NTT タウンページはこのほど、「100円均一ショップを好きな県はどこ? 『100円均一ショップ』登録件数ランキング」を発表した。

同社では、タウンページデータベース(職業別電話帳データ)を活用してさまざまなマーケティング情報を提供しており、同社が運営するタウンページデータベース商品紹介サイトでは、独自の都道府県ランキングを発表している。今回は、全国の100円均一ショップの登録件数の推移から業界の今を考察し、全国でどの都道府県に100円均一ショップが多く展開されているのかを調査した。

同調査は2020年・2021年・2022年の各4月時点で、タウンページデータベースの業種分類「100円均一ショップ」に登録されている件数を集計し算出。なお、1人当たりの登録件数は小数点以下数桁になるため、10万人換算をしている。

  • 出典:「タウンページデータベース」(NTT東日本・NTT西日本)NTTタウンページ調べ

はじめに、2013年から2022年までの全国の100円均一ショップの登録件数の推移データを紹介している。

2013年から2019年までは約177店舗年平均で増加しており、100円均一ショップ業界全体が順調に成長を遂げていた。2020年はコロナショックもあり店舗数の推移は鈍化。2021年以降は、長引くコロナ禍の影響もあり、登録件数は減少している。

2013年から2019年の店舗数の伸びは、アベノミクスによる日本経済の回復期間と重なっている。安価で色々な物が購入できるという集客力が注目され、顧客誘致のために多くのショッピングセンターやスーパーに100円均一ショップが出店されたことで、毎年出店数を伸ばしていった。

だが、2020年のコロナショックで店舗数の伸びが鈍化。100円均一ショップ各社の業績自体は巣篭もり需要を捉えて現状維持、もしくは大きく伸ばしている会社があるものの、店舗の新設についてはコロナウイルス流行の影響で工事が進まなかったという原因があるのかもしれない。

そして、100円均一ショップの店舗数は2021年に減少に転じる。要因としてはビジネスの多角化や既存店舗の改良が考えられる。

近年の100円均一ショップ業界は原料費の高騰や他社参入による競争の激化が進んでいた。そのため、300円・500円・1,000円など100円以外の価格帯商品の販売や、コロナウイルスによるキャッシュレス化に合わせた既存店舗のシステム改良、コンビニやドラッグストアなどへ販路拡大を目指すなど、店舗を増やす以外の対策を迫られていた業界全体の動きがあった。

2022年、コロナ禍は落ち着きを見せてきたが、円安と原油高による物価上昇で原価を押し上げられている中、これからどういった対策をしていくのかが注目されている。

  • 出典:「タウンページデータベース」(NTT東日本・NTT西日本)NTTタウンページ調べ

続いて、2020年から2022年にかけての都道府県別の100円均一ショップの登録件数の推移と10万人あたりの100円均一ショップ件数の調査結果を紹介している。

2020年の人口10万人あたりの100円均一ショップ登録件数トップは鹿児島県・静岡県・宮崎県だった。特に鹿児島県は3年連続1位で、人口10万人あたり7.37件と、2位と差をつけている。

同社では、鹿児島県は人口減少率が日本でも高い水準になっているため、今後もランキング上位をキープすることは間違いない、と分析している。

また、都市部にあたる東京・大阪・愛知などは店舗数こそ多いものの、抱える人口も多いため10万人あたりの件数だと上位には入ってこない様子もうかがえる。

【1位】鹿児島県
鹿児島県は、九州の南端に位置する人口160万人の県。1955年をピークに年々減少しており、全国的にも減少率が高くなっている。

県内で人口が増加しているのは、子育て支援や給付金対策をしている十島村と鹿児島市のベッドタウンとして大型のショッピングモールの建設が進む姶良市のみ。県内市町村の半数以上が将来消滅するのではと予想されており、人口減少への対策が急務となっている。

【2位】静岡県
静岡県は、本州の中部に位置する人口363万人の県。2007年の380万人をピークに全国に先駆けて人口減少が始まった。中でも政令指定都市である静岡市と浜松市の人口減少は全国でも上位に位置している。

特に若者の県外流出が顕著で、進学や就職で県外へ出る人、結婚を機に県外へ出る女性が多く、流出先は東京や隣県の神奈川・愛知となっています。

【3位】宮崎県
宮崎県は、九州の南東に位置する人口106万人の県。1996年をピークに年々人口が減少している。1982年以降、転出超過に転じた後、1993〜1994年には転入と転出がほぼ同数となったが、1995年以降、再び転出超過が続いている。

順調に店舗数を伸ばしてきた100円均一ショップだが、円安と原油高による物価上昇で苦戦を強いられている。20年ぶりの円安水準・14年ぶりの原油高水準となっているため原材料費や輸送費が商品原価を押し上げているのだが、均一価格で勝負をしてきたため中々価格をあげられない状況だ。

100円商品だけでは利益を伸ばすことが難しいため、300円や1,000円商品など他の価格帯への参入が進んでいる。ただし、他の価格帯はホームセンターやドラッグストアなどの競合がいるため厳しい競争への挑戦と言わざるを得ない状況だ。

低価格商品は私たちの生活には欠かせないものだが、経済動向による要因がそれを脅かしており、今後どのような対策が実施されるかが注目されている。

同社では、「地方都市の人口減少は今後も続きそうですので、地方での100円均一ショップなどの低価格サービスの存在感は今後ますます強くなっていくことでしょう」とまとめている。