近ごろ、日本のクルマ・バイク部品が海外で人気だ。どんなものが人気で、今後は何が売れそうなのか。世界190カ国で展開する世界最大規模のオンライン・マーケットプレイス「eBay」(イーベイ)でオートパーツ関連を担当する市田良介氏に話を聞いた。

  • 「スカイライン GT-R R34」のパーツに要注目? 海外で日本製の部品が人気に

1980年~90年代のスポーツカーが狙い目?

世界で1億5,000万人以上のバイヤーを抱えるeBay。2020年の総取引高は9.3兆円規模に達したそうだが、中でも最も大きなカテゴリーとなっているのがクルマやバイクの部品(オートパーツ)だ。

日本の場合は北米との売買が主流だというが、オートパーツの取引額は2021年の第1四半期(1月~3月)で全体の10位だったものの、第2四半期(4月~6月)では8位、第3四半期(7月~9月)では7位にランクアップ。成長率にして77%の伸長を見せるなど、時間が経つにつれて注目度が高まってきている。理由は大きく3つあるというのが市田氏の見立てだ。

  • イーベイ・ジャパンの市田良介氏

    イーベイ・ジャパンでマルチカテゴリーマネージャーを務める市田良介氏

まず、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、アメリカ全体でDIY人気が高まっていること。特にアメリカは日本と異なり、車検がないなど規制が厳しくないこともあって、クルマ関連のDIYが非常に盛んになっているそうだ。

次に、アメリカ国内のサプライチェーンの問題。世界的な半導体不足の影響で自動車業界では生産・販売が滞っており、クルマの部品も価格が高騰しているが、その影響もあって、アメリカではeBayを通じて日本から安価にパーツを購入する人が増えているそうだ。

さらに、eBayで日本から出品される部品の6割は中古品だが、リコマース意識の高まりとともに、アメリカでは中古商材に対する意識的なハードルが下がってきているとのこと。中古品を購入する習慣が徐々に定着してきていると市田氏は分析する。

加えるならば、以前はカーマニアのみが行っていた海外取引が、一般的になってきていることもあるのだろう。こうした状況が重なって、現在の好調なオートパーツ販売につながっているわけだが、人気の中心は1980年代~90年代に販売されていたスポーツカー関連だ。具体的にはホンダ「シビック」、トヨタ自動車「スープラ」、日産自動車「GT-R」、マツダ「RX-7」、三菱自動車工業「ランサー」などが人気だという。

「もちろんアメリカで一般的に人気の高いアコード(ホンダ)やレクサス、ランクル(ランドクルーザー)などのパーツの取り引きもありますが、やはり日本のスポーツカー関連のパーツが多くなっている状況です。中でも、2021年の第3四半期でシビックのエアバッグが全体5位にランクインしているように、メーカー純正パーツの人気が高いです」(以下、発言は市田氏)

映画『ワイスピ』が人気に影響?

売れるパーツについてはトレンドがあるという。

「アメリカの購入・販売の傾向を見ると、映画やメディアに左右されている印象があります。先ほどのシビックも『ワイルド・スピード』の1作目に出ていますが、新シリーズが公開されるたびに取引数が増えるなど、人気が大きく上がります。他にも、作中に出ている車種の取り引きが比較的伸びる傾向にあるので、私たちも『ワイルド・スピード』は特にチェックしています」

  • ホンダ「シビック」

    『ワイルド・スピード』第1作にも登場したホンダ「シビック」。トレーラーをジャックする印象的なシーンで活躍した日本車に、アメリカのクルマ好きも心を奪われたようだ

今後も成長が見込まれるオートパーツだが、注目株は?

「価格の面では、2022年夏から100万円以上の商品販売が可能になりました。燃料ポンプやエンジンなどの高額商品が取り扱えるようになったことで、これからは取り引きの単価が上がっていく可能性があると思います。車種としては、もうじきアメリカの25年ルールが適用されるGT-R R34ですね。このクルマの関連パーツは、あと2年ほどで売れ行きが伸びると考えています。特にGT-Rは人気車種で、専門で販売されるセラー(販売者)様もいらっしゃるほどなので、要注目ですね」

  • 日産の「スカイライン GT-R R34」

    販売終了から約20年が経過し、中古価格が高騰している「スカイライン GT-R R34」

eBayでは、日本語での販売サポート窓口や提携するクーリエ会社の紹介など、海外取引を安心して行えるサポート体制を構築しており、セラー数も増加傾向にあるという。ガレージをチェックしてみて、もし不要な純正パーツが眠っているようであれば出品を検討してみるのもいいかもしれない。