に取れる金を取らず△4八銀▲6九玉△5七桂不成と追います。これでまず4五の桂馬が助かりました。▲7九玉にそこで△6五歩と突き、金取りも防いでいます。後手は△2八桂成と金を取る手や△8六銀打と飛車を押さえ込む手があるのに対し、先手には有効な手段がありません。

最後は後手玉にも詰めろが掛かりましたが、詰めろ逃れの詰めろを決め手にする順で里見女流五冠が押し切り、2連勝スタートとなりました。女流六冠へ向けて大きな前進です。

西山白玲には厳しい結果となりましたが、一週間後の9月10日には第3局が控えています。この短期間でうまく立て直せれば、番勝負の流れを引き戻すことが出来るかもしれません。この一週間、西山白玲は女流王座戦挑戦者決定戦、里見女流五冠は2連勝すれば二次予選進出が決まる棋聖戦と、それぞれタイトル戦とはまた違った大きな勝負に臨みます。第3局で笑顔を見せるのは果たしてどちらでしょうか、注目です。

相崎修司(将棋情報局)

2連勝でタイトル奪取に大きく前進した里見女流五冠(写真は33期女流王位戦五番勝負第2局のもの 提供:日本将棋連盟)
2連勝でタイトル奪取に大きく前進した里見女流五冠(写真は33期女流王位戦五番勝負第2局のもの 提供:日本将棋連盟)