• 利用者と会話する石井さん (C)フジテレビ

後編では、これまで「介護業界の異端児」と呼ばれ、走り続けてきた石井さんが壁にぶつかりながら、また成長していく姿も描かれる。

「石井さんは、誰もやっていないことをやろうとしてきたパイオニアで、介護業界ではすごい人だと知られているんです。その自負とプライドがある一方で、現場のスタッフの方は大変で、結果として独断専行ということになって、スタッフがついていけない…という形になってしまうんだと思います。奥さんが石井さんのことを『天狗だった』とおっしゃっていますけど、そうした周りの人たちに支えられていきます」

また、今回の番組では、徘徊が日常茶飯事になっている認知症の女性(73)を「苦労させたのかな…」と思いやって見守り続ける夫や、時に怒りを爆発させる統合失調症の男性(46)に「いい部分も持ってるんだよ」と励まして支える妻など、「いしいさん家」を利用する人とその家族の、それぞれの“愛情”も強く感じられる。

「石井さんは、そういう人たちのために力になりたいと思っていますし、家族に愛情があるからこそ、他の施設に入れて薬漬けとかにせず、いしいさん家にお願いするんですよね。認知症になってコミュニケーションが取れなくなったり、統合失調症で世の中とうまく付き合えなくなったりしても、その人にはその人の人生があるし、ありのままに生きてもらいたいとサポートする家族やいしいさん家の姿を、ぜひ見てほしいと思います」

  • 遠藤史朗ディレクター

●遠藤史朗
1970年生まれ、神奈川県出身。95年に早稲田大学卒業後、制作会社を経て、フリーに。『ニュースステーション』(テレビ朝日)、『news zero』(日本テレビ)のほか、各局でドキュメンタリー番組を制作する。