お酒好きのオトナ旅にぴったり! 「etSETOra(エトセトラ)」は、JR西日本が運行する広島の観光列車。バーカウンターが楽しめたり(※復路のみ)、ここでしか食べられない限定スイーツがあったり。瀬戸内のいろんな魅力が、ギュギュッと詰まっています。
そして、運行開始1周年を迎えた2021年10月、「復路も海が見たい」のリクエストに応えて、復路の運行ルートが変更に。往復ともに、穏やかな瀬戸内海と島影を眺められる「呉線」経由になりました!
今回はお酒大好きの筆者が、尾道駅発ー広島駅着(復路)を走る3時間の列車旅を体験。鉄道ファンならずとも、呑兵衛を天国へと導く「エトセトラ」の魅力に迫ります。
海絶景を手軽に満喫できる! ハイコスパ観光列車
「etSETOra」と書いて「エトセトラ」と呼ぶこの列車。名前の由来は、ラテン語で「その他いろいろ。等々。…など」という意味と、広島弁で「えっと」が表す「たくさんの」「多くの」といった意味があります。
運行日は原則、金曜から月曜までの週4日間。全席指定の快速列車になるため、乗車券+普通列車指定席グリーン券が必要です。
驚くのはその料金! 復路の尾道駅→広島駅の場合でも、料金は2,520円(乗車券1,520円+グリーン券1,000円)。絶景とおいしいお酒を楽しめるにも関わらず、3000円以下で乗車できて、お得感たっぷり。海が見える観光列車に乗りたい。しかもお値打ちに! そんな人におすすめなのが「エトセトラ」です。
「エトセトラ」は、2両編成。茶系のシートが並ぶ1号車は、秋の宮島をイメージした落ち着いたデザインになっています。
海沿いを走る「エトセトラ」ですが、座席が山側と海側に分かれているため、やはり海側から予約が埋まっていきます。特に人気が高いのは、海向きのカウンター席。ここに座りたければ、早めに予約するようにしましょう。
一方、2号車は瀬戸内の新緑を思わせるグリーンのシートが並び、さわやかな雰囲気。写真の右手が海側になり、こちらも海側から予約が埋まっていきます。
嬉しいのは、1号車も2号車も無料Wi-FiやUSBポートを設置していること。「エトセトラ」なら充電切れともおさらば。スマホを手放せない今、こういうちょっとした気遣いは嬉しいですよね。
鉄道愛があふれ出すコーナー
車内にはご当地色豊かな、駅スタンプ&周辺の観光ガイド付きノート、プラレール、列車の写真が飾ってあります。実はこれら全て、頻繁に「エトセトラ」に乗る常連さんが寄贈したものだとか!
もともと呉線を走っていた「瀬戸内マリンビュー」を改装したのが「エトセトラ」。「エトセトラ」のプラレールが売られていないので、常連さんが「瀬戸内マリンビュー」のプラレールをきれいにカラーリングして、「エトセトラ」を作ったそうです。
乗り鉄、撮り鉄、押し鉄、みなさんの"鉄道愛"がスゴイ! 濃厚な鉄分を補給できて、「エトセトラ」がもっと好きになりそうです。
そして、「エトセトラ」最大の魅力といえば、復路限定で営業されるバーカウンターでしょう。アテンダントさんが、ここでオリジナルカクテルなどを作ってくれます。
お酒の種類も豊富で、まさに酒好きのパラダイス。県外の人なら「広島って、こんなにおいしいお酒があるの!?」という嬉しい発見があるはず。
さてさて、女子におすすめの1杯を探してみると……ありました。
「SETOUCHI BLOSSOM」は、広島生まれのクラフトジン・桜尾と、広島で有名な「アヲハタ」が作っているアヲハタジャムの一つ「アヲハタ まるごと果実」を入れた、見た目にも可愛いジントニック。
呑んでみると、クラフトジンと柑橘の相性が抜群。爽やかで、ゴクゴクいけちゃうお酒です。
2021年10月デビューの新作スイーツ
「エトセトラ」の楽しみは、お酒だけではありません。列車に乗った人しか味わえない限定スイーツも、旅の大きな楽しみです。
中でも「瀬戸の小箱」シリーズの最新作は、2021年10月に登場したばかり! 広島市内のチョコレート専門店が作った青いBOXの「瀬戸の小箱~チ~」、福山市で昭和52年創業の老舗ドルセ洋菓子店が作った白いBOXの「瀬戸の小箱~焼~」の2種類があります。
※「瀬戸の小箱~チ~」「瀬戸の小箱~焼~」は予約が必要。乗車日の4日前までに「setowa」にてお申し込みください。
今回は、お酒に合うチョコレートをセレクトした「瀬戸の小箱~チ~」をチョイスしました。お酒×チョコのマリアージュなんて、その響きだけでときめいちゃいますよね!
早速、いただいてみると……。
わぁ!
このままでも十分おいしいチョコレートですが、チョコレートのビターな余韻とカクテルの甘さが重なり合い、それぞれが共鳴するようにおいしさが倍増。流れる車窓とともに、オトナの快楽に酔いしれて、気分は最高です。
もともと「エトセトラ」運行開始時のルートは、往路が広島→尾道(呉線経由)、復路が尾道→宮島口(山陽本線経由)。復路については、海よりも山あいを感じられるルートになっていて、正直海が見たい人にとって復路の景色はちょっと物足りない……という声もあったそう。
ですが、新ルートになってからは大パノラマのオーシャンビューを満喫できます。日本海は白波がすごくたちますが、島々に囲まれ湾になった瀬戸内は、穏やかな海が売り。
しかも、取材に訪れた日はちょうど満潮のタイミング。干潮時だと、下をのぞき込まないと水面が見えませんが、このように満潮のタイミングだと、「エトセトラ」は水面すれすれを運行するんです。
写真はもちろん、動画を撮ってもムービージェニック! 目の前に広がる瀬戸内海を独り占めしている気分に浸れます。