「稀有な人」「稀有な才能」などのフレーズで見聞きすることも多い「稀有」という言葉。この記事では、稀有の意味のほか、類語や対義語、例文や英語表現などを紹介します。稀有は知的な雰囲気のある、使い勝手のいい言葉ですので、ぜひ参考にしてみてください。
稀有の意味
まずは、稀有という言葉の基本的な意味や読み方について解説します。
稀有とは
稀有の意味は、「非常にまれであり、とても珍しいことやその様子」です。「彼は稀有な才能の持ち主だ」といった形で使用します。また、「不思議なこと」といった意味も持ちます。ただし、普段「稀有」という言葉を耳にする際は、前者の意味で使われることが多いでしょう。
稀有の読み方
稀有は、「けう」と読みます。「きゆう」という読み方もありますが、一般的にはあまり使われていません。
稀有の「稀」は「まれ」とも読み、「めったになく珍しいこと」を意味します。「有」は「あること、存在すること」を意味しています。この2つを合わせた稀有は、「存在がまれであること」、つまり「とても珍しいこと」という意味になります。
稀有と希有は同じもの
なお、稀有と同じ読み・意味で「希有」という言葉もあります。「稀有」の「稀」が常用漢字でないことから代わりに「希」が使われるようになり、それが表記として定着したという経緯があります。そのため、「稀有」と「希有」は同じのものと考えていいでしょう。
「杞憂(きゆう)」との誤用に注意
前述のように、稀有は「きゆう」とも読むことから、「杞憂」と混同されることがあります。杞憂とは取り越し苦労のことで、起こるかどうかわからない、心配しなくてもいいことを心配することを意味します。
意味を取り違えて覚えたり、変換ミスをしたりしないように留意しましょう。
古語での稀有の意味
稀有は古典においては「(主に悪いことについて)意外なこと、とんでもないこと」「やっとの思いで、かろうじて、九死に一生を得る」という意味で使われていました。現在ではこのような意味で使われることはあまりありません。
稀有の使い方と例文
前述のように、主に「非常にまれであり、とても珍しいことやその様子」という意味を表す稀有。下記の例文を参考に、正しく使えるようになりましょう。
・彼女は史上最年少で三冠を達成した、稀有な人だ
・彼は新人ながら、いきなり20勝を挙げるという稀有な記録を残した
・このホワイトタイガーは世界的にも貴重で、稀有な存在です
・私の友人は一日に2回も交通事故に遭うという、稀有な体験をした
・90歳を過ぎても健康で、風邪すらひいたことがないのは稀有だと思う
稀有の類語
稀有の類語を紹介します。少しずつニュアンスが違うため、それぞれの意味を理解し、適したシチュエーションで使ってみてください。
まれ
前述のように「稀有」の「稀」は「まれ」と読み、一文字で「めったになく珍しいこと」を表します。常用漢字では「希」と書きますが、一般的にはひらがなで「まれ」とすることが多いようです。
「匹敵する、肩を並べる」ことを意味する「類う(たぐう)」の連用形である「類い(たぐい)」と合わせた、「類いまれ」という表現もよく使われます。こちらは「非常に優れた、または非常に悪いなど、めったにないことであるさま」を意味し、「類いまれな美しさ」などの形で使用します。
希少・稀少(きしょう)
意味は、「少なくて珍しい、極めてまれなことやその様子」です。「南極で希少な生物が発見された」などの形で使用します。
希代・稀代(きたい・きだい)
意味は、稀有と重なる「世にもまれであり、非常に珍しいことやその様子」となります。また、「不思議であることやその様子」という意味もあります。
非凡(ひぼん)
「平凡でないこと、通常より特に優れていることやその様子」を表します。「非凡な才能」など、人の能力や資質を評価する際によく使われる言葉です。対義語は「平凡(へいぼん)」となります。
レア
英語で「まれな」「珍しい」を意味する「rare」をカタカナ表記したものです。「レアケース」「レアアイテム」などの形で、すっかり日本語化した表現となっています。
珍しい(めずらしい)
「珍しい」は、「まれであり普通と異なっていて目新しい、貴重であること」という意味を持ちます。稀有は「とても珍しいこと」を意味しますので、「珍しい」をより強調した表現と言えるでしょう。
稀有の対義語
それでは次に、稀有の対義語を見てみましょう。反対の意味の言葉を知ることで、稀有についての理解も一層深まるでしょう。
人並み(ひとなみ)
「世間一般の人と同程度であることやその様子、世間並み」を意味します。「人並みの生活」などの形で使用します。
月並み(つきなみ)
「ありふれていて新鮮さがないことやその様子」という意味があります。なお、「毎月必ず行われること、月に一度の」という意味もあります。
平凡(へいぼん)
「優れた点がなく、当たり前なことやその様子」を表す言葉です。「へぼ」は元々は平凡の略語で、つたないことを意味します。
凡庸(ぼんよう)
「平凡で優れたところ、とりえのないこと。また、その人やその様子」を表します。「凡庸な人物」など、人に対して使うことの多い表現です。
ありきたり
「元からあること」が転じて、「ありふれていて珍しくないことやその様子」を示す表現となりました。「ありきたりな感想」といった形で使います。漢字で書く際は「在り来り」となります。
稀有の英語表現と例文
稀有の英語表現は、前述の類語「レア」の元である「rare」のほか、「infrequent」「uncommon」「unusual」などが考えられます。
rare
半ば日本語化している「rare(レア)」には、「まれな、珍しい、めったにない」といった意味があります。
(それは稀有な出来事だった)
infrequent
「infrequent」は、「たまの、まれな、めったに起こらない」という意味を持つ形容詞です。
(このような機会はめったにない)
uncommon
「uncommon」には、「珍しい、まれな、非凡な、普通ではない」といった意味があります。
(その少女は、非凡な才能の持ち主だった)
unusual
「unusual」には、「普通でない、異常な、まれな」といった意味があります。
(沖縄で雪が降るのはまれである)
稀有の意味を知って正しく使おう
稀有には、「非常にまれであり、とても珍しいことやその様子」などの意味があります。単純に「とっても珍しい出来事」や「まれな体験」などと言うよりも、「稀有」を使うことで知的な雰囲気や教養の深さを示すことができるかもしれません。
ビジネスシーンにおいても、会話の際にこういった表現をさりげなく使うことで、相手にスマートな印象を与えられるでしょう。しっかり意味を覚えて、「稀有」という表現を使いこなしてみてください。