ミュージシャンの細野晴臣が21日、ところざわサクラタウン(埼玉県所沢市)で期間限定上映中の細野晴臣ドキュメンタリー映画『NOSMOKING』『SAYONARA AMERICA』の舞台挨拶を行った。

細野晴臣

2019年に音楽活動50周年を迎えた細野。半世紀以上に及ぶ活動を記念して、六本木ヒルズ、大阪グランドフロントでの開催に続き、ところざわサクラタウンで細野晴臣デビュー50周年記念展『細野観光1969-2021』が開催されている。ドキュメンタリー映画の上映と舞台挨拶は、『細野観光1969-2021』の連動企画として行われた。

映画『SAYONARA AMERICA』は、2019年に行われたソロとして初のアメリカツアーの模様、そして、コロナ禍に見舞われた2020年の活動を収めた作品。そして映画『NO SMOKING』は、はっぴいえんど、YMO、ソロアーティストとしての活動など、50年以上に及ぶ創作活動の軌跡を紹介した映画だ。

舞台挨拶に先がけて行われた会見では、2019年に行われたアメリカツアーを振り返り「たまたま50周年のときに良いミュージシャンがまわりにいてくれたし、僕も脂がのっていて、アメリカでツアーがやれたということですね。今だったら出来ないですから」とコメント。さらに映画『SAYONARA AMERICA』のタイトルに対し、「もともとは、はっぴいえんどの曲(『さよならアメリカ さよならニッポン』)がもとになってるんだけど、 “20世紀よ、さよなら”という気持ちもありますね」と語った。

世界中にファンを持ち、多くのアーティストに影響を与えている細野。今週リリースされたハリー・スタイルズの新作『ハリーズ・ハウス』のタイトルが細野のソロアルバム『HOSONO HOUSE』から取られたことについて聞かれ、「寝耳に水に近いですけど(笑)、マジソンスクエアガーデンでライブをやっているような、とても有名な方みたいですね」と驚いた様子だった。

さらに新作の準備に取り掛かっていると明かした細野。「グローバリズムの波に乗った音はできないし、パーソナルな音楽を作るしかない。僕にとって音楽は楽しいものなので、それを取り戻したい気持ちもあります」と意気込みを語った。

舞台挨拶では、「(『NO SMOKING』『SAYONARA AMERICA』について)ずいぶん昔のことのように思えますね。それだけ時代が変わったということでしょう」と、しみじみとコメント。さらに、この先の活動について「(社会と)無関係なことをやりたいんだけど、どうしても社会に影響を受けてしまう。やってみないとわからないですね」と語った。

会場がある所沢市は、『HOSONO HOUSE』が制作された埼玉県狭山市まで車で30分。「思い出深い場所に来られて嬉しい。森があって、環境が素晴らしいですよね。こんないいところに住んでいる方々が羨ましいです」と笑顔で話し、客席からは大きな拍手が送られた。

ところざわサクラタウン・角川武蔵野ミュージアム5Fで開催中の『細野観光1969-2021』(6月26日まで)は、50年の軌跡を追体験できる展覧会。ロック、テクノ、ワールドミュージックなど多岐に渡る音楽家としてのキャリはもちろん、細野が使用してきた楽器や機材、影響を受けた書籍、マンガ、アート作品なども展示され、まるで“観光”するように巡ることができる展覧会となっている。

またドキュメンタリー映画『NO SMOKING』『SAYONARA AMERICA』の上映も、5月22日、6月4日、5日、11日、12日、25日、26日に行われる。