WOWOWで現在放送中の『宝塚への招待』では、2019年に宙組で上演された『黒い瞳』を、昨年、宝塚歌劇団を退団した元星組・愛月ひかると、元宙組・蒼羽りくの同期生2人による副音声解説付きで8月27日に放送する。

  • 愛月ひかる(左)と蒼羽りく

『黒い瞳』は文豪プーシキンの『大尉の娘』をモチーフとしたミュージカル。18世紀の帝政ロシア時代に起きた「プガチョフの乱」という歴史上の事件を背景に、恋と友情の物語が描かれる。宙組トップスターの真風涼帆が身分も民族も異なる女性との純愛、そして敵将となる相手との男同士の友情という二つのドラマに翻弄される役どころをみごとに演じ切る。本作で愛月はプガチョフを、蒼羽はマクシームィチ伍長を演じている。

収録を終えた愛月は「副音声収録ということで、フルで喋り続けるというのはどんな感じだろうと思っていました。始まる前はちょっと不安でしたが、そこは(蒼羽)りくと、お互いちゃんと補いあって助けあえたので本当にありがたかったです」と満足げな表情。それを横で聞いていた蒼羽も「私もどうなるかなと思っていましたが、愛ちゃんが本当に細かくいろいろと覚えていて、すごいなと感じました。私は見ながらいろいろと思い出していったのですが、こういうことがあったなとか、この時こうだったなっていうのがすごく懐かしかったです。でも、二人で久しぶりに作品を見ながら喋っていると、本当に当時のことや作品のこと、組のことなどを思い出して楽しかったですね」と続けた。

愛月にとっては組替えが決まった宙組最後の作品、そして蒼羽にとっては退団公演となる『オーシャンズ11』の直前の作品ということで、二人にとって「とても思い入れが強い作品」だったという。愛月は「やはり自分にとっても宙組を出るというのはものすごい決断でしたし、不安もありました。でもそれこそ同期のりくたちが一緒にいてくれたということもありますし、何か背中を押してくれるような作品だったなと思います。プガチョフという役は本当に難しい役でしたが、真っ正面から取り組んだことで、今振り返ると、自分の今後の宝塚生活に生かされていたなと思います。自分が最終的に目指すべき男役像の基盤となったというか、そういう意味でも大切な作品だった」と語る。

その言葉に「ファンの方たちもこの先、愛ちゃんが専科に異動するのは分かっていた。そういうのを踏まえてこの舞台を見ていた部分もありますよね」と蒼羽。自身にとっても退団直前の舞台となったが、「私も『黒い瞳』の時には自分が卒業することは分かっていたので、本当にやりきろうという気持ちがすごく大きかった。いただいた役も、すごく心を動かす役でしたので、向き合っている時間が楽しかったです。それと楽屋が同期の男役3人でしたが、みんな一緒に頑張ってきた同期ですので、すごく楽しい公演だったことを覚えています」と振り返った。

『宝塚への招待「黒い瞳」―愛月ひかる×蒼羽りく 副音声解説付―』はWOWOWライブにて8月27日(12:15~)放送。