「端的に言えば……」「彼女の話は端的でわかりやすい」などの形で、ビジネスシーンでも耳にする機会が多い言葉である「端的」。その意味や使い方、類語などを解説します。ぜひ参考にしてみてください。

  • 端的の意味について解説します

    端的の意味について解説します

端的の意味

まずは、端的の言葉の基本的な意味について解説します。

端的の読み方

「端的」は、「たんてき」と読みます。特に変わった読み方ではないので、大多数の人は問題なく読めたのではないでしょうか。

端的とは

端的は、「たちどころである様子、すぐさま」「はっきりとして明白な様子」といった意味を持っています。

「手っ取り早く要点だけをとらえるさま」という意味もあり、「端的に言うと」「問題点を端的に述べてください」といった形で耳にしたことも多いのではないでしょうか。

そのほか、名詞で「正しいこと、真実」という意味もあります。

「短的」「単的」との書き間違いに注意

前述のように、端的の読み方は「たんてき」なので、「短的」「単的」と書き間違えてしまう人もいるようです。「短的」は中国語で「短い」という意味ですが、日本語には存在しない言葉なので注意しましょう。同様に、「単的」という言葉もありません。

端的の使い方と例文

端的は、前述のように「たちどころである様子、すぐさま」「はっきりとして明白な様子」「手っ取り早く要点だけをとらえるさま」といった意味を持っています。

次の例文を参考に、正しく使えるようになりましょう。

・彼の改善策は、端的に結果を出し始めた
・その名物教授の説明は、端的でわかりやすかった
・彼女の奏でる音楽は、彼女の心情を端的に映し出している
・そのパンフレットには、商品の魅力が端的に表現されていた
・端的に言うと、わが社の力の源泉は社員の質の高さに尽きる

端的の類語

言葉の意味をより深く理解するためには、類語や言い換えを確認することも大切です。「端的」にも多くの似た意味を持つ言葉がありますので、いくつかご紹介しましょう。

明快

「めいかい」と読み、「筋道がはっきりしていてわかりやすいことやその様子」という意味があります。「明快な回答を得られた」といった使い方のほか、四字熟語「単純明快」も使用頻度の高い言葉でしょう。

平明

「へいめい」と読み、「わかりやすくてはっきりしていることやその様子」を表します。「平明な説明が大切だ」といった形で使います。また、そのほかに「夜明け、明け方」という意味もあります。

明晰(めいせき)

読みは「めいせき」で、意味は「明らかではっきりしていることやその様子」。「彼は明晰な文章を書く」などのほか、「頭脳明晰」という四字熟語もよく使われます。

明瞭

「めいりょう」と読み、意味は「はっきりしていることやその様子」。使い方は、「その老人の言葉は明瞭だった」などとなります。

明白

読みは「めいはく」で、「明らかで疑う余地のないことやはっきりしていること、その様子」「明らかになること」を表します。「明白な根拠を示しなさい」などの形で使用します。

簡明

「かんめい」と読み、「簡単ではっきりしていることやその様子」という意味。例文としては、「要点を簡明に述べてください」などとなります。

簡潔

「かんけつ」と読み、意味は「簡単で要領を得ている、手短な様子」です。「簡潔に要点を述べる」などの形で使用します。

単刀直入

読みは「たんとうちょくにゅう」。一人で刀を持って敵陣に切り込むという意味から転じて、「直接、要点を突くことや、遠回しでなく、すぐに本題に入ることやその様子」を表す四字熟語となりました。「単刀直入にお聞きします」などの形で使います。

  • 端的の類語や対義語を知って、理解を深めましょう

    端的の類語や対義語を知って、理解を深めましょう

端的の対義語

それでは次に、端的の対義語、反対のニュアンスを持つ言葉を見てみましょう。

冗長

「じょうちょう」と読みます。意味は「文章や話などが、無駄が多く、くどくて長いことやその様子」です。使い方としては、「彼の演説は冗長で退屈だった」などとなります。

冗漫

「じょうまん」と読み、「表現がダラダラと締まりがなくて無駄が多いことやその様子」。上記の「冗長」に加えて、「散漫」であるというニュアンスが感じられる表現です。「ビジネスにおいて、冗漫な文章は不適切だ」などの形で使用されます。

迂遠(うえん)

読み方は「うえん」。道路などが曲がっていて目的地にまっすぐ到達できないことを意味し、そこから「まわりくどくて遠回しな様子。またそのために、実際の用事に適さないさま」を表す表現となりました。加えて、「世の中の動きに疎い様子」を表す際にも使用する言葉です。

婉曲(えんきょく)

「えんきょく」と読み、意味は「表現が穏やかで角が立たない、露骨でない様子」となります。「彼女はその誘いを婉曲に断った」などと使う表現です。

なお、似た読みの「歪曲(わいきょく)」は、「事実をあえてゆがめて伝えること」という、まったく異なる意味の言葉ですので、誤用に注意しましょう。

遠回し

「遠回し」は、「直接的でなく間接的に、それとなく伝えることやその様子」を表す言葉です。「部長のミスを遠回しに指摘する」といった形で使用します。

端的の英語表現と例文

「端的」に該当する英語表現は「clearly」「plainly」「directly」「point‐blank」など多数考えられます。少しずつニュアンスが異なるため、文脈やシチュエーションなど考慮しつつ、適切なものを選びましょう。

clearly

「clearly」には、「明るく、清らかに、疑いもなく」など多くの意味がありますが、その中に「はっきりと、明瞭に」という意味もあります。「put it clearly」の形で、「はっきり言えば」という意味の表現となります。

I wanted to put it more clearly.
(私は、もっとはっきりと言いたかった)

plainly

「plainly」は、「明白に、率直に、はっきりと、簡単に」などの意味を持っています。「plainly speaking」で、「端的に言うと」という意味になります。

Plainly speaking, I didn't understand that meaning.
(端的に言うと、私にはその意味がわからなかった)

directly

「direct」は、ある対象に直接向かうという意味から、「真っすぐな」「率直な」などの意味を持ちます。「directly」は、「まっすぐに、すぐに、率直に」という意味となります。

She spoke directly about her feelings.
(彼女は自分の気持ちを率直に語った)

frankly

「frankly」には、「率直に、包み隠さずに」などの意味があります。

Frankly, that project was a failure.
(率直に言って、その事業は失敗した)

straightforward

「straightforward」には、「まっすぐな、率直な、簡単な」などの意味があります。

The Doctor gave them a straightforward account of what had happened.
(その医者は彼らに、起きた出来事を端的に話した)

point‐blank

「point‐blank」は「率直に、むき出しに、ぶっきらぼうに」などの意味があります。

He refused point‐blank.
(彼はきっぱりと断った)

端的の意味を知って正しく使おう

「端的」には、「たちどころである様子、すぐさま」「はっきりとして明白な様子」「手っ取り早く要点だけをとらえるさま」などの意味があります。

特に、3つ目の「手っ取り早く要点だけをとらえるさま」は、ビジネスシーンで「端的に説明してください」などと求められることの多い、重要な表現となります。また、会話の際に端的に話すことを心掛けることで、自身の考えや主張の要点を明確かつシンプルに相手に伝えることが可能となるでしょう。

このように、「端的」はビジネスシーンにおいても役立つ言葉です。しっかり意味を覚えて、使いこなせるようになりましょう。