投資関連の話題における「レバレッジ」とは、「小さな自己資金で大きな投資効果を得る」という意味です。FX(外国為替証拠金取引)などにおいては、「レバレッジを効かせる」といった表現で用いられます。

投資においては、レバレッジを効かせることにより、少ない自己資金での金融商品取引を行うことができます。

本稿では、レバレッジについての基本的な意味を整理してまとめました。また、投資・金融業界に限らず、別の分野における言葉の意味についても解説します。

レバレッジとは?

レバレッジは英語で「leverage」と書き、これは「てこの働き」を示します。

「てこ」とは、小学校の理科の授業で習う通り、“棒の片方を重量物の下に入れ(作用点)、下に支点となるものを置いて、棒のもう片方(力点)を下に押すことで、重量物を小さな力で動かすことができる装置”のことです。

この意味から転じて、「レバレッジ」という言葉は、「小さな努力で大きな結果を得ること」の意味で使われるようになりました。こと投資・金融業界においては、努力=自己資金、大きな結果=大きな投資効果、という意味で用いられます。

  • レバレッジの意味

    レバレッジとは、てこのように「小さな力で大きな力を生み出すこと」を意味します

投資用語としてのレバレッジの意味

以下、投資用語として使われるレバレッジの意味についてもう少し深く掘り下げていきましょう。

  • 投資用語としての「レバレッジ」の具体的な使われ方は?

FXにおけるレバレッジ

レバレッジを効かせた投資方法として有名なものに「FX(外国為替証拠金取引)」があります。

FXの特徴として、手元の資金にレバレッジをかけることで、通常取り引きできる額よりも遥かに多い額を取り引きできます。

例えば、為替レートが1ドル110円のとき、レバレッジ100倍で取り引きを行うとしましょう。すると、通常は、1,000ドルの取り引きをするためには「11万円」の資金が必要な所、レバレッジを効かせることにより、取引に必要な資金を100分の1倍の「1,100円」に抑えることが可能です。

このように、少ない資金で多額の外国為替を取り引きできるのが、FXの特徴です。ただし、レバレッジを効かせるほどにハイリスクとなり、大きな損失を被る恐れがあることをおぼえておきましょう。

仮想通貨取引でのレバレッジ

仮想通貨(暗号通貨)取引についても、現物取引、信用取引でFXと同じようなレバレッジ取引を行うことが可能です。

投資でレバレッジ比率を高くするメリットとデメリット

次に、投資でレバレッジ比率を高めるメリットとデメリットについて解説します。

メリット : 少ない自己資金で投資効率向上

レバレッジを効かせることで、投資効率を向上させることが可能です。

投資できる自己資金が少ない場合、より大きなリターンを得るために、レバレッジ効率の高い投資方法を選ぶことで、より早く大きな利益を得る可能性があります。

デメリット:被るリスクも高くなる

デメリットは「レバレッジ効率を高くした投資は、それだけリスクも高い」という点です。

FXや仮想通貨取引では、ロスカットという仕組みがあり、口座に入金しているより大きな損失が出ないようになっているものの、過去には、スイスフランショックのように急激な相場変動が起こり、このシステムがうまく働かず、大きな損失が出るケースもありました。

リスクとリターンはトレードオフの関係にあるため、レバレッジ倍率を何倍で運用するかについては、よく検討しなければなりません。

投資以外の金融・経済用語としてのレバレッジ

投資以外の金融・経済分野でも、レバレッジという言葉はよく使われます。以下、レバレッジを含んだ金融・経済用語の意味をいくつか紹介します。

  • レバレッジ

    レバレッジを用いた言葉にはどんなものがある?

レバレッジド・バイアウト (Leveraged Buyout)

レバレッジド・バイアウトは、M&A(企業の合併・買収)の手法の一種です。この手法では、“買収先企業の資産”を担保にして、金融機関から資金調達し、その資金で企業を買収します。

これにより、自己資金だけの買収よりも、調達した資金の分大きな規模の企業を買収できます。そのため、レバレッジ効果の高い買収が可能になる点が大きな特徴です。

レバレッジド・ローン(Leveraged loan)

レバレッジド・ローンとは、相対的に“信用力が低い”と見なされている企業に対して行う融資のことを指します。

レバレッジド・ローンは、社債や株式と比べて債務弁済順位が高く、担保も設定されているのが一般的です。さらに、変動金利で定期的に金利の見直しが発生するため、市場金利が上昇しても投資対象としての価値はあまり落ちません。

レバレッジETF

レバレッジETF(レバレッジ指数ETF、レバレッジ型ETFとも)とは、日経平均株価のような「指数連動型」のETFで、レバレッジを効かせた投資ができる金融商品です。

指数の上昇局面でのリターンに期待する「ブル型」のレバレッジETFや、指数の下落局面でのリターンに期待する「ベア型」のレバレッジETFなどがあります。

レバレッジド・リース(Leveraged lease)

レバレッジド・リースとは、賃貸人がリース物件購入代金を長期借入金で調達してユーザーにリースする取り引きのことです。

よく見られるケースに、リース会社が投資家から資金を集め、足りない分は金融機関から借り入れて航空機を購入し、その航空機を航空会社に賃貸する――というものがあります。

なおこの際、リース期間をリース物件の法定耐用年数より長くすることにより、賃貸人は課税所得の繰り延べ効果が得られるほか、ユーザーは割安なリース料金で利用できるというメリットがあります。

金融・経済以外で使われるレバレッジ

その他の業界や、一般的なビジネス用語としてレバレッジが使われるケースも珍しくありません。そのような場面では、どういう意味で理解すればいいのかについて解説します。

  • 金融業界以外における「レバレッジ」の使い方

マーケティングでのレバレッジ

マーケティングでの「レバレッジ」には、2つの使われ方があります。

1つは、“複数の施策をかけ合わせることで、大きな効果を出す”場合。例えば、「購入者を増やす」ことを目的とした施策において、同時に「1人あたりの購入単価を増やす」ことを目的とした施策を行えば、購入者の増加数×購入単価の増加分の売り上げ向上を実現します。

もう1つは、少ない予算で試験的に公開した広告の効果を測定し、大きな効果が見られたら多くの予算をかけて追加で広告を展開する、という場合。この際、「レバレッジをかける」という言い回しが使用されます。

一般的なビジネス用語としてのレバレッジ

ビジネスシーンで「レバレッジを効かせよう」といった言い回しをする場合には、「より小さな労力で大きな成果を出す」「1つの仕事で複数の成果を得る」という意味で解釈するとよいでしょう。

文脈によって異なるレバレッジの意味

レバレッジの基本的な意味は「小さな力で大きな効果を得る」であり、どのような場面で使われていても、この意味は必ず含まれています。

ただ、具体的にどういう部分で「レバレッジ」を効かせているのかについては、文脈によって異なります。会話の中で出てきたときは、「何に対するレバレッジなのか」を意識して考えるとよいでしょう。

  • レバレッジの意味を正しく理解して、仕事上のコミュニケーションをよりスムーズに進めてください

    レバレッジの意味を正しく理解して、仕事上のコミュニケーションをよりスムーズに進めましょう