楽天は6月22日、今夏の消費動向をもとに「楽天グループ 2022夏トレンド予測」を発表した。

楽天グループは「楽天市場」「楽天ブックス」「楽天トラベル」「Rakuten Music」「楽天ママ割」など幅広いサービスを提供しているが、この夏はどのような商品がヒットするのだろうか。楽天市場・楽天ブックスにおける売上動向から「物販」にフォーカスして、今夏の消費トレンドを読み解きたい。

外出機会増加で「服見え水着」や多機能UVケアに注目

  • 「楽天グループ 2022夏トレンド予測」

物販に関して楽天が発表した今夏のキーワードは「復調消費」「値上げ対策消費」「防災消費」の3つ。

今年は、コロナ禍以降はじめて行動制限のない夏休みを迎える。2年以上にわたって遠出や旅行がしづらいムードが続いていたが、各種制限が緩和されたことによって、外出に関連した商品の需要が回復している。

楽天市場では、「旅行バッグ」の流通額が2倍以上になるなど、イベントや旅行関連商品が好調だ。旅行バッグはゴールデンウイーク前から売上が伸びたが、依然として国内旅行中心ということもあり、キャリケースよりもボストンバック型の売上が伸びているという。

夏のイベントやレジャー関連商品の売れ行きも好調で、前年同期比の流通額は「水着」が約1.6倍、「浴衣」が約1.3倍、「浮き輪」が約1.6倍となっている。

楽天市場のユーザーに多い30~40代女性のあいだでは、体型をカバーできるオールインワンタイプの水着や、一見洋服のように見え紫外線対策にもなる「服見え水着」が人気を集めているそうだ。

浴衣は、レトロな柄や大胆な模様をあしらった明るめの色合いが今年のトレンド。だんだんと日常が戻ってくる中、「浴衣を着てより明るい気持ちになりたい」というマインドが反映されているのかもしれない。

  • 楽天グループ株式会社 楽天市場マーケティング部 本間萌(ほんまめぐみ)氏

また外出機会が増えたことにより、「UVカットファッション」が約1.4倍、「帽子」が約1.3倍、「日焼け止め・UVケア」が約1.2倍、「ヘアスタイリング剤」が約1.4倍となるなど、紫外線対策商品や外出時の身だしなみに関連した商品が前年同期比で売上を伸ばしている。今年のUVケア商品は、紫外線だけでなく花粉などからも肌を守れる商品や、塗るとひんやりする日焼け止めなど、プラスアルファの機能を備えたものが人気だそうだ。

楽天ブックスにおいても「旅行関連本」が約1.6倍に伸長するなど、おでかけ需要の回復がはっきりと表れている。

節電グッズ・訳アリ商品で「値上げの夏」に対抗

物販に関する2つ目のキーワードが「値上げ対策消費」だ。日々値上げを実感している人も多いと思うが、エネルギーや原料価格の高騰、急激な円安などによって、身の回りのさまざまな商品やサービスの価格が上昇している。

電気代がかさむ夏に向けて家計の防衛意識が高まるのも当然で、これからの猛暑に備えて、節約・節電に役立つ「暑さ対策関連商品」の需要が高まっている。楽天市場では、「冷却グッズ・暑さ対策用品」の流通額が前年同期比約6.7倍と大幅に増加。特に、ネッククーラーをはじめ、エアコンと併用することで節電しながらも快適に過ごせる冷却グッズに注目が集まっている。

また食品の値下げに備えて、備蓄できる商品のまとめ買いニーズも高まっており、お得な大容量品や、通常よりもお手頃価格の“訳アリ品”への注目が高まっているという。なかでも「訳アリ玉ねぎ」は前年同期比約1.9倍の伸長を見せている。保存がきく乾麺として、そうめんも約1.3倍に伸びており、ネット通販ならではの大容量品や訳アリ品をお得にゲットしている人が多いことがうかがえる。

さらに、楽天ブックスでは「節約本」の売上が前年同期比で約1.2倍となっており、値上げに対抗するために賢く節約を行いたいというニーズが見てとれる。

普段使いもできる“一石三鳥”の防災グッズに熱視線

物販に関する3つ目のキーワードが「防災消費」。豪雨への懸念や、行政による大地震発生時の被害想定の見直しなどを背景に防災意識が高まっており、楽天市場における「防災関連グッズ」の流通額は前年同期比で約1.2倍に伸長。特に暑い夏の災害に備えて「ポータブル電源(約1.6倍)」や「携帯用浄水器(約4.6倍)」などが好調で、ポータブル電源は冷蔵庫や空調家電などに使用できる大容量タイプが人気だという。

また、コロナ禍でのアウトドア人気の高まりを受け、災害時だけでなく、アウトドアや日常など、さまざまな場面で活用できるグッズに注目が高まっている。楽天市場のランキングでは、インテリアとしても楽しめる「ソーラーランタン」や、家の中に置いても違和感がなく、コンパクトに折りたためる「アウトドアテーブル」などが上位にランクインしている。

防災関連グッズというと「普段は出番がない」というイメージが強かったが、日常生活やキャンプなどにも使える“一石三鳥”のアイテムは、限りあるお金やスペースの有効活用という観点からも、引き続き関心を集めそうだ。


今回発表された「復調消費」「値上げ対策消費」「防災消費」という3つのキーワードから消費傾向をひも解くと、「久しぶりの行動制限のない夏を満喫したい」「ひと工夫して物価上昇に対抗したい」「せっかく防災グッズを買うなら普段使いができるものを選びたい」といったニーズが浮き彫りになってくる。

「コロナ禍収束の兆し」というプラス材料と「物価上昇」「災害の懸念」というマイナス材料がせめぎ合う中、少しでも楽しく快適に毎日を過ごしたいと考えるのは誰でも同じではないだろうか。