ネクタイを結んでいたら、なんだか気になる糸を発見。よくわからないけど、はみ出ている糸は切っておこうか――って、ちょっと待って! それ、絶対に切っちゃダメな糸なんです。
ネクタイブランドSHAKUNONEを運営する株式会社笏本縫製の代表、笏本達宏さん(@shakunone)がSNSに投稿した、"ネクタイでやりがちなこと"に、多くの人の注目が集まりました。
絶対に切っちゃダメ。ネクタイからこんな糸が出てても、無茶に引っぱったり切ったりしないでください。3月~4月は特に、"はじめてネクタイを結ぶ人"が増えます。以前もツイートしましたが、まだまだ知らない人も多くいらっしゃるのが現状です。絶対に知っておいてほしい。職人からのお願いです。(@shakunoneより引用)
ネクタイを裏返した時に、チラリと見える輪になった糸。この糸を目にすると、つい気になって引っ張ったり切ってしまったりする人が少なくないようです。特に春は、初めてネクタイを結ぶという人も多くいる季節。この糸が“切ってはいけない糸”ということを知らない人もたくさんいるので、笏本さんはツイッターに注意喚起を投稿しました。
この糸は「スリップステッチ」と呼ばれるもので、ネクタイを結んだり解いたりするときの伸縮性を補助する役割があるそうです。また、メンテナンスにも役に立つそうで、ネクタイの中心が緩んでしまったときには、この糸を軽く引っ張ると緩みがなくなります。ネクタイはこの糸で縫われているので、この糸が切れてしまうとネクタイはバラバラになってしまいます。スリップステッチは、まさにネクタイの生命線なのです。
この投稿には、「すいません切ってしまっていました……気をつけます」「何度か切った経験が……二度としません!」と、以前に切ってしまった人や「知らなかった!」「新社会人に教えてあげたい!」という、初めて存在を知る人など、多くの反響がありました。
投稿者さんに聞いてみた
――今回の投稿をしたきっかけは?
以前ツイートした時にも反響をいただきましたが、新生活が始まるときに買ったネクタイや、プレゼントされたネクタイが壊れてしまうと辛いと思うので、あらためてツイートさせてもらいました。
――就活や新生活でネクタイを結ぶ方が増える時期です。まだ結び慣れない方に向けて、一言メッセージをいただけますか?
ひと昔前のように、義務でネクタイをすることも少なくなりました。だからこそ、スーツにネクタイを結ぶ機会を大切にしてほしいです。やはり、ビシッとした姿はカッコイイですから。
――もし切れてしまった時の対処法は?
基本的にはこの糸はネクタイの生命線です。切らないころが絶対条件と言っても良いですが。万が一切ってしまったら、ギリギリの所で結んでください。ほつれ始めてしまった場合は、できるだけ早い段階で糸を玉結びしてほつれの防止にしてください。大切な人からのプレゼントだったり、お気に入りのネクタイだったりで、どうしても復旧させたい場合は私たちプロの職人に相談をいただくことがおすすめです。
最近ではオフィスカジュアルなど、ネクタイをする頻度も減ってきているかもしれません。でも、ネクタイをビシッと締めると気持ちが引き締まるもの。お手持ちのネクタイでこの糸を見つけても、くれぐれも切ったりせず、カッコよく締めていきましょう!
絶対に切っちゃダメ。ネクタイからこんな糸が出てても、無茶に引っぱったり切ったりしないでください。3月~4月は特に、"はじめてネクタイを結ぶ人"が増えます。以前もツイートしましたが、まだまだ知らない人も多くいらっしゃるのが現状です。絶対に知っておいてほしい。職人からのお願いです。 pic.twitter.com/M74t2mULNX
— しゃく。 (@shakunone) March 14, 2022