渋谷のセンター街に30日、お酒を飲めない人も楽しめるバー『SUMADORI-BAR SHIBUYA』(以下、スマドリバー渋谷)がオープンした。ノンアルコール / 低アルコール(0%、0.5%、3%)の100種類以上のドリンクメニューを用意している。関係者は「飲める人、飲めない人の垣根をつくらないバーにしていきます」とアピールする。

  • 飲めない人を主役にした、スマドリバー渋谷がオープン。関係者が抱負を語った

スマートドリンキングとは?

スマドリバー渋谷は、スマドリが運営する新感覚のバー。モルタルと木を組み合わせたモダンで洗練されたデザインの店内では、ドリンクメニューのほか食材にこだわった約20種類の食事も提供する。営業時間は12時から22時まで。

  • 渋谷のセンター街にある、スマドリバー渋谷(東京都渋谷区宇田川町23-10)。1階、2階に70席を用意。3階はセミナーなどに使用する

スマドリは、アサヒビールが提言する「スマートドリンキング」(後述参照)を推進するために2022年1月にアサヒビールと電通デジタルが共同で設立した合弁会社だ。今回の取り組みでは渋谷区の外郭団体 渋谷未来デザインと共同で、渋谷区の社会課題の解決に向けて取り組んでいくと説明する。

  • Marbling Rainは800円(税込、以下同)。グラスに乗った綿あめにウィルキンソンをかけて飲む。スマドリバーのロゴマークのような、きれいな色合いが楽しめるという

  • スマドリバーのロゴマーク

スマートドリンキングとは、お酒を飲む人 / 飲まない人、飲める人 / 飲めない人、飲みたいとき / 飲めないとき、敢えて飲まないときなど、さまざまな人々の状況や場面における”飲み方”の選択肢を拡大して多様性を受容できる社会を実現するために、商品やサービスの開発・環境づくりを推進していくこと、と定義している。

  • Marbling Snow(850円)は、フローズンタイプのドリンク

  • ウィルキンソンレモンサワー(700円)

メディアを集めて行われたスマドリバー渋谷のオープン発表会には、スマドリ、渋谷未来デザインから代表者が出席したほか、区民一人ひとりのウェルビーイングの向上や多様性に溢れたスマートシティ推進を目指す渋谷区から、副区長が出席した。

冒頭、登壇した渋谷区 副区長の澤田伸氏は「ここセンター街は、いろんな方々に新しい楽しみを提供する場所です」としつつ、ハロウィンのシーズンの騒動などを念頭に「ときに世間を騒がせるときもあります」と説明する。そのうえで、スマドリバー渋谷を通じて飲む人、飲めない人、飲まない人がお互いにリスペクトしながらスマートに、かつマナーを守って楽しめる街づくりを進めていきたいと話し、プロジェクトの進展に期待を寄せる。

また、渋谷未来デザインの長田新子氏は「若い人たちが集まる街、新しいことにどんどんチャレンジしている街、そうした渋谷の街の発信力を活かしながら取り組みを推進していきたい」とする。スマドリバー渋谷では、店舗を拠点にしたアルコールにまつわる啓発活動(セミナー、ワークショップ)、大学連携(インターンシップ、授業など)、地元連携(清掃活動、パトロール、地元イベントへの貢献)などを予定している。

  • 渋谷区 副区長の澤田伸氏(左)と、渋谷未来デザイン 事務局長の長田新子氏(右)

このあとスマドリ 代表取締役社長の梶浦瑞穂氏は、スマドリバー渋谷をオープンさせた目的について「バーという形で、文化の発信基地にしていきます。まずスマートドリンキングの考えに基づいた、責任ある飲酒を世間に広めたい。その過程で、ノンアルコール / 低アルコール飲料の多様性も追求する。ゆくゆくは飲める人、飲めない人の垣根をなくしてけたら」と説明。お酒を飲む人が「ビアガーデンに行こうよ」と人を誘うように、お酒が弱い人が積極的に人を誘えるような店舗にしていきます、と力を込める。

  • スマドリ 代表取締役社長の梶浦瑞穂氏

店舗では、20歳以上の大学生と共同で開発したオリジナルカクテルのほか、渋谷クラフトレモネード、渋谷クラフトコーラなど、地域に根ざしたオリジナルドリンクも用意している。

  • 渋谷クラフトコーラ

  • こちらはブルーキュラソー、ジン、オレンジジュースのカクテルだそう

今後の展望について、梶浦氏は「今年は渋谷区さんと一緒にスタートできた。来年からは新しいドリンクのブランド開発に取り組み、また渋谷区以外でのエリア展開なども考えています」と話していた。

売上目標は?なぜ0%、0.5%、3%に?

最後に梶浦氏は、メディアからの質問にも対応した。

売上目標について聞かれると、梶浦氏は「スマートドリンキングというものを、渋谷区さん、渋谷未来デザインさんと一緒になって広げていくのがスマドリバー渋谷の役割です。売り上げ目標は立てていません」。ちなみに2025年に世間の40%の人が『スマートドリンキング』を認知している状況を目指しているという。

  • 店内の様子(1階)

ハロウィンのときにスマドリバー渋谷では、どういった対応をするのか、と聞かれた梶浦氏は「まさにいま、議論をしているところです。そういう話題があるので、あえて渋谷のセンター街にお店を構えさせていただいた、という背景もあります」。スマートドリンキングという考え方により何ができるのか、議論を深めていきたい、としている。

ドリンクを、ノンアルコール / 低アルコールのバリエーションで提供する意図については「前提として、お酒を飲めない方、飲める方の双方が楽しめる店舗、をコンセプトにしています。飲める方にも、あまり酔っ払ってグダグダになっていただきたくない。そこで3%あたりで楽しんでいただきたいと思いました。また、お酒を召し上がらない方には、0.5%でも、ものすごく違う。0.5%でも、アルコールを強く感じられる。そこで完全な0%、彼ら彼女らが少しハイになれる0.5%、それからお酒を飲める方の3%ということで設定させていただいています」と説明した。