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前編の最後で、利用者に手を上げられたスタッフから厳しい意見を受けた石井さんが、お酒に誘った認知症の利用者からかけられた言葉に、思わず涙してしいたが、遠藤Dはこの場面が特に印象に残っているという。

「やっぱり僕らは、どこか認知症の方や統合失調症の方を、『面倒をみてあげている』と“上から目線”になっているところがあると思うんです。でも、コミュニケーションが取れなくても、世の中の役に立てなくても、やっぱり人は人を支えることができるんだというのを、石井さんが認知症の方に励まされているのを見て、すごく感じました。普通の施設だったら、まず利用者に『ビール飲みに行こう』なんて連れ出したりしないので(笑)、いしいさん家らしい場面ですよね」

■“正解”とは必ずしも言い切れない

3年前に亡くなった父親が重度の認知症だった遠藤D。「暴言もひどくて、ヘルパーさんに『帰れ! このクソババア!!』って怒鳴って、ヘルパーさんが辞めてしまい、困ったもんだな…という感じだったんです」というが、当時いしいさん家の存在を知っていたら、頼りにしたかったと漏らす。

「うちの父は母が介護していたんですけど、トイレで大便をつかんで壁に投げつけたりしていたくらいなので、結構限界だったんです。でも、本人は家にいたいと言っていたので母もすごく迷っていたんですが、最終的には僕も話して、重い認知症の人でも対応してくれるグループホームに入れました。そしたら、入って1カ月で亡くなったんですよ。たった1カ月だったら、もう少し我慢すれば良かったんじゃないかと、僕以上に母が感じてしまって。そういうことを考えると、いしいさん家のような施設が近くにあったら、入れてあげたかったなと思いますね」

一方で、「いしいさん家のようなやり方が“正解”とは、必ずしも言い切れないと思います。番組をご覧になったら分かると思いますが、あれは石井さんだからこそできる部分があって、認知症や統合失調症の人たちとのやり取りを面白がって、楽しんでいるんですよ。もし理想や使命感だけで取り組んでいたとしたら、そこには限界が来てしまうから、すごく難しいなと思いました」と印象を語る。