トマトの栄養素といえば、リコピン。聞いたことがあるという方も多いでしょう。リコピンはカロテノイドという色素のひとつで、強い抗酸化作用があるといわれています。日差しが気になる夏場にはうれしいですよね。ほかにも、美肌につなげるビタミンCも豊富です。

本記事では、栄養豊富なトマトについてくわしくご紹介。おいしいトマトの選び方などについても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

  • トマトの栄養成分や効能について解説します

トマトとは

トマトはナス科トマト属の野菜です。原産地はアンデスの高地と言われ、16世紀に入りヨーロッパへ渡ったと言われています。当初は毒があると考えられていたため観賞用でしたが、19世紀頃から食用として栽培されるようになりました。現在ではスペインやイタリア料理には欠かせない食材となっています。

トマトの旬は夏ではない?

トマトは一年中、店頭で手に入れることができる野菜ですが、旬は6~8月の夏の時季。ただし、トマトは本来、高温多湿に向かない野菜とされており、4~5月の春から初夏にかけてがいちばんおいしい時季だとされています。日照時間が比較的長く、湿気が少ない時季に糖度をあげて甘くなり、栄養価も高まると考えられています。

トマトの種類

トマトの種類は大きさも形も色も多種多様で、日本だけでなく世界を見れば何千という種類があります。例をあげると以下のような種類があります。

・桃色系トマト
国内スーパーなどの市場で最も出回っている種類で、甘みがあり香りやクセが少ないためサラダなどでも食べやすいトマトです。皮は薄くて無色透明なものが多いです。「桃太郎」などの品種が有名です。

・赤色系トマト
酸味、香りともに強く、皮が厚く濃い色がついています。煮崩れしにくいので煮込み料理や缶詰、ケチャップなどの加工用トマトとして使われることが多い種類です。イタリアのサンマルツァーノなどがこれにあたります。

・ミニトマトやマイクロトマト
スーパーでもさまざまな品種を見るようになった小さなサイズのトマト。まん丸や長細い形、色も赤色だけでなく黄色もあります。

・グリーントマト
熟しても赤くならないグリーンのトマトもあります。黄色と緑のまだら模様のグリーンゼブラというトマトなどがあります。

また、栽培方法の工夫によって高濃度にしたトマトのブランドもあります。水分や土の塩分を高めることで甘くしたフルーツトマト、永田農法と呼ばれるアンデス本来の気候風土に近づけた環境で栽培した「永田農法栽培トマト」、土壌塩分濃度が高い干拓地などで栽培される「塩トマト」などが有名です。塩トマトは熊本県の八代地域で知られています。

  • トマトがもっともおいしくなるのは春~初夏にかけての頃

トマトの主な栄養素と効能

ここからは、トマトの主な栄養素と効能を見ていきます。

<トマト>※可食部(ヘタを除く)100gあたり
エネルギー: 20kcal
水分: 94g
・たんぱく質: 0.7g
・脂質: 0.1g
・炭水化物: 4.7g
・食物繊維: 1.0g
・β-カロテン: 540μg
・葉酸: 22μg
・ビタミンC: 15mg
・カリウム: 210mg

トマトのリコピンとは?

トマトは、栄養価が高いとされる緑黄色野菜のひとつ。とくにリコピンという栄養成分が有名です。リコピンとは赤色や黄色といったカロテノイドの一種で、おもに活性酸素の発生を抑えたり、除去したりする作用があります。リコピンはほかにも、血糖値を下げる、動脈硬化を予防する、美肌へつなげるなどの作用があるとされています。

抗酸化作用のあるβ-カロテンも

リコピンと並んでトマトに豊富なのは、β-カロテンという栄養素。β-カロテンもカロテノイドの一種で、活性酸素が原因となる動脈硬化や老化の症状を抑える作用があるとされています。また、β-カロテンは体内でビタミンAとなり、視力や粘膜、皮膚を健やかに保つという効能があります。

脂肪燃焼効果がある13-oxo-ODA

トマトの果汁に含まれる13-oxo-ODAという成分。これはリノール酸(不飽和脂肪酸)の一種で、脂肪燃焼作用があるとされています。血糖値を低下させる効果も期待され、特にトマトジュースに多く含まれるとされています。

飲酒後のアルコール濃度の低下にも

アサヒグループとカゴメの共同研究チームは、2012年、「トマトジュースとアルコールを同時摂取すると、トマトジュースを飲んでいない場合と比較して、血中のアルコール濃度や体内に留まる量が平均で約3割減少し、体内からのアルコール消失も50分早まることが確認された」と発表しています。早く酔いをさましたいという場合には、お酒のあとにトマトジュースを飲むのもいいかもしれません。

トマトとミニトマト、栄養価が高いのは?

