次世代芸人のお笑い賞レース『ツギクル芸人グランプリ2022』決勝が、フジテレビ系で21日(14:30~ ※一部地域除く)に初の生放送で開催される。2年連続でMCを担当するのは、爆笑問題の太田光と田中裕二だ。
現役で舞台に立ち続ける立場から、どのようなスタンスで臨んでいるのか。審査員というものへの興味や若手のネタの傾向、新たな大会を開催することの意義など、話を聞いた――。
■お笑いの審査は主観の問題
――昨年の優勝は金の国さんでした。やっぱり他の芸人さんとは見る目が変わりますか?
太田:出てるのを見るとうれしいよね。でも、もっと売れていいと思います。
田中:そうですね。正直、もっと行っていいかなと思うところはありますね。
――太田さんは、かねてからお笑い賞レースの審査員は引き受けないことを公言されていますが、MCという立場でネタをご覧になっていて、例えば自分が一番面白いと思ったと違う人が勝ち上がるということがあると、ご自身も審査員をやりたいと思われたりしませんか?
太田:いや、それはないですね。去年司会をやってみて、本当に普通にお客として楽しんでたんですよ。審査員になると、どっちが上だとか下だとか決めなきゃなんないから、そうなると心から楽しめないじゃないですか。だから、審査員をやりたいというのは全然ないですね。
――田中さんはいかがですか?
田中:審査員をやりたいかというのはあんまり考えないですね。もちろん、見てて「こいつらは勝ち上がりそうだな」と思いますけど、たとえそれと違った結果になっても「そうだろう」って納得しますから。お笑いなんて主観の問題で人それぞれで違うので。それに、僕らはネタ番組の司会をやって、自分たちも最後ネタやるというパターンも結構あるんですけど、この番組は司会のみでネタをやらなくていいので、すごく気楽に楽しめるんですよね。
■ネタの演技力向上の背景にあるのは…
――昨年、テレビ局スタッフの審査員の皆さんを取材したときに、「人を傷つけないネタ」が増えてるという印象を語っていました。おふたりも、若手芸人の皆さんにそれを感じましたか?
太田:毒舌とかそういうのをあんまり時代が受け入れないということで、やっぱり万人にウケるために、全体的にみんな考えてるのかもしれないですね。
田中:たしかに、徐々にそういう風になってきてるかもしれないですね。実際にやってる彼らはどこまで意識してるか分からないですけど。でも僕らも、当然ライブとテレビでやるネタは全く一緒ではないので、そのへんはいつも考えながらやってますよ。「このネタはできるか」というのをスタッフさんに確認したりして、それでも人を傷つける笑いはやってるんですけど(笑)。ただ、そういうのが僕らの頃よりも今のほうが全然厳しくなって、彼らも敏感に感じ取ってネタを作ってるんじゃないですかね。
――おふたりがネタ作りをするときも、その意識は強くなりましたか?
太田:それは常にありますけど、要は人を傷つけるかどうこうよりも、「ここまで言うと客が引くな」というボーダーラインは考えますね。俺たちはとにかくウケたいわけなんで、客が引いちゃうというのはやりたくないんですから。
――スタッフ審査員の皆さんは、演技力がすごいというお話もしていたのですが、その部分も感じますか?
太田:ありますね。やっぱり、芦田愛菜とか見ててもそうですし…
田中:芸人じゃないから! 役者さんでしょ!
太田:鈴木福は大してうまくないかな。
田中:なんで頭が「マルモリ」に行っちゃったんだよ!
――(笑)。若手芸人さんでも売れるとすぐドラマに出演されたりしていますし、なぜここまで演技力が上がってきたと思われますか?
太田:やっぱりリラックスしてないとうまい演技はできないじゃないですか。俺らが子供の頃はビデオカメラなんてなかったけど、今やネットが普及して人前でカメラを向けられるっていうことに誰も緊張しないんですよ。そういう世代だから、場慣れしてるんじゃないかな。
田中:今の若い人たちは歌もうまいんですよ。カラオケもあるけど、YouTubeとかが出てきて、人前で歌を歌うとか笑わせるとかしゃべるとか、そういうものに触れる機会がものすごく増えてるというのは、要因としてあるんじゃないですかね。