北海道札幌市のサッポロファクトリーでは、8月16日まで「生誕50周年記念 THE仮面ライダー展」が開催されている。本イベントでは、『仮面ライダーエグゼイド』(2016年)で仮面ライダーエグゼイド/宝生永夢を演じた北海道出身の俳優・飯島寛騎が「北海道スペシャルアンバサダー」を務めている。

  • 飯島寛騎(いいじま・ひろき) 1996年生まれ、北海道出身。大学在学中の2015年に「第28回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」グランプリを受賞し、芸能界入り。2016年『仮面ライダーエグゼイド』で宝生永夢役を演じ、注目を集める。『警視庁捜査一課長』Season5(2021年)Season6(2022年)に鑑識課員・古代学役でレギュラー出演したほか、テレビドラマ、映画、舞台、CMと多方面で活躍中

飯島が出演した『仮面ライダーエグゼイド』は、「医療」と「ゲーム」をモチーフとした個性的な仮面ライダーが多数登場し、それぞれの正義感、野望、信念などをかけて時に対立、時に共闘しながら過酷な戦いの道を歩む、魅力的な群像ドラマである。本作での仮面ライダーは、人間に感染して「ゲーム病」を引き起こすバグスターウィルスと戦うため、ゲーマドライバー(変身ベルト)とライダーガシャットを用いて仮面ライダーに変身する「ドクター」たちの総称。彼らはゲームの力を使い、ゲーム病患者の命を救うためバグスターの切除手術=戦闘に臨んでいる。

「THE仮面ライダー展」北海道開催を記念し、飯島にインタビューを行った。

――「THE仮面ライダー展」北海道スペシャルアンバサダーのお話を受けたときの、飯島さんのお気持ちを聞かせてください。

「仮面ライダー」50周年記念の展示会にアンバサダーとして選んでいただいたのは、とても光栄です。自分が生まれ育った北海道で仮面ライダーのお仕事ができるというのもうれしかった。僕は4~5歳ごろから札幌で暮らしていたので、今回の会場となったサッポロファクトリーにもたくさんの思い出があります。札幌駅を利用したついでに、ちょっとサッポロファクトリーへ寄ってカレーを食べたりとか(笑)。友人たちからも「休みの日に見に行くよ」って連絡をもらって、地元ならではのあたたかさを感じています。

――エントランスでは『仮面ライダー』(1971年)で本郷猛を演じられた藤岡弘、さんによる映像メッセージがスクリーンに映し出され、入場者の方々を仮面ライダー世界へ引き込む役割を担っていました。藤岡さんの映像をご覧になったとき、どんな思いを抱かれましたか。

現在「仮面ライダー」が存在しているのは、なんといっても藤岡弘、さんが仮面ライダー1号として活躍し、歴史を築きあげてくださったから。大きなスクリーンに藤岡さんが出てこられたとき、思わず背筋が伸びましたし、メッセージもすごく刺さりました。

――会場は大きく「昭和ライダー」と「平成・令和ライダー」とゾーンが分かれています。昭和ライダーゾーンで飯島さんが印象に残ったのはどのライダーですか。

みなさん強烈な存在感がありましたが、あえて挙げるなら『仮面ライダーアマゾン』(1974年)です。歴代ライダーが並んだとき、あの野性味あふれるデザインがひときわ個性を発揮して、すごく印象に残りました。僕が出演した『仮面ライダーエグゼイド』もかなり「異色のライダー」と言われましたけれど、アマゾンもそうとう異色でしたよね。そもそも仮面ライダーシリーズって「これ、以前のライダーに似てるな」という作品が見当たらないというか、常に新しいことに挑戦している感覚があります。最初はちょっと抵抗があるかもしれないけれど、観ていくうちに作品の良さがどんどん響いてくるような。そんなチャレンジ精神を昭和の『アマゾン』から強く感じるんです。

――平成ライダーゾーンでは、飯島さんが子ども時代に好きだったライダーの展示もあったかと思います。本展で再会した「飯島さんの思い出のライダー」は誰ですか?

『仮面ライダークウガ』(2000年)から『仮面ライダー555(ファイズ)』(2003年)あたりまで、すごくハマっていた思い出があります。その中でも大好きだったのが『仮面ライダー龍騎』(2002年)でした。龍騎の立像や、アドベントカードの小道具の展示物を見ると、子ども時代の思い出が甦ってきますね。

――ご自身の主演作『仮面ライダーエグゼイド』の展示をご覧になったとき、どんな思いを抱かれましたか。

平成ライダーの展示をめぐって『エグゼイド』のところまで来ると、なんか原色が強いなと感じました(笑)。懐かしかったのは、劇中で実際に乗ったことのある「シャカリキスポーツ」が展示されていたこと。聖都大学付属病院の「職員証」のような小道具の展示もうれしかったです。他のライダーの展示でも思いましたけれど、撮影で使った実物の小道具って、想像していたよりも大きいなという印象を持ちました。

