――先ほど「地上波の連ドラがピンチを迎えている」とおっしゃいましたが、それでもこの場で今後も演じていきたいと思いますか?

もちろん、そうです。そこには僕自身が勝手に責任感を持っています。戦わなきゃって。限られた状況の中で、少しでも面白いものを作りたいと思いますが、いかんせんスタッフ、演者ともに人手が足りていないので…。たぶん、僕らがテレビドラマで育った最後の世代だと思うんですよ。そこに憧れがある世代。その上にはおそらく、映画にあこがれていた世代があって、僕らの世代があって。今はいろいろなメディアがあるので、下の世代はまた違ってきているはずですが、それでも僕はテレビの連続ドラマも大事だと思うんですよ。

――その理由を教えてください。

連ドラは良くも悪くもスピード感がリアルタイムで、その人の“人間性”みたいなものが出やすい媒体だと思うんです。作品を作り込もうと思っても、時間や予算などの制約がある。今日が最終回なのに、その日の朝、まだ撮影しているという状況なんてしょっちゅうですから(笑)。あのヒリヒリ感が僕は好きなんですよ。そこから「何か」が生まれると思っているし。

――「何か」とは?

タイムリミットギリギリで、アクションドラマでいう爆弾を解除するのに赤い線を切るか青い線を切るか、みたいな極限の状態。そんな場所ではスタッフ陣もそうだし、役者陣もごまかしが利かない。それが作り込む余裕がある作品とは違う点です。たぶん、「何か」が唯一映る場所。どれだけ顔がむくんでいようと、歯に何かはさまっていようと、もうオンエアするしかない。そんな場所が残ってほしいと思うし、作り込んだものより、その「何か」が映る可能性もある。勝手にそんなことを思っているんです。

■仕事をセーブして気づいた「テレビの強さ」

――昨今はお仕事をセーブされて、落ち着いた日々を送っているとお聞きしています。現場から離れたことで、エンタメへの見方に何か変化はありますか?

今はある種、立ち止まっている最中なので、エンタメ作品もあまり観てないんです。観ると思い出しちゃうんで。そもそも僕自身、今日しゃべったことも踏まえ、実は何1つ判断できる人間じゃないと思っています。

だから、エンタメは参加するにしても観るにしても、純粋に楽しみたい。同時に、結局おじいちゃん、おばあちゃんだったり、地元の友達にも一番観られているのはドラマなのかな、というのは改めてすごく感じました。そういう意味で、テレビっていうものの強さは、まだあると信じているし、実際にあるはずだと思っています。

――改めてテレビの影響力を感じたのですね。

そうなんですよ。こうやって立ち止まっていると、やはり家族との時間が多くなるじゃないですか。僕は今、わりと「外で何を言われてもいいや」という“どうでもいいモード”に入ってて(笑)。これは表に出る仕事をしている人間としては良くないでしょうけど(笑)、そんなことも初めてだからこそ、外からの意見がよく耳に入ってくることにもつながっている。その意見、言葉を聞くと、やっぱテレビって偉大だと思いましたね。もしかしたら、それがお仕事を抑えさせてもらっての率直な感想かもしれないです。

  • (C)田村由美/小学館 (C)フジテレビジョン