現在放送中のTBS系日曜劇場『マイファミリー』(毎週日曜21:00~)。本作で、主人公であるゲーム会社社長の鳴沢温人(二宮和也)とはビジネスパートナーであり、家族ぐるみの付き合いをしているNEXホールディングス社長のCEO・阿久津晃を演じている歌舞伎俳優の松本幸四郎。5月8日放送の第5話では、誘拐犯逮捕に並々ならぬ執念を燃やす葛城圭史(玉木宏)から怪しいと睨まれるが、ラストでは阿久津の愛娘・実咲(凛美)が誘拐されるというショッキングな事実が判明。益々謎は深まる一方で、SNS上でも考察が大いに盛り上がっているが、そんな反響に「自分自身も楽しんでいます」と語った幸四郎が、近年現代劇に出演している歌舞伎俳優たちが大きな刺激になっていることを明かした。

  • 『マイファミリー』阿久津晃役の松本幸四郎

幸四郎演じる阿久津は、日本を代表するネットサービス企業のCEO。一連の誘拐事件によって、温人の会社の株を大量取得し、社外取締役にもなった男だ。誘拐事件によって大きな利益を得た人物として、葛城は事件への関与を疑うが、阿久津自身は余裕しゃくしゃくで相手にしない。

「阿久津はある意味で人生の成功者であり、そういう人間はどんな考えを持って行動するのかということを想像しながら取り組んでいます。また立場的にも取り乱すようなこともなく、常に冷静で感情を表に出さない。逆に言えば、そういうミステリアスな部分が、観てくださる方の想像力を掻き立てるものになればいいなと思っています」。

そんな阿久津だが、第5話の終わりで、娘が誘拐されるというショッキングな出来事が発生する。オリジナルストーリーである本作は、今後の展開がまったく想像できない。

「いままでは公の場での阿久津という部分が多かったと思いますが、今後は自分の家族を見る目線が増えていきます。阿久津も人間なんだというところを見ていただければ」。

主人公・温人を演じる二宮との関係性もサスペンスの要素として大きな見どころだ。

「二宮さんはとても自然体ですね。もちろん役作りをしているのでしょうが、作られた感じがせず、とてもナチュラル。ドラマは緊張の連続だからこそ、オンオフが大事になってくると思いますが、そこもすんなりとやられていて、現場作りを含めてやっぱりすごい役者さんだなと思います」。

■同年代や後輩の現代劇での活躍に「自分も飛び込んでみたいなと…」

過去市川染五郎時代、日曜劇場には『ヨイショの男』(2002年)、『猟奇的な彼女』(2008年)と2度の出演経験がある。

「撮影時間は、朝早くから夜遅くまでの連続で大変なのですが、無駄な時間がなく、テンポよく作られている。現場の雰囲気も良く、さすがだなと思いました。昔と比べてなにが変わったかは分かりませんが、とても良い現場にいられて幸せです」。

近年、日曜劇場と言えば歌舞伎俳優の活躍が目立つ。常連である香川照之をはじめ、『半沢直樹』の片岡愛之助、市川猿之助、尾上松也、『グランメゾン東京』の尾上菊之助、『ノーサイド・ゲーム』の中村芝翫、『陸王』の市川右團次など、ゲストでの出演を含めれば、枚挙にいとまがない。

「本当に日曜劇場だけではなく、歌舞伎俳優さんが現代劇に出演することが当たり前のような時代になりました。しかも同年代や後輩たちもたくさん出演しているので、その意味では、無意識でも刺激になっていると思いますし、彼らの活躍によって自分も飛び込んでみたいなと背中を押してくれているような気がします」。