「自嘲」という言葉の意味をご存知でしょうか。「自嘲癖」「自嘲気味」といったように使われることが多いですが、見聞きしたことがあっても意味が分からないという方もいるでしょう。
この記事では、「自嘲」の読みや意味、使い方、類語などを解説します。
自嘲の意味と読み方
「自嘲」とは、「じちょう」と読み、自分で自分をつまらぬものとして軽蔑し、 馬鹿にして悪く言ったり笑ったりすることです。自身の欠点や行動を卑下する時や、自分のことを駄目だと思い込んでいる時などに使われます。
自嘲の語源
「自嘲」は「自」と「嘲」から成り立っており、それぞれ下記のような意味があります。
「自」とは、「自分ひとりで」「自分自身」などの意味がある漢字です。「嘲」には、「嘲る」「からかう」「馬鹿にする」などの意味があります。
これらの漢字の意味が組み合わさって、「自分自身を嘲る」という意味で「自嘲」となっています。
「自嘲」に関連する言葉
ここでは、「自嘲」に関連する言葉とその意味をご紹介します。
自嘲癖
「自嘲癖」の読み方は「じちょうへき」で、文字の通り「自嘲する癖」という意味の言葉です。「私なんか…」「どうせ私は…」と、自分を下げる発言をよくする人のことを、「自嘲癖がある」と表現することができます。
自嘲気味
「自嘲気味」とは「じちょうぎみ」と読み、文字通り自嘲する傾向をおびている様子を表す言葉です。
自嘲的
「自嘲的」とは、「じちょうてき」と読み、自分で自分を嘲笑うさまを表します。
自嘲の使い方・例文
ここでは、「自嘲」の具体的な使用例を紹介します。
自嘲の例文
- 彼は謙遜というよりは自嘲するような発言が多く、ネガティブな人だと思われがちだ
- 後輩が自嘲するようなことばかり言っているので、自信を失いかけているようだ
自嘲気味の例文
- 「なぜこんなにも失敗ばかりなのだろう」と、彼は自嘲気味に呟いた
- みんなが自嘲気味な言葉を発するため、だんだん場の雰囲気が暗くなっていった
- 彼は自嘲気味に自己紹介していたが、働きぶりには目を見張るものがあった
自嘲的の例文
- 「最近何をやっても駄目なんだよ」と、彼は自嘲的に呟いた
- いつもと違って覇気のない彼女は、どことなく自嘲的な雰囲気があった
- 彼は自嘲的な発言をすることもあるが、周りの人からは好かれている
自嘲癖の例文
- 彼女はネガティブな性格なのか、自嘲癖がある
- 彼の自嘲癖は謙遜のつもりだろうが、場の雰囲気を壊してしまうこともある
- 彼女には自嘲癖があり、自分のいいところを話すのを聞いたことがない
「自嘲」の類語
ここでは、「自嘲」の類語をご紹介します。
自虐
「自虐」には、「自分で自分を責めること・虐げること」という意味があります。最近は、自分の欠点を自分で貶めることで笑いを誘おうとする「自虐ネタ」という言葉もよく使用されます。
「自嘲」の意味は「自分自身を馬鹿にして悪く言ったり笑ったりする」ことで、2つの言葉はほぼ同じ意味だといえるでしょう。
自罰
「自罰」には、「失敗した時や思い通りにならなかった時に、攻撃を自分に向けて自分で自分を責める」という意味です。
卑屈
「卑屈」の意味は、「いじけて、必要以上に自分を卑しめることや、その様子」です。自分を下げたり卑しめたりする様子が、「自嘲」と共通しています。
内罰的
「内罰的」には、「失敗した時や思うようにならなかった時、攻撃を自分自身に向けて自分で自分を責める傾向がある様子」という意味があります。「自分を馬鹿にする」という意味がある「自嘲」と、似た状況で使われるので覚えておきましょう。
「自嘲」と混同されやすい言葉
「自嘲」は一般によく浸透している言葉ではありますが、いくつか混同しやすい言葉がありますので、間違えないよう注意しましょう。ここでは、「自嘲」と混同しやすい「謙遜」や「自重」の意味について紹介します。
謙遜との違い
「謙遜」には、「へりくだること・控えめな態度をとることや、その様子」という意味があります。自分を下げる様子は「自嘲」と共通していますが、「自嘲」よりも「控えめでつつましやかな様子」というニュアンスが強いです。
自重との違い
「自重」には「じじゅう」「じちょう」と2種類の読み方があり、「自嘲」の同音異義語ともいえます。「自重(じちょう)」と読む場合の意味は「自分を重んじて卑下しないこと」「軽はずみなことをしないこと」「自分の健康に留意して大切にすること」などです。
「自嘲」と読み方は同じであっても、「卑下しない」という意味が含まれていることから、意味は全く異なります。誤って使わないよう注意しましょう。
「自嘲」の意味や使い方はマスターできましたか?
「自嘲」には、「自分自身をつまらないものだと嘲る」という意味があります。「自嘲する」「自嘲的」「自嘲気味」といった表現でよく使用します。
また、「謙遜」や同音異義語の「自重」とは混同されやすいので、違いを理解して使い分けましょう。
「自嘲」の意味だけでなく、類義語や使い方も知ることで、表現の幅を広げることができますよ。