トヨタ自動車は「メガウェブ」(東京都江東区)の跡地に「アリーナ」を建設すると発表した。もともとは大型ショールームがあった場所に、なぜクルマに関連する施設ではなく、スポーツの大会が行われるアリーナを作るのか。取材で聞いてきた。
メガウェブ跡地の再開発、ついに始動!
メガウェブが閉館となったのは2021年12月31日のこと。跡地には何ができるのか気になっていたのだが、答えはまさかのアリーナだった。最大1万人が収容可能な大型施設「TOKYO-A-ARENA」を建設し、新たなスポーツの聖地を目指すという。完成は2025年秋の予定。
完成後はBリーグ1部に所属するアルベルク東京がホームアリーナとして利用するほか、バレーボールや卓球などの室内競技、アーバンスポーツ、パラスポーツ、eスポーツなど、さまざまなスポーツの舞台として幅広く活用する方針だ。トヨタはモビリティテクノロジーを活用した「新しい観戦体験」の可能性に挑戦するとのこと。これまでにないアリーナ体験の創造を目指すとしている。
一見すれば、とても自動車メーカーの取り組みとは思えない。それでもなぜ、トヨタはこのプロジェクトを推し進めるのか。それには豊田章男社長の「トヨタは幾多の苦難をスポーツ、アスリートたちに助けられて乗り越えられた」という感謝の思いも深く関わっている。
豊田社長にとって、社長就任からの13年間は赤字転落、大規模リコール問題、東日本大震災など危機の連続だった。その中で豊田社長に戦う勇気を与え続けてきたのは、「TOYOTA」の6文字を背負って戦うアスリートたちが見せる「最後まであきらめない姿」「フェアプレーに徹する姿」「人知れず努力を重ねる姿」だったという。
プロジェクトの発表会に登壇したトヨタ 取締役副会長の早川茂さんは、「今回のアリーナ計画には豊田社長の思いを受け、『スポーツ、そしてアスリートへの感謝』と『可能性に挑戦する人をサポートし続けたい』という2つの思いを込めました」とし、「このアリーナで可能性に挑戦するアスリートの熱気と情熱に触れることができれば、多くの人が勇気づけられ、笑顔になれると信じています」と語った。
一方で早川さんは、「メガウェブの歴史を受け継ぐ」とも言明した。
具体的には「今まさに検討中」としながらも、「メガウェブにはトヨタの全ての車両が展示されていましたし、新車の発表会を開催したり、トヨタ車に試乗できる場としての機能も大きかった。新しいアリーナの敷地内での試乗は難しいと思いますが、発表会や新しい形のクルマの見せ方、アリーナ内での新しいモビリティの実験はいろんな形できると思いますし、ぜひやっていきたい」とのことだ。