古来より日本の風習として根付いているお彼岸。しかし、その意味や歴史、タブーとされることがあるかなど、きちんと理解できていない人もいるでしょう。

今回は、お彼岸にやってはいけないことについてくわしく解説します。また、お彼岸の意味や起源なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

  • そもそもお彼岸とは?

    お彼岸にやってはいけないことについて解説する記事です

そもそもお彼岸とは?

「お彼岸」とは、春分の日・秋分の日を中日とし、その前後3日間を合わせた合計7日間のことを指します。

期間は毎年変化しますが、だいたい春分の日が3月20~21日ごろ、秋分の日が9月22~23日ごろとなっており、期間中は全国の寺院で彼岸法要が営まれます。

お彼岸の意味

お彼岸には、ご先祖様や故人に感謝をして供養するとともに、日頃の自分の行いを見つめ直すといった意味が込められています。仏教的な解釈では、「彼岸」とは「死後の世界」のことです。

太陽が真西に沈むお彼岸の時期は、浄土(死後の世界)との距離が最も近くなる特別なタイミングであり、仏教修行に最適な期間だとされてきました。

このことが転じて、現代では先祖のお墓参りをしたり自分をかえりみたりする期間になったと考えられています。

お彼岸の起源

日本で記録に残る最古のお彼岸は、歴史書である『日本後紀』に記載されています。

平安時代初期である806年に早良親王(桓武天皇の弟)を偲ぶために「彼岸会(ひがんえ)」が行われたという記述があり、それ以降行事として定着していったようです。

日本では、古来より昼夜がほぼ同じ長さになるお彼岸は特別な期間であると考えられてきました。その理由としては、お彼岸時期が万物のバランスが最も整った日だとされていたことと、農作業が休耕期となり生活に余裕がある時期だったことが挙げられます。

これらの要素があわさり、例年この時期にご先祖様のお参りをする習慣が民衆に根付いていったのでしょう。

  • そもそもお彼岸とは?

    お彼岸はご先祖様や故人を偲び感謝し、日頃の自分の行いを見つめ直すという意味が込められています

お彼岸でやってはいけないこととは?

ご先祖様や故人を偲ぶという意味合いで、古来より日本の民衆の間で大切にされてきたお彼岸。伝統行事であるため、タブーについて気になるという人もいるでしょう。

ここからは、お彼岸でやってはいけないことについてくわしく解説していきます。

基本的にやってはいけないことはない

仏教において、お彼岸の時期にタブーとされているものは特にありません。

お彼岸は死者と向き合う期間のため、身を慎む必要があると考える人は多いですが、お彼岸はあくまでも「命の大切さを見つめ直す」ための慣習とされてきました。

特に「お祝い事をしてはいけない」、「他の行事を避けなければならない」というわけではないので、覚えておくといいでしょう。

彼岸花は持ち帰らないほうがいい

基本的にタブーはないとされるお彼岸ですが、彼岸花の持ち帰りは控えたほうがいいといわれています。

彼岸花とは、毎年秋のお彼岸の時期になると田んぼのあぜ道や墓地の土手などに咲く花のことで、「持ち帰ると火事になる」といった迷信を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

実は彼岸花の球根には強い毒があり、何も知らない子どもが誤って口に入れてしまうと死に至ってしまう恐れがあります。また、その毒性ゆえに作物を掘り返す動物への対策になっているという側面もあるため、「持ち帰ると火事になる」という戒めが伝えられてきたのです。

このように彼岸花にまつわるタブーには根拠があるため、お彼岸の時期に見つけても触れないほうが無難でしょう。

  • お彼岸でやってはいけないこととは?

    仏教においてお彼岸時期にタブーとされているものは特にありません

「お彼岸のタブー」として議論されるもの

原則としてやってはいけないことはないとされるお彼岸ですが、一般的に「お彼岸のタブー」として議論されるものは決して少なくはありません。

ここでは、なぜタブーとして議題に上がるのか、また実際に避けたほうがいいのかなど、くわしく解説します。「お彼岸のタブー」の真偽について気になっているという人はぜひ参考にしてください。

結婚関連の儀式

前述したようにお彼岸は決して喪に服す期間ではないため、結婚式関連の行事を行うことは仏教的に問題ありません。

ただし、お彼岸を年中行事として大切にしている家庭にとっては忙しい時期となるため、中にはお彼岸時期に結婚式に招待されることを負担に思う人もいるでしょう。したがって、招待客のことを考えるとお彼岸時期は避けるべきだ、という意見は一定数あるといえます。

どうしてもこの時期に結婚関連の行事を行いたい場合は、せめて中日を避けたり周りの人への説明をきちんと行ったりすることを心がけたほうがいいでしょう。

引っ越し

お彼岸中の引っ越しや新居祝いもよく議論されるもののひとつですが、仏教はお彼岸時期の引っ越しをとがめてはいません。

特に転勤や就職などに際して引っ越しをする場合、どうしてもお彼岸時期しか都合がつかないという人もいるでしょう。ただし、忙しさのあまりお墓参りに行く時間が取れなくなってしまうと、年配の人の中にはよく思わない人がいるのも事実です。

したがって、可能であれば引っ越す時期をずらしたり、できる範囲でお彼岸の供養をしたりと、何かしらの配慮はしたほうがいいかもしれません。

お見舞い

お見舞いは仏教としてタブーではないものの、お彼岸時期のお見舞いは注意をしたほうがいいと考えられています。

お彼岸は死を連想させる行事であるため、お見舞いされる側の人の中には、「まだ生きているのに縁起が悪い」「失礼な行為」と感じる人もいるでしょう。よって、お彼岸時期のお見舞いは避けるほうが賢明です。

神事

神前で祈りを捧げたり神に伺いを立てたりする神事は、お彼岸時に避けるべきと考える人が多いようです。

神道においては「死は穢れ(けがれ)」とされているため、仏事と神事を一緒にしてはいけないという考えの地域もあるでしょう。しかし、前述したように仏教において他の行事を避けるべきという根拠は特にありません。

実際、伊勢神宮などの有名な神社でお彼岸の時期に行事が行われることがあるため、必ず控えなければいけないというわけではないといえます。

納車

お彼岸が死を連想させるということから、この時期に納車すると事故を起こすという迷信を信じている人は少なくありません。しかし、お彼岸は新しく物事を始めることを慎むべき時期ではないため、気にする必要はないでしょう。

どうしても気になる場合はお寺にお参りして交通安全の祈願をしたり、ご先祖様に感謝の気持ちをもって新車の購入を報告したりするのもおすすめです。

  • 「お彼岸のタブー」として議論されるもの

    「お彼岸のタブー」として議論されるものについて紹介しました

お彼岸で避けたほうがいいことを知っておこう

お彼岸とは、春分の日・秋分の日を中日とし、その前後3日間を合わせた合計7日間の時期を指します。ご先祖様や故人を偲び感謝をして、日頃の自分の行いを見つめ直すという意味が込められた期間であり、古くから日本人の生活に根付いてきた風習です。

お彼岸は死者と向き合う期間のためタブーや迷信などが多く伝わっていますが、実際のところお彼岸にやってはいけないことはありません。

しかし、避けたほうがいいこととして議論されるものもあるため、お彼岸の意味や歴史を理解した上で、相手を思いやった行動を心がけましょう。