映画『楽園』(19)などでの繊細な少女役から、NHK連続テレビ小説『おちょやん』(20~21)の大阪のお母さんと呼ばれるヒロイン、『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』(21)での新米弁護士役まで、抜群の演技力で見る者を魅了する女優・杉咲花。控えめな印象のパブリックイメージを持つ杉咲だが、主演作では現場での“座長力”に定評がある。そんな杉咲は、どんなことを心がけて現場に臨んでいるだろうか。
7月12日からは主演ドラマ『プリズム』(NHK総合 毎週火曜22:00~)がスタートする。杉咲が演じるのは、園芸店でバイトをする内気な主人公の前島皐月役。声優を目指すもなかなか芽が出ない皐月だが、ガーデンデザイナーの森下陸(藤原季節)と出会い、彼のプロジェクトに参加することになる。2人は恋に落ちるが、ある日、2人の前にガーデナーの白石悠磨(森山未來)が現れると、なぜか陸は激しく動揺する。
杉咲は演じた皐月役について「内向的な性格で、自分で一歩を踏み出すことに臆病になってしまっている人。心の中でくすぶっているものを表現することが得意でない分、相手の言葉をちゃんと聞いて、内面を感じ取ろうとしている人だと思います」と捉えているが、その性格は自身にも当てはまるところがあると言う。
「人と関わることは時に体力を要したり、今まで見えてこなかった自分の正体に気づかされることもあるからこそ、億劫になってしまうときがあったりして。それでも、心の奥では相手に近づきたい、繋がっていたいと思うような気持ちが芽生えてしまうことってあるなぁと共感できる部分がありました」
共演の藤原季節については「図書館で借りてきたというテラリウムの本を見せてくれたり、現場に来る前に八百屋さんで野菜の買い出しをしてきたと、新鮮な野菜を詰め込んだリュックの中身を見せてくれたりと、どんなことにおいてもピュアで飾らない、素敵な方です。そして真摯に、誠実に役に向き合う姿に日々刺激をもらっています」と語る。
藤原演じる陸は皐月と少しずつ心を通わせていくという役どころだが「どんなに細かいことでも相談してくださったり、モニターを見て、自分はこういうふうに感じたということを、いつも素直な言葉で伝えてくださいます。私にとってはこの作品を一緒に乗り越えていく同志という感覚で、心から信頼しています」と、役柄同様の信頼関係を構築できているようだ。
悠磨役の森山については「作品に対してとても深く追求されている姿をずっと拝見していたのですが、ある日3人でカードゲームをした時に、誰よりもはしゃいで跳び回っている姿に、そんな一面もお持ちなんだ! と知れたことがすごくうれしかったです」と笑みをこぼす。
また、森山の演技について「台詞だと分かっていても、この方はこれから何を言うんだろう? と、毎回思わず、耳を傾けてしまいます。未來さんと対峙すると肩の力が抜けてお芝居から解放されるというか、自分のなかから本音が出てくるような感覚になるんです。カメラが回ってない時も今回の役柄であるガーデナーとして、時間ができるとその場に生えている植物のメンテナンスをされていたりして、役として現場にいるという強い覚悟のようなものを日々感じています」と大いに刺激を受けているそうだ。