俳優の高橋一生が6日、東京・渋谷のPARCO劇場で行われた舞台『2020』(7月7日より同所ほかにて上演)初日前会見&公開舞台稽古に、作家の上田岳弘氏、構成・演出の白井晃とともに出席した。

舞台『2020』初日前会見に出席した高橋一生

高橋の1人芝居となる本作は、疫病があっという間に世界を覆い、東京オリンピックがなくなったあの年、2020年を起点に、はるか昔、人類の誕生から、はるか先?の世界の終わりまでを、高橋一生の声、肉体、動きを通して目撃する80分。「クロマニヨン人」「赤ちゃん工場の工場主」「最高製品を売る男」そして「最後の人間」とすべての役を高橋が演じ、人類の歴史を走り抜ける。

初日を直前に控えての抱負を尋ねられた高橋は「抱負はあまり持たないようにしているので、これまで通りなんですけど、稽古でひと月近く、その半分を上田さんと白井さんとの会議に費やしましたが、稽古で構築してきたものを信じておりますので、楽しくできるんじゃないかと思っております。楽しみたいと思います」と力を込め、注目ポイントについては「被り物をするので、その辺りを楽しんでいただけたらなと思います。壮大な出オチに近いようなことが起こるので、ぜひ楽しんでいただければなと思っております。出オチが何パターンかありますから、ビジュアルでも見ていただければと思います(笑)」とアピールした。

また、稽古での高橋の姿を見て「腹立たしいほど素晴らしい」と表現した白井は、その理由を問われると「難易度の高い舞台で、新しくなったこのPARCO劇場で、1人で75分間ぶっ通しでやるのは大変なことなんですね。サシで稽古をさせていただくんですが、稽古の中でどんどん成果を上げていく姿を見ていて、羨望に近いものだと思うんですけど、"なんだこの俳優は"という苛立たしさがありました」と称賛。

同会見前日には同所で通し稽古を行ったそうで、高橋は「白井さんはムーブが大きいので、ものすごく視界に入るんですね。かつ、芝居をやっている最中に『あいつ…』とか『一生…』って小さい声が聞こえるんですよ。気が散ってしょうがないんですね(笑)」と苦笑し、稽古が終わったあとに一悶着あると思ったそうだが「白井さんが近づいてきて睨んでいるんですよね。『なんかありました?』って聞いたら、『一生むかつくな』って言われまして(笑)。『できてんじゃん』って言われて、素直に褒めてくれればいいのにって、昨日から釈然としない思いを引きずったままなんですが、今日ちょっとだけ褒めてくれましたね」と笑顔を見せた。

さらに、作家の上田氏は「僕は文字を書く担当なんですけど、3万字以上あるんですね。それって原稿用紙にすると100枚くらいあるんですけど、そういったものを1人で演じられるんだろうかと半信半疑でいたんですけど、実際に成り立っていてすごいなと、普通に感動しました」と高橋を称えると、高橋は「いま言われてびっくりしましたね。人の脳ってそれだけ入るんですね。びっくりしました」と自分自身の能力に驚いていた。