お祝いにまつわる特別なイベントは、できるだけ縁起の良い日に行いたいと考えている方も多いでしょう。縁起といえばポピュラーなのが六曜(ろくよう)。例えば「結婚式は大安(たいあん)にするといい」と聞いたことがある人も多いのでは?

だからといって、大安以外の日はお祝い事をしたり、お祝いの品を送ったりしてはならない、というわけではないのです。ここでは特に先負(せんぶ)の日のお祝いについて詳しくご紹介します。

  • 先負はお祝いには不向きな日なのでしょうか?

    先負はお祝いには不向きな日なのでしょうか?

先負はお祝いには不向き? その他の六曜とは?

「六曜」とは元々、昔の暦において日付の下に書かれていた注記、つまり暦注(れきちゅう)の一つでした。その日の吉凶を占う役割を持つ六曜は、中国で生まれた後、日本には14世紀ごろに伝来し、一般的に知られるようになったのは江戸時代ごろだといわれています。現在でも私たちの生活に根付いており、カレンダーやスケジュール帳に「先負」「大安」などと記載されているのを目にする機会も多いでしょう。

六曜は6つに分類されており、「先負」はその一つです。「負け」という文字が入っているため縁起の悪い日、お祝いには不向きな日というイメージが持たれがちですが、ここでは先負とはどのような日なのかを具体的にご紹介します。

先負の意味と読み方とは

六曜の中でも縁起が良いとされる日と、逆に縁起が悪いとされる日があります。一般的には「大安→友引(ともびき)→先勝(せんしょう)→先負→赤口(しゃっこう)→仏滅(ぶつめつ)」の順番に縁起が良いとされています。つまり先負は六曜の中で4番目に縁起の良い日ということになります。

先負は「せんぶ」「せんまけ」「さきまけ」などと読み、「先んずれば即ち(すなわち)負ける」という意味を持ちます。物事を急ぐと凶、あるいは午前中は凶と解釈されており、逆に午後は吉とされています。一日を通して凶というわけではないため、縁起が悪い日ではありません。もちろん、結婚式などのお祝い事が行われることもあります。

お祝いに大安や友引が選ばれる理由

一般的にお祝いといえば大安の日を選ぶというイメージを抱いている方が多いでしょう。大安は前述の通り、六曜の中でもっとも縁起の良い日であり、お祝い事や新しい事柄を始めるのにふさわしい日とされています。

また、おめでたい行事には友引も人気です。友引は「友を引く」と書くことから、その日に行ったことが周囲に影響を与えると解釈されています。そのため、この日にお祝い事をすることで周りに幸せを分けることができると考えられているのです。一方で、葬儀などの弔事は避けられる傾向にあります。

先負と先勝のどっちが縁起が良い?

先負と近い意味を持つ日としては先勝が挙げられます。先勝には「先んずれば即ち勝つ」という意味があり、物事を急ぐと吉、午前中が吉と解釈されています。一方で、午後は凶となります。先負は午前中が凶で午後が吉なので、逆の意味を持つ日なのです。

前述の通り、六曜の中で縁起の良い順番は「大安→友引→先勝→先負」なので、一般的には先負より先勝の方が縁起が良いとされていますが、時間帯によって吉または凶となる時間は異なっています。そのため、どちらの方が縁起が良いかを考えるのではなく、お祝いや行事が開始する時間によって、どちらを選ぶかを考えるようにしましょう。

  • 先負とはどのような日なのかを知りましょう

    先負とはどのような日なのかを知りましょう

先負にしてもいいお祝い

前述の通り、先負は決して縁起が悪い日ではなく、実際にさまざまなお祝いが行われることがあります。ここではより具体的に、先負の日にしてもいいお祝いについてご紹介します。

結婚式や入籍

結婚は人生の中でも特に大きなお祝い事であり、本人のみでなく周囲の親族や友人などにとっても特別な日です。それだけに縁起を担いで日取りを考えるという方が多いでしょう。

先負は決して縁起が悪いというわけではありません。先負の日は午後が吉となっているので、結婚式は午後に開始するといいでしょう。

大安や友引の方がより縁起が良いとされてはいますが、一方で人気が集中するため式場の予約が取りにくい傾向にあります。特に土日で選ぼうとすると、ますます予約が難しくなるでしょう。先負の日は決して縁起が悪い日というわけでもないのに比較的混雑しにくく、式場を予約しやすいというメリットがあります。特に式場選びを重視したい、土日などを考慮したいという方にとっては一つの選択肢となるでしょう。

入籍も同様に、先負の場合は午後に行うといいでしょう。

七五三

子供の健やかな成長を願う儀式ということもあって、七五三のお参りは大安などの縁起の良い日が選ばれる傾向にあります。スケジュールなどの都合で先負の日に七五三のお参りを行う場合は、午後からがおすすめです。

引っ越し

気持ちを新たに歩みだすという意味で引っ越しもお祝い事といえますが、縁起を気にするのであれば午後から作業を開始するのがおすすめです。しかし荷物の量や距離などによっては難しいため、そんなときはスケジュールを優先してもいいでしょう。

なお先負は大安などのより縁起が良い日と比較すると予約が取りやすく、業者によっては割引サービスを受けられるケースもあるかもしれません。

出産祝い

出産のお祝いの品を先負に渡すなら、基本的には吉となる午後がおすすめです。とはいえ、出産直後はなにかと忙しく、心身ともに負担が大きくなる時期です。そのため、相手のスケジュールを優先することも大切です。特に、相手方の家を訪問してお祝いする場合は、縁起以外の面も意識して気遣うようにしましょう。

  • 先負の日にお祝いをするなら午後がおすすめです

    先負の日にお祝いをするなら午後がおすすめです

先負にお祝いをする際の注意点

先負は決して縁起が悪い日というわけではなく、お祝いをしても問題ありませんが、先負の日にお祝いをする際の注意点をご紹介します。

先負のお祝いは午後に行うのが吉

先負の日は午前中が凶とされているため、なにかを行う際は基本的に午前中を避けることを意識しましょう。午後は転じて吉となるため、お祝いをするには適した時間帯であるといえます。

六曜より相手の都合を考えることも大切

六曜は縁起の面で考えると重要ですが、あまりに振り回されてしまうのはNGです。特に出産祝いを渡す際などは、縁起よりも相手の都合をしっかりと考えることも大切です。

もちろん、相手が自分より縁起を気にするという場合もあるので、自分主体でお祝いの予定を考えるのではなく、相手に相談して日取りを決めるのがベストです。

結婚式などの催し物の日取りについても、自分たちだけでなく、親族や親しい友人の意見に耳を傾けるとわだかまりを防げるでしょう。

  • 先負にお祝いをする場合は注意点も意識しましょう

    先負にお祝いをする場合は注意点も意識しましょう

先負にお祝い事をしても問題はない

先負に対して、その字面からネガティブなイメージを抱いている方も少なくありません。お祝いの日としては避けたいと思う方もいるようです。しかし、先負は決して縁起が悪い日というわけではなく、結婚式などのお祝いをしても問題ないでしょう。

特に午後は吉となるため、結婚や七五三、出産祝いなどさまざまなお祝いに適しているといえます。さらに、大安や友引などと比較すると人気がないため混雑しにくい、割引サービスが受けられるケースがあるといったメリットも。先負は縁起が悪い日と決めつけて除外するのではなく、選択肢に含めることでよりスケジュールを組みやすくなるでしょう。