JR東海が中央本線中津川~名古屋間で運行した「セントラルライナー」の車両として製造され、同列車の運行終了後も中央本線を中心に名古屋地区で活躍した313系8000番代。このほど静岡地区の東海道本線で営業運転を開始した。

  • かつて「セントラルライナー」として運行された313系8000番代。活躍の場を静岡地区に移し、東海道本線の普通列車として営業運転を開始した

313系8000番代は、一般の313系とほぼ同様の車体構造を採用しつつ、室内をグレードアップし、外観も従来と異なるカラーリングを施した車両。中央本線で運行された有料列車「セントラルライナー」で活躍し、2013年3月に同列車が運行終了となった後も、引き続き中央本線で快速・普通列車などに使用された。

中央本線中津川~名古屋間では、3月5日に新型車両315系がデビュー。3月12日のダイヤ改正で、同区間の快速・普通列車を8両編成に統一している。313系8000番代については、名古屋地区での営業運転を終了し、神領車両区から静岡車両区へ回送され、静岡地区での営業運転を開始したことが鉄道ファンらのSNS等で報告されていた。

静岡地区に活躍の場を移した313系8000番代は、東海道本線の普通列車に使用されていた。211系と連結した編成で、普通列車として熱海~沼津間を往復した後、熱海発浜松行として運転される列車も。313系8000番代はドア間に転換クロスシート、車端部にテーブル付きのボックスシートを備えた車両だが、熱海~沼津間の折返し運用では、転換クロスシートが進行方向と逆向きのまま、乗客が座っている場面も見られた。

  • 313系8000番代を先頭に、熱海行で運転される東海道本線の普通列車

  • 熱海発沼津行の普通列車。前3両は211系、後ろ3両は311系8000番代

熱海発浜松行の普通列車にも乗った。前3両がロングシートの211系、後ろ3両がクロスシートの313系8000番代で、トイレは前から4両目(313系8000番代)にあると車内放送で案内される。静岡地区の東海道本線といえば、普通列車はオールロングシートのイメージが強い。それだけに、313系8000番代のクロスシートから眺める車窓風景はいつもと違って見えたように思えた。

車内を見ると、日中時間帯の運行ながら、クロスシートはほぼ埋まっていた様子。すでに「青春18きっぷ」(春季用)の利用期間が始まっていることもあり、全区間乗り通すと思われるグループの姿も目立った。今週末の3連休や、春休み期間にはさらに混雑するのではないかと予想される。クロスシート車両の導入により、平日朝夕の混雑にも影響しないか、気になった。

ダイヤ改正を機に静岡地区での営業運転を開始した313系8000番代は、車内も車外もまさに「異色の存在」。地元利用者でこの車両に関心を示す人もいたが、それ以上に鉄道ファンらの注目を集めている様子で、駅や沿線の各所で多くの鉄道ファンらを見かけた。