自作の人力飛行機競技会『Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト2022』(読売テレビ・日本テレビ系、8月31日19:00~)が23日・24日の2日間にわたって、滋賀県彦根市の琵琶湖・松原水泳場で開催された。

  • 『鳥人間コンテスト2022』出演者たち=読売テレビ提供

昨年は無観客で行われたが、今大会は有観客のため本来の姿で完全復活。たくさんの来場者の熱気に包まれた会場では、ナインティナインの矢部浩之がMC、羽鳥慎一が実況を務め、三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの山下健二郎やモデルの貴島明日香など新たな顔ぶれが熱戦を伝える。

エントリーしたのは「滑空機部門」で15機、「人力プロペラ機部門」で11機。昨年はいくつかの強豪チームがコロナの影響で作業が進まず、出場が叶わなかったが、6年ぶりの優勝を目指すレジェンドの復活など、今大会は有力チームが軒並み登場。レベルの高いし烈な戦いが繰り広げられる中、新記録も誕生した。

強風が吹き荒れ、決して良好なコンディションとは言えない中、1日目の「滑空機部門」がスタート。一切動力を使わずグライダーのように飛行機を飛ばして距離を競うこの部門は、昨年「東京都立大学MaPPL」がチーム記録、女性記録、さらに学生記録を更新する450m超のビッグフライトで優勝した。

台頭著しい大学チームの勢いに待ったをかけるのが、大会の記録と、個人で13回の最多優勝記録を持つ絶対王者“ミスター鳥人間”の大木祥資率いる「Team三鷹茂原下横田」。2018年にテイクオフに失敗し、機体が大破して以来4年ぶりの登場となる“鳥”と呼ばれた男は、大会に出ていない期間もトレーニングと食事制限も継続していた。

特に会場を賑わせたのは、「東京都立大学 MaPPL」と「日本大学生産工学部津田沼航空研究会」。津田沼航空研究会は第40回に歴代記録4位に入るビッグフライトを見せたが、昨年の大会で東京都立大学 MaPPLが、学生記録、女性記録、そしてチーム記録を塗り替えて優勝。これを目の前で見せつけられ、リベンジに燃えている。実はほかにも因縁があり、津田沼航空研究会のパイロット・北川湧太さんと、東京都立大学 MaPPLのパイロット・鎌田明優さんは、大洗海岸のハンググライダー練習場での教室仲間。北川さんが「必ず勝ってみせます」と言えば、鎌田さんは「負ける気はありません」と返す。実力伯仲の2人のライバル対決は、果たして大会記録を塗り替えることができるのか、そして東京都立大学 MaPPLが見事連覇を勝ち取るのか。

そして今大会、ダークホースとの声が上がる「チームあざみ野」が登場。航空のプロフェッショナル集団が、最高記録を塗り替えるための機体を開発した。注目は鳥人間の常識を覆す、今大会最も「小さな主翼」。風の影響をこれで最低限に減らし、なめらかな胴体で空気抵抗を限りなく減らす。解説の桂朋生氏が「すみずみまでこだわっている。ここまでやるかと思うほど」とべた褒めする、500mを超えるにはこれしかないという機体で、前人未到の記録に挑む。

ラストフライトは「Team三鷹茂原下横田」。レジェンド・大木祥資さんはトレーニングと共に黙々と機体作りも進め、今年は17年ぶりに完全リニューアルした新機体を開発。最高の機体と最高のパイロットが大会新記録を狙う。

滑空機部門に続けて行われたのが、人力で回すプロペラを動力とし飛行距離を競う「人力プロペラ機部門」。3回の旋回を成功させ、70km完全制覇を成し遂げるチームは現れるのか。

まずプラットホームから飛び立つのは「大阪工大 人力飛行機プロジェクト」。昨年3位のチームは、なんとプロペラが1枚の“1枚プロペラ機”で記録更新に挑む。パイロットとして勧誘され、「同世代だったら誰よりも練習している」と意気込む平岡幸士郎さんは、実家から大学まで70kmの道のりを自転車で通学して鍛えた足が自慢。独特な機体を見事に乗りこなし、感動のフライトへと飛び立つ。

昨年、優勝候補とされながらハッチが閉じないアクシデントで、99mという納得がいかない結果に終わった「名古屋大学 AirCraft」。パイロットの福原悠介さんは、一時落下がトラウマになり、悪夢を見てしまうほどに。しかし、チーム代表や仲間の優しさに触れ、恐怖を乗り越えてもう一度バードマンに戻ることを決意した。 「支えてくれたチームメイト、家族のために飛びます」という熱い想いを胸に、チームの記録更新、ビッグフライトを目指して飛び立つ。

続いて、優勝回数5回を誇る強豪「東北大学 Windnauts」が3年ぶりに登場。2008年には史上初の折り返しフライトで36km完全制覇を達成するなど、数々の歴史を塗り替えて来た好チーム。パイロットの丹治開さんをバックアップするのは、ベンチプレスの全日本選手権にも出場した父親で、アドバイスをもらいながら親子二人三脚でトレーニングを積んできた。その父が「今日は最高の仕上がり」と太鼓判を押す息子は、駆けつけられなかった母親からも手紙で力をもらい、王座奪還へのフライトに挑む。

最後は、昨年優勝した「東京都立大学 鳥人間部T-MIT」。昨年は“棚ぼた”優勝という声をはねのけるため、パイロットの今堀匠さんは東京都と神奈川県の境・和田峠の最大勾配18%という激坂で毎日トレーニングしてきた。「40km飛びます」と目標を掲げ、峠で磨いた真の実力を今年こそ見せつけて優勝なるか。

大会終了後の出演者のコメントは、以下の通り。

■矢部浩之(ナインティナイン)
今年もいろいろなドラマが生まれました。あとね……これ言っていいんかな? 出たんですよ~新記録が!それだけでもじゅうぶん熱い大会でしたね。あと、お客さん来てくれるとやっぱり盛り上がりますよね。 応援団の方も含めて、やっぱり従来通りできることが、一番盛り上がるし、鳥人間コンテストだなぁと感じました。コロナで出られなくて、久しぶりに参加できるチームも多かったんで、そういう部分も新記録に繋がっていたのかなぁと思います。

■羽鳥慎一
心に残るフライトは、なんと言っても「東北大学 Windnauts」です。パイロットとお父さんお母さんの関係で、飛ぶ前にグッときて、飛んだ後でもグッとくる。2回グッとくるフライトだったと思います。皆さんも必ずグッとくるはずです!

■山下健二郎
僕はメカニックなことが好きなので、パイロットになるよりも、飛行機の機体を作ってみたい。初めて生で見ましたが、もうムネアツ! たぶん僕、羽鳥さんぐらい泣いていると思います。みんな泣いてましたよ。

■貴島明日香
私は初めて鳥人間コンテストを見ましたが、「すごい年にきたんだな!」と。しかもこんな特等席で。本当に幸せでした。個人的にもこの夏一番の思い出になった、そんな二日間でした。

■JP
僕は滋賀県出身なので、地元の鳥人間コンテストはずっとテレビで見ていました。生で見て、友達が住んでいる沖島まで飛んでいくということを知ってびっくり。記録と一緒に地元の滋賀が全国に伝わるっていうのはめちゃくちゃうれしい話やなと思います。

■亜生(ミキ)
いやっ、本当に楽しくて、仕事も忘れて楽しんでしまいました。ずっと鳥肌たってましたね。鳥人間だけにね!って矢部さん! お兄ちゃんの分までボケもツッコミもがんばりました!