今や数少ないライトウェイトスポーツカーの貴重な選択肢「アルピーヌ A110」がビッグマイナーチェンジを実施した。2017年に復活し、日本でも往年のファンから熱狂的な歓迎を受けたアルピーヌ。マイナーチェンジではグレード体系を刷新し、ハイパワーなエンジンを手に入れた。

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    ビッグマイナーチェンジを実施した「アルピーヌ A110」

個性際立つ3グレード、どれを選ぶ?

アルピーヌは1955年設立のブランドで、A110の初代は1962年に誕生。現行型は2017年に復活した2代目だ。

今回のビッグマイナーチェンジではグレード体系が変わった。もともとは「A110 ピュア」(基本となるグレード)、「A110 リネージ」(洗練されたデザインと快適性が特徴)、「A110 S」(高出力エンジンと専用チューニングのスポーツモデル)の3グレードだったが、新型は「A110」「A110 GT」「A110 S」の3種類となる。GTがリネージの、新Sが旧Sの後継だ。

GTとSは、従来型よりも馬力とトルクがアップしたハイパワーエンジンを搭載する。具体的には最高出力が252psから300psに、最大トルクが320Nmから340Nmに強化されている。基本グレードであるA110の動力性能は変更なしだ。

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    左が「A110 GT」、右が「A110 S」。ボディを含む重量の96%がアルミ製。直列4気筒1.8リッターターボエンジンをミッドシップレイアウトで搭載し、燃料タンクとラジエーターを前に配置することで、前後の重量配分44:56を達成している

A110 GTはその名の通り、ちょっとした旅行に行くにもスポーツ走行を楽しむのにも対応可能なグランドツーリング(GT)としての個性を強めた。レザーのスポーツシートは適度に硬くてフィット感もあり、座り心地はいいのだが、A110 Sほどガチガチの包まれ感があるわけではない。荷物こそあまり積めないが、ロングドライブにも使えそうな1台だった。

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  • 「A110 GT」はハイパワーエンジンと「アルピーヌシャシー」の組み合わせ。内装にはカーボン、アルミ、レザーを使用

A110 Sはパフォーマンスを追求したモデルで、ほかの2台とはシャシーからして違う。パワーアップしたエンジンの能力を余すことなく使いたいなら、このグレードを選ぶべきだ。

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  • 「A110 S」は専用チューニングを施した「シャシースポール」を採用。最高速度はほかの2グレードが250km/hであるのに対しこちらは260km/h、A110 S専用オプション「エアロキット」(リアスポイラーなど)を装着すれば275km/hまで向上する

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    「エアロキット」に含まれるリアスポイラー

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    マイナーチェンジの変更点まとめ

A110の2018年からこれまでの累計販売台数は「A110 1st EDITION」(初期の限定生産モデル)が1,955台(日本では50台)、「A110 ピュア」が2,625台(同264台)、「A110 リネージ」が3,483台(同328台)、「A110 S」(旧)が1,523台(同167台)。ほとんどが欧州で売れているというA110だが、日本は販売台数全体の10%くらいを占める重要な市場となっている。1st EDITIONについては日本限定50台に1,000件以上の申し込みが殺到。往年のアルピーヌファンの熱量の高さが浮き彫りとなった。

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    ボディサイズは全長4,205mm、全幅1,800mm、全高1,250mmで変更なし。デザインにも変化はない

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    車両重量は「A110」と「A110 S」が(たったの)1,120kg、「A110 GT」が(たったの)1,130kg

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  • マイナーチェンジの変更点で嬉しいのは、新たなマルチメディアシステムの採用により「AppleCarPlay」「AndroidAuto」に対応したところ。実際にiPhoneをつないでみたがばっちり使えた。ただし、画面は最新SUVなどと比べれば大きくない

新型A110の価格は「A110」が811万円、「A110 GT」が893万円、「A110 S」が897万円。受注生産プログラムを利用すれば、ボディカラー、アロイホイールの種類、ブレーキキャリパーの色などを自分好みにカスタマイズできる。組み合わせは約7万通りに達するそうだ。

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    受注生産プログラムは「スタンダードオプション」と「アトリエアルピーヌ」の2種類。アトリエアルピーヌで選べるヘリテージカラーは、アルピーヌの歴史に実在した色をラインアップしているとのこと。専用工場で手作業で塗装しているため、1日に2台しか作れないという

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  • ボンネットとトランクに荷物は積めるが、容量はそれなり

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  • もし買えるならキャリパーは金色にしたいが、その場合、ボディカラーは何を選べばいいのか…。悩みどころだ