俳優のディーン・フジオカが主演する日本テレビ系ドラマ『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』(23日スタート、毎週土曜22:00~)。劇中に出てくるのは、AIロボットによる殺人、能力向上の脳内チップ、若返りや老化ウイルス、不老不死の科学、VR空間、ナノマシン、ゲノム編集などの最先端科学が真相に関わる犯罪だ。

事件の裏に隠された科学を解き明かしていく同ドラマに参加する各分野の科学監修が、コメントを寄せた。

  • AIロボット(左)を捜査する岸井ゆきの=日本テレビ提供

■科学監修:岩尾徹氏(東京都市大学 理工学部長/理工学部 電気電子通信工学科 教授)
「もし、最先端科学で、失った最愛の人を蘇らせる事ができるとしたら、あなたはどうしますか。でも、その科学は万能ではありません。突然変異を起こし、真逆の結果となってしまうかもしれません。また、科学を悪用し、科学の闇に手を染めてしまうかもしれません。人は、誰もが死んでいく。私たちは、なぜ、誰のために生きて、どうして死んでいくのか。そんな事を考えさせられる作品です。本作品は、多くの著名な最先端科学の専門家が監修されており、スタッフやキャストの皆様が、妥協せず、こだわりを持って制作されています。監修の先生方は、ご自身の専門をベースに、世界中の文献調査やシミュレーションを駆使した確認作業などを行い、内容に誤りや矛盾がないかを検証しています。ぜひ、1つ1つの言葉、表示、動き、技術、世界観、大道具、小道具などにも注目して、お楽しみください。」

■生命科学監修:小林武彦氏(東京大学 定量生命科学研究所 教授)
「現実の生命科学の分野では、まだ実現に時間がかかる“夢のような技術”が圧倒的なリアリティを持って登場します。寿命延長や老化予防に関わる遺伝子の研究は、実際の研究の現場でも多くの研究者が取り組んでいるホットなトピックスです。このドラマを見て、将来生物学者を目指したいと思う若者が増えると嬉しいです」

■脳神経科学監修:紺野大地氏(東京大学医学部附属病院、ERATO池谷脳AIプロジェクト)
「科学の発展により、人類は大きく進歩してきました。ではもし、科学が今よりずっと進歩して永遠に生き続けることが可能になったら…? 亡くなった人を生き返らせることができるようになったら…? その時科学が人類にもたらすのは、希望と絶望のどちらでしょうか。科学に興味がある全ての人に、自信を持ってお薦めできるドラマです」

■物理監修:沖野晃俊氏(東京工業大学 科学技術創成研究院未来産業技術研究所 准教授)
「IT,ドローン,自動運転,医療など、科学技術は日々めまぐるしく進歩しています。しかし、実は明らかになっていることは決して多くありません。例えば、新型コロナウイルスといった身近で重要な問題ですら、ワクチンや新薬でなんとか対処しているだけで、実際にはまだ解明されていない事がたくさんあります。我々は、このような未解明だらけの中の進歩という、あやうい世界に生きているのかもしれません。原作が、ドラマではどんな味付けになるか、毎週楽しみにしたいと思います」

■ナノ医療監修:西山伸宏氏(東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 教授/川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンター 主幹研究員)
「ナノマシンの監修を担当しました。ナノマシンは単なる夢物語ではなく、近い将来、医療現場での実用化が期待されている革新的技術です。ドラマでは、このような形でナノマシンが登場することに驚愕しましたが、この技術の新たな可能性に気づかせてくれました。これまでにない最先端科学×犯罪捜査のスケールの大きなストーリー展開をぜひお楽しみください」

■植物生理学監修:朝比奈雅志氏(帝京大学 理工学部 バイオサイエンス学科/先端機器分析センター 准教授)
「動物のように自由に移動したり言葉を話さないと思われている植物ですが、実は環境の変化を感じ取り、動いたり、お互いコミュニケーションをとったりしていることが分かっています。この他にも、植物にはまだ完全には解明されていない、ものすごい能力がたくさんあります。そんな植物の持つ不思議な力が、小比類巻や最上、長谷部たち「科学犯罪対策室」が取り組む不可解な事件とどう関わっていくのか、ぜひご期待下さい」

■実験監修:鈴木美穂(埼玉大学大学院 理工学研究科 物質科学部門 准教授)
「大学の同僚からの電話。業務連絡、と思い込んでいたら、日テレのドラマの実験指導、という予想しない言葉だった。戸惑うも、何とかなると思い、了承。直後のスタッフの対応の素早さ、あっという間に巻き込まれ、初めて撮影現場での実験指導となった。監督やスタッフのプロぶりはすごく、撮影セットでの指導と思って一歩踏み入れると、自分のラボかと錯覚し、照明もリアル過ぎて季節まで混乱してしまった。とことんリアリティが詰め込まれた作品がドラマになるのだからワクワクする筈だと思った」

■科学アドバイス:中川草氏(東海大学 医学部 准教授)
「このドラマはあくまでもフィクションですが、一歩間違ったら現実に起きてもおかしくないこともあるかもしれません。サイエンスに詳しい人には、なるほどとなる演出がいくつも出てくると思います。また、そうでない人にも、十分に魅力あるストーリー展開で、最先端のサイエンスをベースとして人間の愛や欲望を描いたヒューマンドラマだと思いました」

このほかにも、科学監修協力で平野拓一氏(東京都市大学 理工学部 電気電子通信工学科 准教授)、実験監修協力で長谷川有貴氏(埼玉大学大学院 理工学研究科 数理電子情報部門 准教授)らが協力している。