ご祝儀や不祝儀以外にも、月謝や会費など「現金をそのまま渡すのはちょっとはばかられるから、封筒に入れて渡そう」と考える人は多いでしょう。しかし、その際に表書きや金額の書き方について知らないと恥をかいてしまったり、相手に迷惑をかけたりしてしまうこともあります。

この記事では、お金を封筒に入れて渡す際の表書きの書き方や注意点について解説します。

マナーを知って、お互いに気持ちよくお金のやり取りをしましょう。

  • お金を封筒に入れて渡すシチュエーション

    表書きに気をつけることで、より気持ちよくお金のやり取りができます

お金を封筒に入れて渡すシチュエーション

お金を封筒に入れて渡す状況によって、使うべき封筒は異なってきます。シチュエーション別に、どのような封筒に入れるべきかを確認しましょう。

ご祝儀や不祝儀

ご祝儀や不祝儀など、フォーマルなシチュエーションでお金を渡す際には、普通の封筒ではなくのし袋を利用します。ご祝儀のときは紅白の水引のもの、不祝儀のときは黒白あるいは宗教によって水引なしのものを使用します。

ご祝儀の場合、「繰り返しあってもよいお祝いごと」には何度でも結び直せる蝶々結びののし袋を、「繰り返しあってはいけないお祝いごと」には結び切りののし袋を利用します。出産祝いや入学祝いなどは蝶々結びのものを、結婚式や快気祝いには結び切りを選びましょう。

不祝儀のときは、相手の宗教によってのし袋に書く表書きが違うことに注意しましょう。仏教であれば「御仏前」、神道であれば「御玉串料」、キリスト教では「献花料」とかかれたのし袋を選びます。

月謝や会費など

月謝や会費などで指定の袋がない場合は、市販の白い封筒にお金を入れて渡します。お金のやり取りが煩雑にならないよう、ぴったりの金額を準備してお釣りがないようにしましょう。

友人同士の集まりなどでは財布から相手にそのままお金を払ってしまうこともありますが、これは失礼に当たります。会社の新年会などの場合は封筒に入れることを心がけましょう。

お礼

講演会のお礼などを支払う際も、市販の白い封筒を利用します。

「お礼」と印刷された専用のかわいい封筒などもあるため、友人や家族間など親しい場合はそちらを利用してもいいでしょう。

  • お金を封筒に入れて渡すシチュエーション

    状況にあったお金の渡し方をしましょう

お金を封筒に入れたときの書き方

封筒やのし袋にお金を入れた際には、名前や住所、金額などを書くのがマナー。 相手が「あの人からお金をもらったかな」「いくらもらっていたかな」とわからなくなってしまっても確認できますし、会費をいくら回収できたかなどの計算もしやすくなります。

ただし、のし袋か普通の封筒かで書く場所や書き方は異なってきます。相手に見やすいよう、どこに何を書くべきかを知っておきましょう。

ご祝儀や不祝儀

ご祝儀や不祝儀の場合は、中央の水引より上に「寿」「御祝」「御仏前」などどんな目的のお金なのかを、水引より下に自分のフルネームを記入します。短冊が熨斗袋についている場合はそちらを使い、ついていない簡略化されたタイプなら直接袋に書きましょう。

夫婦で記入する場合は夫をフルネームで右側に書き、左側に妻の名前のみを記入します。4名以上の連名の場合は代表者1名のみを書き、「他一同」と左側に添えます。

書くときに使用する筆記用具は筆あるいは筆ペン。ご祝儀であれば普通の黒い墨を、不祝儀の場合は薄墨のものを使います。

  • お金を封筒に入れた時の書き方

    のし袋を利用する際は上段に「御祝」「結婚祝い」など、下段に名前を書きましょう

中袋がある場合にはそこに、そうではない場合はのし袋の裏面に金額と住所を記入します。 中袋の場合は表に金額を「金 ◯円」、裏面の左下に住所を書きます。のし袋の裏面に書く場合は左下のスペース金額と住所を記入しましょう。 金額を書く際は、改ざんを防ぐために大字(だいじ)を使います。

【大字と通常の漢数字の対応】
(四・六~九は使用頻度が少ないため省略しています)

漢数字 大字
佰・陌
仟・阡

月謝や会費・お礼など(縦書き)

月謝や会費などの場合は、封筒の表の真ん中に「◯月分 月謝」「材料費」「衣装代」など「何のためのお金か」を書き、その下に自分の名前を書きましょう。会費の場合は「会費」と必ずしも書く必要はありませんが、名前は必要です。

