JTBは7月7日、「2022年夏休みの旅行動向見通し」に関する調査結果を発表した。調査は6月22日~24日、全国15歳〜79歳の男女10,000名を対象にインターネットで行われた。

  • 夏休み(2022年7月15日~8月31日)の旅行意向

    夏休み(2022年7月15日~8月31日)の旅行意向

今年の夏休み(2022年7月15日~8月31日)の旅行意向を聴取したところ、「行く」「たぶん行く」と回答した人の割合は36.1%と、前年から14.7ポイント増加。2019年に実施した同調査では38.0%だったことから、コロナ禍前の水準に近づいているよう。特に、若い年代ほど旅行意向が高くなる傾向にあり、男女ともに29歳以下で半数を超えた。

また、この夏の旅行について「旅行日数を増やす」(14.8%)は対前年11.0ポイント増加、「昨年の夏より遠方に旅行したい」(14.0%)が7.4ポイント増加し、一言でいうと、日数を増やし、遠方に旅行する傾向が昨年より強まると言える結果に。さらに、観光キャンペーンについて「観光キャンペーンが利用できるなら、旅行したい」が13.8%、「観光キャンペーンの実施に関係なく、旅行したい」は9.0%だった。

一方、旅行に行かない人の理由としては、「夏休み期間は混雑するから」が最も多く29.3%。次いで「家でのんびりしたいので」(25.0%)が続き、「新型コロナウイルス感染症がまだ収束していないから/拡大の懸念があるから」(24.8%)は、前年から39.7ポイント減と大きく減少した。

  • 今年の夏休みの国内旅行者の予測

    今年の夏休みの国内旅行者の予測

夏休み期間(2022年7月15日~8月31日)の国内の旅行動向について、各種経済指標、交通機関各社の動き、宿泊施設の予約状況、各種定点意識調査などをもとに算出した結果、国内旅行人数は7,000万人(対前年175%、対2019年96.7%)と推計。また、国内旅行平均費用は3万5,500円(対前年107.6%、対2019年97.3%)、総額2兆4,850億円と推計される結果となった。

旅行に行く目的や動機は、「家族と過ごす」(12.3%)や「温泉でゆっくりする」(9.8%)、「帰省」(9.7%)が上位となったが、いずれも昨年より減少。代わって、「イベント・祭り・観劇・スポーツ観戦など」(5.4%)や「テーマパークやレジャー施設」(4.7%)が増加傾向に。旅行日数は「1泊」(35.7%)が最多であるものの、前年から6.2ポイント減少し、「2泊」(33.1%)や「3泊」(18.3%)が増加した。

同行者は、「夫婦のみ」(24.5%)や「子供づれ(中学生までの子供がいる)の家族旅行」(20.9%)、「ひとり」(18.0%)が減少し、「三世代の家族旅行」(6.6%)や「(母娘など)それ以外の家族旅行」(8.8%)、「家族と友人・知人」(5.3%)、「友人・知人・パートナー」(14.1%)はいずれも増加。これまでの少人数やひとりが中心だった旅行から、同行者の対象が拡大する傾向に。

旅行先は「関東」(17.4%)が最も多く、次いで「近畿」(13.0%)、「東海」(10.4%)、「九州」(10.3%)、「北海道」(10.1%)と続き、旅行先と居住地が同じ地方である域内旅行の割合は、すべての地域で前年より減少した。

また、一人当たりの旅行費用は「1万円~2万円未満」(20.6%)や「2万円~3万円未満」(18.3%)が多いものの、いずれも前年より減少し、「3万円~4万円」(9.2%)や「4万円~5万円未満」(17.4%)が増加した。利用する交通機関は、「自家用車・レンタカー」(61.9%、前年比-8.1ポイント)が減少し、「鉄道全体」(43.5%)、「航空機全体」(23.3%)が増加。さらに、宿泊施設は「ホテル」(63.2%)が前年より20.1ポイントも増加し、「キャンプ場・グランピング・キャンピングカー・車中泊など、アウトドアに関する宿泊」(5.1%)や「民泊・貸別荘」(2.2%)は減少した。

今年の旅行の傾向は、緊急事態宣言などが発出されていた昨年の夏休みと比べ、遠方へ長期間、同行者は近しい家族から友人・知人に拡大、行先はテーマパークやレジャー施設などが増加する傾向に。また鉄道・航空機・バスなどの他人と同乗する公共交通機関の利用も増加し、こうした流れを受け、費用も増加傾向にあることがわかった。

  • 今年の夏休みに出かける場所として”気になっている場所”

    今年の夏休みに出かける場所として”気になっている場所”

次に、今年の夏休みに出かける場所として”気になっている場所”を教えてもらったところ、「自然の景色が楽しめる場所(国立公園や花畑など)」(29.8%)や「自然の体験が楽しめる場所(登山やアウトドア、キャンプなど)」(18.7%)が上位となったが、いずれも前年より減少傾向に。代わって今年は「花火大会」(17.4% 前年+4.6ポイント)や「動物園や水族館」(16.2%)、「美術館や博物館」(12.7%)、「東京ディズニーリゾート®」(12.2%)、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(8.6%)などが増加。JTBの宿泊・国内企画商品の予約状況をみると、前年比は225%(7月5日付)と、感染状況が落ち着き旅行への期待感が高まっていることが伺えた。

  • 日本円に対する為替レート/8月発券の燃油サーチャージ額の推移

    日本円に対する為替レート/8月発券の燃油サーチャージ額の推移

海外との往来が制限された期間が2年以上続いていたが、世界でワクチン接種率が進み、現在は、経済の正常化に向けた動きに合わせて水際対策を緩和する動きが広がっている。とはいえ、再開に伴い関心は高いものの、水際対策や入国者数制限に伴う出入国手続き、入国規制が現在の大きな壁に。

一方、新型コロナ以外でも、円安やウクライナ情勢による費用への影響が大きいうえに、航空路線の回復もアジアを中心に遅れており、現状、座席数が限られる事態に。現地の資源価格の高騰と人出不足、物流の停滞等による物価上昇も影響を及ぼしており、以上の理由から、夏休み期間の海外旅行人数は、期間中の海外旅行人数は50万人(対前年555.6%、対2019年比17.0%)と推計されるという。

「すぐに行きたい」という海外旅行先としては、1位「ハワイ」(9.8%)、2位「オーストラリア・ニュージーランド」(8.3%)、3位「ヨーロッパ」(8.1%)と、新型コロナ関連の規制緩和が先行している欧米豪諸国が上位に。海外旅行の実施時期については、「円安や物価が上がっているので、今年度は旅行したくない」(18.8%)が最も多く、続いて「国際情勢や感染症がまだ不安なので、今年度は旅行したくない」(17.0%)となり、消極的な意見が目立つ結果に。JTBの海外企画商品の人気方面は、1位「ハワイ」、2位「シンガポール」、3位「グアム」となっている。