藤井聡太名人に糸谷哲郎九段が挑戦する第84期名人戦七番勝負(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)は、藤井名人3連勝で迎えた第4局が5月16日(土)・17日(日)に大阪府高槻市の「高槻城公園芸術文化劇場」で行われました。対局の結果、雁木対矢倉のねじり合いから抜け出した藤井名人が123手で勝利。無傷の4連勝で名人4連覇を達成しています。

一貫した糸谷調

3連敗とあとのない糸谷九段ですが、独自の序盤術で相手の研究を外す構えは一貫。飛車先の歩交換を許して矢倉に組む指し回しは第2局と類似の出だしで、この日は糸谷九段が金銀3枚の矢倉を組んだのに対して藤井名人が中住まいでバランスを主張する形に落ち着きました。早い戦いは回避されて一手一手が難しい中盤戦へ。先手の藤井名人がタイミングを計る端歩突きを見せ1日目の戦いが終わります。

糸谷九段の記した封じ手が開かれ対局再開。示された端歩突きは先手からの攻めを呼び込むもので、しばらく受けに回って様子を見る意図が糸谷九段の指し手からうかがえます。この注文に応じるように藤井名人も端攻めから猛攻を開始。歩の手筋を駆使して香得を確定させ、指しやすさを手にしました。対する糸谷九段も自陣に馬を引き付けて主張を作りますが、これがさほど働かないのが大きな誤算でした。

終わってみればの快勝

終盤の入り口で藤井名人が長考に沈みます。残り7分になるまで考えて打ったクサビの桂打ちが積極的な勝着となりました。自陣は竜に侵入されておりかなりのピンチに見えますが、一間竜での王手にはサっと玉をかわせば詰めろがかからないのを見切っています。持ち時間で大きくリードする糸谷九段は攻めたり守ったりの幻惑策に出ますが、藤井名人は崩れませんでした。

当たりになっている飛車を見捨てて馬取りをかけたのが最後の決め手で糸谷玉は寄り筋に。終局時刻は19時46分、攻防ともに見込み無しを認めた糸谷九段の投了により、七番勝負は藤井名人のストレート防衛で決着しました。敗れた糸谷九段は「実力不足が露呈した」、勝った藤井名人は「4連覇という結果を出せてうれしい」と力戦形シリーズとなった4局を総括しました。

水留啓(将棋情報局)

  • 4連覇を果たした藤井名人、来期は永世名人への期待がかかる(通算5期)(提供:日本将棋連盟)

    4連覇を果たした藤井名人、来期は永世名人への期待がかかる(通算5期)(提供:日本将棋連盟)