金額を書く際は、大字を使う必要はありません。普通の漢数字で大丈夫です。

  • お金を封筒に入れた時の書き方

    月謝などを払う際は、「月謝」と書いた下に名前を忘れないようにしましょう

月謝や会費・お礼など(横書き)

洋封筒の場合は横書きで構いません。縦書きのときと同様に、費用名目と自分の名前を書きましょう。

横書きなので、数字はアラビア数字を使います。

  • お金を封筒に入れた時の書き方

    洋封筒を利用する場合は封筒に合わせて横書きにします

お金を封筒に入れるときのマナー

お金を封筒に入れる際には、表書きや裏書き以外にも注意すべきマナーがあります。相手に不快な思いをさせてしまわないように、気をつけたいポイントを紹介します。

使う封筒

月謝や会費などでお金を封筒に入れて渡す際は、茶封筒ではなく郵便番号欄なしの白封筒を利用するのが好ましいとされています。茶封筒だとカジュアル・ビジネス用のイメージが強く、郵便番号欄のあるものは郵送用だからです。中身が透けないように厚めの紙質のものを選びましょう。

ただし、相手との関係性によっては茶封筒でも問題ありません。茶道や華道など、礼儀や伝統を重視する習い事の場合は白封筒を、カジュアルな習い事などの場合は茶封筒を利用しましょう。

お札の向き

お札を封筒に入れる際は、すべてお札を同じ向きにした上で封筒の表面とお札の上面を一致させ、封を開けたときに最初に肖像画が見えるようにします。

不祝儀のときだけは逆に、お札の裏面を表に、肖像画が下になるようにして中袋やのし袋に入れましょう。

新札を準備すべきとき・新札ではだめなときがある

ご祝儀や不祝儀を渡すケースでは、新札・あるいは古札を準備しなくてはならない場合があります。

新札を準備しなくてはならないのは結婚式のときです。「あらかじめ準備して二人の結婚をお祝いしている」という気持ちを表すため、金融機関で新札を準備するようにしましょう。

逆に、不祝儀のときに新札を使うと「不幸を待ってあらかじめ用意していた」という意味になってしまいとても失礼にあたります。もしお葬式や通夜に参列するのに新札や折り目のないお札しか手元にない場合は、折り目をつけてから不祝儀袋に入れるようにしましょう。

結婚式・不祝儀以外の場合はどんなお金を使うべきかの決まりはありません。しかし、汚いお札や端の切れたお札、カビの生えた硬貨などを渡すのはマナー違反。相手を嫌な気持ちにさせてしまいますし、銀行で取り替えなくてはならないため迷惑をかけてしまいます。できるだけきれいなお金を渡すようにしましょう。

糊付けは基本的にしない

お金を封筒に入れて渡す際は、基本的に糊付けはしません。というのも、その場で相手に金額を確認してもらうことが多く「開封する」という一手間をかけてしまいますし、結婚式などでは「切る」ことから縁起が悪いとされるからです。

ただし、封筒に付属している封をするための両面テープやシールなどは使用しても問題ありません。粘着力が低く、すぐに剥がせるためです。月謝や会費などで小銭が多くこぼれやすい場合は、軽くテープで留めておきましょう。

結婚式などのし袋を利用する場合では中袋があるので、過剰に心配しなくてもお金が落ちてしまうことはありません。

「在中」は必要ない

封筒に重要書類などを入れて送付する際には「履歴書在中」「見積書在中」などと書くと相手方に対して親切です。しかし、現金書留でお金を郵送する際に「現金在中」「〇〇費在中」と書く必要はありません。

手渡しで渡すケースであっても、必ずしも「在中」は必要ありません。封筒には何のための費用なのか(会費・月謝など)と名前、金額を書いて書いておけば大丈夫です。

  • お金を封筒に入れる時のマナー

    お札を封筒に入れる時には、向きなどに注意しましょう

お金を封筒に入れてスマートにやり取りしよう

大人になるとお金のやり取りをする機会が増えるものの、どうやって払ったらいいかはきちんと教えてもらえていないことが多いでしょう。しかし、「わからないから」と適当にしていると思わぬ恥をかいてしまうこともあります。

「マナー」というと堅苦しいですが、要は「相手のことを考えて振る舞おう」ということ。特にお金はトラブルのもとになりがちなので、丁寧にやり取りすることが大切です。

大人として、スマートなお金の支払いができるようにしましょう。