――『エグゼイド』のライダーたちは戦闘経験を重ねることで「レベル」を上げ、どんどん強くなっていく設定が興味をひきました。本展では、三頭身のレベル1とスマートなレベル2の立像が展示されています。

撮影に入る前、レベル1の姿を初めて見たときはビックリしました(笑)。これまで自分が見てきた仮面ライダーのイメージとは、ぜんぜん違いましたから。初期エピソードでは、このレベル1のエグゼイドをカッコいいと思ってもらえるにはどのような演じ方をすればいいのか、すごく考えました。最後の最後でラスボスにはレベル1の攻撃が一番有効だと判明するとか、高橋悠也さんによる脚本の構成がすばらしく、キャスト陣はいつも感心していました。

――『エグゼイド』といえば、2022年4月に『仮面ライダーゲンムズ スマートブレインと1000%のクライシス』で仮面ライダーゲンム/檀黎斗(演:岩永徹也)が、8月には『仮面ライダージャンヌ&仮面ライダーアギレラ withガールズリミックス』でポッピーピポパポ(演:松田るか)が登場するなど、東映特撮ファンクラブ(TTFC)の配信作品での動きが活発ですね。

『ゲンムズ』では「エグゼイド ムテキゲーマー」を思わせる「ゲンム 無双ゲーマー」が出てきたりするので、気になっています。スピンオフドラマの発表って4月1日、エイプリルフールに絡めてウソの情報から始まるので、どんなキャラのどんなドラマをやるのかわからなくて混乱するんですよね。SNSで僕が永夢のセリフで「嘘だ……僕をだまそうとしている……!」とつぶやいたのですが、「宝生永夢」がトレンドワードに上がっていたと聞いて、うれしかったです。

――改めて『仮面ライダーエグゼイド』の人気を実感するような出来事はありますか。

ここ最近では、配信で『エグゼイド』を観ている方が多くいらっしゃるようで、海外の方の感想が聞こえてくるときがあります。テレビ放送が終わってから5年になろうとしているのに、今でも『エグゼイド』を好きでいてくださり、とてもうれしいです。仮面ライダー1号・2号の「50年」に比べれば、『エグゼイド』はまだ5年ほどの歴史しかありませんが、これから先もずっと大事にしていきたい作品。今後も10年、20年と愛されてもらえるように、自分としても努力を続けていきたいです。 

――『エグゼイド』終了後も、東映東京撮影所で当時のスタッフさんとお会いすることなんてあるでしょうか。

『警視庁捜査一課長』(Season5、6/鑑識課員・古代学役)は東映東京撮影所で撮影していますので、所内を歩いているときなど『エグゼイド』でご一緒したスタッフさんと一瞬すれ違うときがあります。すれ違った直後にふりかえって「あれっ!?」とか(笑)。

――『エグゼイド』の1年間で、飯島さんご自身はどういうところが成長できたと思いますか。

『エグゼイド』は僕にとって初めてのテレビドラマ出演で、それまで役者としてほとんど経験がなく、あらゆる面で知らないことばかりだったんです。大人として生きていくことや、作品を作る際の心がまえなどを、『エグゼイド』での1年半で勉強することができました。新人の僕を支えてくれた共演者の方たちやスタッフさんには、とても感謝しています。

――改めて、飯島さんが「仮面ライダー」になってよかったと思えることを教えてください。

「自分だけの、唯一無二の“変身ポーズ”」があることです! 「変身」という言葉を使えるのは、「仮面ライダー」を演じた俳優だけですからね。仮面ライダーになる役を演じられたというのはとても光栄なことであると同時に、僕の「自慢」でもあります(笑)。

――最後に「THE仮面ライダー展」北海道スペシャルアンバサダーとして、飯島さんからファンのみなさんにメッセージをお願いします。

飯島寛騎の生まれた地・北海道で開催されている「THE仮面ライダー展」、仮面ライダー50年の歴史が凝縮されていて。昭和ライダー世代の大人の方から、今のライダーが大好きなお子さんまで、さまざまな世代の方たちがみなワクワクできる空間になっています。仮面ライダーの立像や、小道具、美術の数々がご覧いただけるので、懐かしい気持ちがあふれてくると思います! ぜひサッポロファクトリーにお越しくださると嬉しいです。


「生誕50周年記念 THE仮面ライダー展」はこれまで、2022年3月に名古屋会場、4月に福岡会場で開催された。北海道会場の後は12月23日から翌2023年1月15日まで、東京会場=池袋サンシャインシティでの開催が決定している。

(C)石森プロ・東映