――『M-1グランプリ』『R-1グランプリ』『キングオブコント』『THE W』といった全国ネットのお笑い賞レースは、どれも吉本興業さんの主催や協力で開催されていますが、それに対して『ツギクル芸人グランプリ』が新しい軸でやっていくという自負はありますか?
太田:別に吉本がどうこうというのはないですけど、これだけの人数の芸人がいても、コンテストに出てくるのは固定化されてるじゃないですか。だからもっともっと他の切り口のコンテスト番組はあっていいと思うんですよね。チャンスは多ければ多いほどいいわけだから、ここで優勝して『M-1』に行ってもいいし。そうやって新しい若い芸人が出てくる入口が1個増えるというのは、いいと思いますけどね。
――おふたりが若手の頃より、そうした入口のチャンスは増えているという感じですか?
田中:でも、僕らの頃は芸人の絶対数が少なかったですからね。
太田:我々もいくつかコンテスト番組で上がってきましたけど、お笑いって時代によって増えたり減ったりの繰り返しなんですよね。『ボキャブラ天国』(フジテレビ)もある意味コンテスト番組でしたから。そういうのが盛り上がったり、下火になったりを繰り返してるような気がします。
■本当にやりたいお笑いができるようになってきた
――今はそれが盛り上がっているところにあると思いますが、よくコロナの閉塞感で笑いが求められているという話も聞きます。実際に、それを要因として感じますか?
太田:この2年くらい無観客が続いてきたところで、ようやくお客さんも戻ってきて、芸人としては本当にやりたかったお笑いがまたできるようになってきた気がするんですよ。やっぱりネタってお客さんがいて初めてやったっていう感じがするんですよね。そういうのを経験しないでずっと溜まってたものが、そろそろみんな爆発するっていうか、そういうタイミングにはあるかもしれないですね。若手の中には、客入ってるところでやったことないってやつもいるくらいだから。
――演者さん側にも閉塞感のようなものがあったんですね。テレビ収録に観覧客が入ったら、コロナから売れた芸人さんが緊張したという話も聞きます。
太田:それは本当かわいそうだし、やっぱりみんながワーっとウケるところでやってほしいなと思いますしね。思いっきりやってほしいですよね。
田中:コロナというよりも、常にお笑いは人気ありますからね、そのメンバーが変わっていったりするんでしょうけど。ライブがなくなってYouTubeとかでネタを披露してる芸人が結構いて、そういうところから好きになったり興味持った人もいっぱいいると思うんですよ。我々やる方も当然、お客さんがいるところでライブをやりたいっていうのはあるんですけど、お客さんも満員でぎゅうぎゅうになってると、面白いときに笑いが波のようになるので、それを楽しんでいたんですよね。コロナでそういう経験をしている人がすごく少なくなっちゃったので、またそういう機会が増えていって、新しいお客さんもそんな楽しみを知ってもらって、お笑いがもっと盛り上がっていくといいなと思いますね。