国産の「リバイバルバイク」は増加傾向にあるが、海外の動きはどうだろうか。「第49回 東京モーターサイクルショー」(東京ビッグサイトにて3月25~27日に開催)の会場をくまなく見て回ると、いくつかのブランドが懐かしさを感じさせるバイクを展示していた。
ブランド自体が復活する事例も
輸入車はハーレーダビッドソンやトライアンフのように、長年同じエンジン型式やスタイリングを継続して作り続けることが多いので、リバイバルモデルはさほど多くはない。それでも今回のショーでは、いくつかの車種を見ることができた。
イタリアのオフロードバイクブランド「ファンティック」は、モダンなモデルを用意する一方で、市販車第1号として1969年に誕生した「キャバレロ」を当時を思わせるスタイリングでリバイバルさせた。
キャバレロには「スクランブラー」「フラットトラック」「ラリー」の3つのスタイルがあり、水冷単気筒エンジンは125/250/500ccと3種類あるので、所有する免許の種類に合わせて選ぶことができる。
同じイタリアのF.Bモンディアルは、ブランドそのものが復活した。1950年代に世界選手権レースの125/250ccクラスで大活躍したが、1979年に会社は解散。しかし2015年に復活したというヒストリーを持つ。
東京モーターサイクルショーには今回が初出展。排気量は125/250ccで、スタイリングは3タイプある。流麗なカウルを装着した「スポーツクラシック」は、世界選手権の初年度に125ccチャンピオンになったネッロ・パガーニに敬意を表したモデルだ。
ハーレーより前に生まれたアメリカン
アメリカのインディアンモーターサイクルも、FBモンディアルと似た歴史を辿っている。バイクを作り始めたのは1901年で、ハーレーより2年早い。本国ではレースでも活躍し、日本では力士時代の力道山が乗っていたこともある。
1953年に生産を終了して約半世紀の休息期間に入るが、2011年に復活。レースにも再挑戦している。現行モデルはすべてV型2気筒エンジンを搭載。現在はスポーティーな「FTR」シリーズに注目が集まるが、伝統を感じさせるモデルとなると、空冷エンジンを積んだ「ロードマスター」になるだろう。
純粋なリバイバルというわけではないが、BMWモトラッド(モーターサイクルを示すドイツ語)の「Rナインティ」と「R18」も、同社が創業以来使い続ける空冷水平対向2気筒エンジンを積むヘリテージシリーズとして位置付けられている。
RナインティはBMWモトラッド90周年を記念して2013年に発表。排気量は1,100ccで、現在は4つのスタイルから選べる。R18はその名のとおり、BMWモトラッドでは最大となる1,800ccエンジンを積むクルーザーで、4タイプを用意している。
海外のモーターサイクルはエンジン形式をアイデンティティとすることが多いので、デザインでヘリテージ性を強調することはあまりなかった。しかしBMWのような展開を見ると、世界的にかつてのモデルのような形が求められているのかもしれない。