多くの就活生から人気の金融業界。しかし、金融業界といってもその仕事内容や職種には様々なものがあります。金融業界への就職を目指すなら、自分の希望する仕事内容や職種を明らかにし、そのうえで充分な対策をとることが必要です。

また、どの仕事でも向き・不向きがありますので、どのような人が金融業界に向くのかも知っておくといいでしょう。この記事では、金融業界の仕事内容や職種、金融業界に向いている人の特徴についてまとめました。金融業界に興味がある人は、ぜひ就活の参考にしてください。

■金融業界の仕事内容

金融業界の業種は「銀行」「証券会社」「保険会社」の3つに分けられます。それぞれの仕事内容を確認してみましょう。

・銀行

銀行では、顧客から預かったお金を個人や法人に融資する仕事をメインとしています。また、業務内容は、企業や地方自治体、機関投資家などを相手とする「ホールセール業務」と、個人や個人事業主を相手とする「リテール業務」の2つに大きく分かれます。

ホールセール業務の内容は、企業などに対し、資産運用のアドバイスや金融商品の紹介、資金調達方法の提案などを行うことです。一方、銀行におけるリテール業務では、個人の資産運用や住宅ローンの相談、保険商品の紹介などを行います。

・証券会社

証券会社は、株式や債券など証券の売買を代行したり、会社が自らの資金を使って証券を売買したりして収入を得る会社です。

証券会社にも銀行と同様に「リテール業務」がありますが、証券会社では、口座開設の営業、株式売買に関するコンサルティング営業などを行っています。

また、証券会社には、経済動向や株式について調査・分析する「リサーチ」、企業や法人の資金調達やIPO、M&Aのサポートを通じ、経営課題の解決を支援する「インベストメントバンキング(投資銀行業務)」などの業務もあります。

・保険会社

保険会社には生命保険会社と損害保険会社があり、それぞれ生命保険や損害保険などの保険商品を開発、販売することで収益を得ています。

また、保険にはがん保険や傷害保険など「第三分野」と呼ばれる保険もあり、これについては生命保険会社、損害保険会社のいずれでも販売が可能です。

なお、保険会社では顧客から預かった保険料を運用し、保険金や配当などの財源に充てる資産運用業務も行っています。

■金融業界の職種

次に、金融業界にはどのような職種があるのか見てみましょう。

<営業職>

金融業界では、銀行、証券会社、保険会社のいずれも営業職として働く人がたくさんいます。また、営業の対象は、大きく個人と法人に分かれます。

・個人営業

個人の顧客に金融商品やローンなどを提案、販売する仕事です。銀行なら預金や投資信託、保険商品のほか、住宅ローン、教育ローンなどの貸出、証券会社なら株式や債券、投資信託、保険会社なら生命保険、損害保険などを取り扱います。

・法人営業

銀行や証券会社では、法人の顧客に対し、融資や資金調達の提案を行うことで事業の成長を支援します。保険会社では、顧客となる企業の従業員に保険営業を行うほか、その企業に適した保険商品を販売します。

<事務職>

・金融事務

金融事務とは、金融に関する事務作業を担当する仕事です。銀行であれば口座開設や預金の受付、入出金の処理、証券会社であればトレーダー、アナリストのアシスタント業務、証券口座管理業務などを行います。

保険会社では、契約内容の確認、申込書の作成、保険金の支払業務などが担当です。

<運用系の職種>

・プライベートバンカー

プライベートバンカーとは、富裕層の資産管理を行うスペシャリストです。資産運用から老後のライフプランまで幅広く対応します。

・ファイナンシャルプランナー(FP)

個人の顧客に対し、家計改善や資産運用のアドバイスを行う仕事です。FP資格を取得し独立して仕事をする人もいますが、企業の中では、営業などの仕事に役立てている人が多くいます。

・ファンドマネジャー

投資信託の運用を指揮する専門家です。アナリストやディーラーなど各分野の専門家と1つのチームになって運用を行いますが、その中で、ファンドマネジャーは司令塔のような役割を担っています。

・ディーラー

顧客から預かった株や債券、為替などを売買し、利益を出す仕事です。ディーラーは、自らの判断で取引を行います。

・トレーダー

顧客からの注文を受け、株や債券などの売買を行う仕事です。トレーダーは顧客やポートフォリオマネジャーなどの指示に従い売買を執行する点において、自分の意思で売買するディーラーとは異なります。

<分析系の職種>

・証券アナリスト

政治や国際情勢などのデータを集めて調査・分析し、今後の経済の動向や企業の将来性などを予測する専門家です。

・エコノミスト

国内外の経済動向について情報収集したり、調査・分析したりする仕事です。個別銘柄の予測ではなく、経済状況全体をマクロの視点から予測します。

・アクチュアリー

保険商品の設計や保険料の算出など、数理業務を行う専門職です。アクチュアリーを名乗るには、合格率10%前後の「アクチュアリー資格試験」に合格することが必要で、金融業界の中でも特に希少性の高い職種とされています。

