JR東海の新型特急車両として、7月1日から特急「ひだ」の一部列車で営業運転を開始するHC85系。日本車両が製造を手がけ、2022~2023年度に量産車を計64両導入する計画となっている。5月末に2両固定・普通車のみの編成も登場した。
HC85系は新型ハイブリッド方式を採用した車両で、特急「ひだ」「南紀」に導入され、既存の特急形気動車キハ85系を置き換える予定。2019年に製造された試験走行車(D1編成)に続き、量産車を2022年度に58両、2023年度に6両、計64両製造する。試験走行車も量産車仕様に改造される。
営業運転開始に先立ち、5月下旬に報道公開と試乗会を実施。配布されたパンフレットの中に、HC85系の車両編成に関する記載があり、7月1日から営業運転を行う4両固定・グリーン車ありの編成に加え、4両固定・普通車のみの編成、2両固定・普通車のみの編成も紹介された。HC85系の車体寸法は、車体長21,300mm(連結面間距離)、車体幅2,918mm、屋根高さ3,750mm(先頭車)・3,640mm(中間車)、床面高さ1,230mm。台車は「ボルスタレス台車、タンデム式軸箱支持方式」。最高速度120km/h、起動加速度2.1km/h/s、減速度4.3km/h/s(常用最大・非常)とされている。
4両固定・グリーン車ありの編成は、岐阜方から「クモロ85-0」(略号「Msc」、空車重量43.1トン、定員36人)、「モハ84-100」(略号「M2」、空車重量38.6トン、定員68人)、「モハ84-0」(略号「M1」、空車重量39.1トン、定員52人)、「クモハ85-0」(略号「Mc1」、空車重量41.9トン、定員56人)。これに対し、4両固定・普通車のみの編成では、岐阜方の先頭車が「クモハ85-300」(略号「Mc4」、空車重量42.6トン、定員44人)に変更されている。「クモロ85-0」では、デッキ部にトイレ(男女共用・男性用)のほか、多目的室と「ナノミュージアム」も設置していたが、「クモハ85-300」のデッキ部はトイレ(男女共用・男性用)と一般洗面所のみの設置とされている。
5月26日には、4両編成のD4編成とともに、2両編成のD101編成が日本車両から出場。5月30日以降、D4編成・D101編成の6両編成で試運転を行い、高山本線など走行したことが鉄道ファンらのSNS等で報告されている。
2両固定・普通車のみの編成は、岐阜方が「クモハ85-200」(略号「Mc3」、空車重量42.7トン、定員40人)、高山方が「クモハ85-100」(略号「Mc2」、空車重量41.9トン、定員56人)とされ、実際に登場したD101編成も、「クモハ85-201」「クモハ85-101」の2両編成となっている。2両とも客室内に大型荷物を収納できる荷物スペースを設置。岐阜方の「クモハ85-200」では、客室内に車いすスペース、デッキ部に多機能トイレと男性用トイレ、車いす対応洗面所を設けたほか、「ナノミュージアム」もデッキ部に設置するという。