トマトとミニトマトでは、一般的にミニトマトのほうが栄養価が高いとされています。ミネラルやビタミンがミニトマトには全般的に多く、なかでもβ-カロテンは赤色トマトが540μgであるのに対し、赤色ミニトマトでは960μgとなっています。

  • トマトの栄養成分で代表的なものはリコピンです

おいしいトマトの選び方

トマトを選ぶ際は、丸く、重みがあるものを選ぶようにします。でこぼこしているものや角張っているものは中に空洞が多い可能性があります。新鮮かどうかの見極めはトマトのヘタでも判断できます。乾燥してしなびているものは収穫から時間がたっている可能性が。きれいな緑色でピンとしたヘタのトマトを選びましょう。

また、トマトは春にもっとも味がのっておいしくなるとされています。夏に食べる場合は、できる限り冷涼な高地栽培のトマトや、完熟してから収穫された地場のトマトがおすすめです。トマトを裏返してみると、お尻の部分にうっすらと白い筋が放射線状に通っていることがあります。これはトマトの水分が凝縮されて、糖度が上がっている証しとも。ぜひチェックしてみてください。

  • トマトを裏返してうっすらと白い筋が見えるものは甘みがしっかり

トマトのリコピンは加熱すると摂取しやすく

トマトはサラダなどで生で食べるのがもっとも一般的。生でもトマトのうまみはしっかり味わえます。ここでは、特にリコピンを効率よくとれる食べ方をご紹介します。

■加熱する
トマトは加熱することでトマト内部の細胞壁が壊れ、リコピンなどの栄養成分が流れ出しやすくなります。さらにトマトに含まれるβ-カロテンは脂溶性ビタミンのため、油に溶けだすという性質も。油を使って炒め物にするのもおすすめです。

■トマトジュースやトマト缶を使う
トマトジュースやトマト缶はトマトを煮詰めて作るために、1缶に何個ものトマトが使われています。つまり、リコピンもそのぶんぎゅっと凝縮されているということ。また、製造工程で加熱されていたりミキサーで細かくされていたりするため、生のトマトに比べるとリコピンが摂取しやすくなります。

トマトの皮を上手にむく方法

消化や食感をよくするためにトマトの皮をむく場合は、沸騰したたっぷりの湯にヘタをくり抜いたトマトを丸ごと入れ、10~20秒待ちます。その後、氷水に浸せば皮はつるりとむきやすくなります。

トマトの切り方のコツ

トマトをうまく切れないと断面が崩れ、中のタネやゼリー状の部分が出てしまうことがありますよね。サラダなどはときにきれいに盛り付けたいものです。きれいに切るためには、「ヘタの周辺のゴツゴツした凹凸に沿って切る」「お尻の部分の白い線を外して切る」などの方法が知られています。ぜひ試してみてください。

トマトの保存方法

まだ完熟に至っていない青みがかったトマトは室温におき、追熟させます。ヘタの付け根まで赤くなったトマトは完熟しているためビニール袋に入れるかラップをして冷蔵庫の野菜室に保存します。お尻が潰れるのを防ぐためヘタを下にして入れておくのがおすすめです。

  • トマトジュースやトマトスープでリコピンを手軽にとろう!

リコピンが豊富なトマトは、夏にうれしい食材!

トマトは栄養豊富とされる緑黄色野菜のひとつで、特にリコピンという栄養成分がたっぷり。リコピンは老化の原因とされる活性酸素に働く抗酸化作用があるとされています。また、β-カロテンやビタミンCも豊富。強い日差しが気になる夏場には、特にうれしい栄養成分が含まれています。

リコピンはトマトジュースやトマト缶にぎゅっと凝縮されているため、これらを使うと効率よく摂取することができます。ぜひ、毎日の習慣に取り入れてみてくださいね。