■金融業界に向いている人とは

これまで金融業界の仕事を見てきましたが、では、金融業界に向いているのは一体どのような人なのでしょうか。金融業界に限らず、業界にはそれぞれ特徴があるため、必然的に、向いている人とそうでない人がいます。

特に金融業界ではタフさが求められるため、それを知らずに就職しても「こんなはずではなかった」と後悔してしまうかもしれません。金融業界にはどのような人が向くのか知り、自分自身を見つめ直すきっかけにしてみましょう。

・数字やお金に強い人

金融業界では、どの業務に就くとしても、必ず数字やお金を取り扱います。そのため、「数字やお金に強い人」は金融業界に向いているでしょう。反対に、日々の業務で数字を扱うことに苦痛を感じる人は、他の業界を目指すべきと言えます。

また、そもそもお金に興味・関心を持っていることも大切です。「お金はどのように私たちの暮らしを豊かにしてくれるのか」と常日頃から考えている人であれば、金融業界の仕事内容を深く理解でき、活躍できることでしょう。

・論理的に考えられる人

金融業界で働くには、論理的に考えられることも求められます。特に、資産運用やデータ分析を行う職種では、一時の感情に振り回されることなく、常に冷静に論理的に考えることが必要だからです。また、営業の仕事でも、相手に話す内容を論理的に考えてわかりやすく伝えなくてはなりません。

論理的に考えられているか自身で確認するのは難しいかもしれませんが、たとえば、大学や大学院の研究・論文で評価された人は、特に論理的思考が身についていると言えるでしょう。

・忍耐力がある人

金融業界では忍耐力があることも重要です。たとえば、営業職であれば、決して軽くはないノルマが課されることや、営業先を1日中はしごすることもしばしばあります。事務職の場合も、膨大な作業をこなさなければならないことがあるでしょう。

また、資産運用などの専門職も、思うような結果が出ない時でも挑み続けなければならない大変な仕事です。その分やりがいがあり、頑張りが給与など待遇面に反映されるのが金融の仕事の魅力ですが、忍耐力のある人に向いている業界だ、ということを知っておきましょう。

・学ぶ意欲のある人

学ぶことが好きな人、学ぶ意欲のある人も、金融業界に向いていると言えるでしょう。経済は社会の動きと連動しているため、日々情報収集が欠かせませんし、職種によって資格取得のための勉強が必要です。さらに、制度の改正や新しい商品についての知識も常にアップデートしなければなりません。

「学び続けていきたい、それによって自分を成長させたい」と思える人、好奇心や探究心の強い人は、金融業界が合っているでしょう。

■金融業界に就職するためやっておくといいこと

最後に、「金融業界に就職したい!」という方が学生のうちにやっておくといいことを3つご紹介します。

・インターンシップに参加する

金融業界に興味があるなら、金融関連の会社で開催されているインターンシップに参加してみましょう。インターンに参加すると、業務内容や会社の雰囲気が理解でき、自分に合う職場なのか見極めるのに役立ちます。

ただし、金融業界はインターンも人気のため、選考を勝ち抜くためには充分な対策が必要です。

・コミュニケーションスキルを磨く

金融業界の仕事はお金を扱うため、コミュニケーション能力に優れ、信頼できる人物でいることが重要です。顧客と直接かかわらない業務をする際も、適切に情報を伝えたり指示を出したりすることが求められます。

しかし、コミュニケーション能力は、意識すれば学生のうちから高めることができます。話す時は目的や結論から話し、相手に合わせて言葉を選ぶ。反対に、話を聞く時は、相手の言葉に耳を傾け、相手の発した言葉を反復するなど、日頃から少し気にしてみるといいでしょう。

・資格の取得、視野を広げる

金融業界で働くのに資格は必須ではありませんが、余裕があれば、証券アナリストやファイナンシャルプランナーの資格を取得するのもいいでしょう。就活の際にアピールできるだけでなく、資格の勉強を通じ、金融の仕事を理解するのに役立つからです。

一方、学生のうちしかできないことをやり、視野を広げるのも大切でしょう。就職のため、就職に関係することだけをしていては、視野が狭くなります。様々なことを見聞きし経験しておくと、将来、何か課題に直面した時も柔軟に考えることができるでしょう。

■金融業界の仕事内容、職種をよく理解しよう

金融業界への就職は難関です。金融業界の仕事内容や職種をよく理解し、自分はどの仕事がしたいのか、そのためにはどのような対策が取れるのかよく考え、就活を進めていきましょう。

また、自分を見つめ直し、「この業界に向いているのか」と問うことも仕事選びには欠かせません。「自分が活躍し、社会に貢献できるのは金融業界だ」と思う人は、頑張って採用を目指しましょう。