公開初日を迎えたVシネクスト『仮面ライダーオーズ/OOO 10th 復活のコアメダル』の舞台挨拶が12日、東京・新宿バルト9にて行われ、渡部秀、三浦涼介をはじめとする主要キャストと田崎竜太監督が登壇。テレビシリーズから10年の時を経て作られた最新作にして「完結編」というべき本映画への思いを語った。

  • 左から君嶋麻耶、高田里穂、渡部秀、三浦涼介、岩永洋昭、田崎竜太監督

本作は、2010~2011年に放送されていたテレビシリーズ『仮面ライダーオーズ』の「10年後」を描いた作品。西暦2021年、800年前の「王」がよみがえり、世界が壊滅寸前の危機に陥ってしまう。かつてグリードと戦った後藤慎太郎や伊達明、泉信吾たちは、レジスタンスとなって懸命に戦っていた。このような状況の中、世界各地を旅していた火野映司と、彼の相棒アンクはどのような動きを見せるのか……。人類の存亡をかけて、古代の王に立ち向かう人々の激闘が描かれる。

「みなさん、お久しぶりです!」とさわやかに挨拶したのは、仮面ライダーオーズ/火野映司役・渡部秀。公開初日を迎えたことについて渡部は「ここまで来るのに長い時間がかかりましたが、ようやくみなさまの元にお届けできる日が来たのは、本当に感無量です」と、『オーズ』10周年作が形になり、ファンの方々に届けられたことに喜びを見せた。また渡部は「毎回、舞台挨拶のときはなるべくみなさんのお顔を見るようにしているんですけれど、こうして待ちに待った作品をご覧になるお顔を生で拝見できて、嬉しいです。ありがとうございます!」と、ファンの熱意に対する感謝の思いを伝えた。

映司の相棒・アンク役の三浦涼介は「みなさまとお会いできるのを楽しみにしていました」と、初日上映にかけつけた『オーズ』ファンに挨拶。公開初日の今の思いとしては「このご時世(コロナ禍)の中、こうしてみなさんとお会いできるのも奇跡に近いんじゃないでしょうか。たくさんの方たちに応援してもらい、嬉しく思っています」と、『オーズ』を愛するファンと直接会えたことへの感動を率直に示した。

泉比奈を演じた高田里穂は「やっとこの日が来たんだなあという気持ちでいっぱい。今日が来るのをずっと楽しみにしていました。撮影が昨年9月に行われて、まだ半年しか経っていないんですけれど、(公開が)まだかな、まだかなとずっと思っていました。こうやってみなさんとお会いできて、私も嬉しいです」と、自身にとっても待望の『オーズ』新作だったことを打ち明けた。

仮面ライダーバース、そして強化型の仮面ライダーバースXとなる後藤慎太郎役の君嶋麻耶は「このお話を初めて聞いたとき、本当に実現するのかな? ってところから始まったので、完成・公開が出来て嬉しいですし、不思議な気持ちです」と、オリジナルキャスト再結集という難関を見事突破して、実現できた本作への愛着を示した。

岩永洋昭は「ニッポンのみなさんこんにちは! アイアンマン/トニー・スターク役のロバート・ダウニーJr.です!」とハリウッド“ヒーロー”俳優になりきって挨拶し、会場内の笑いをさそった。その後も岩永は「『オーズ』出演にあたっては、ハリウッドの仕事を2本断り……ギャラは4~5億円くらいだったかな(笑)」とハリウッドスターギャグを続けようとしたものの、渡部から「手、ふるえてますよ(笑)」と突っ込まれ、自分自身が笑いをこらえていたことを明かされた。

テレビシリーズのメイン監督を務め、今また10年目の『オーズ』を演出した田崎竜太監督(※田崎監督の「崎」は立つ崎が正式表記)は「まさに感無量。さっき、きみじー(君嶋)が言っていましたけれど、本当に実現するのかというところから始まった企画でした。他の作品でも『10周年』企画がありますが、やっぱり俳優部さんの合意とやる気がないと成立しないもの。今回は(渡部)秀くんが『もうひとりのプロデューサー』として、キャストのみんなの意識を高めてくれていました」と、企画実現にあたっては、『オーズ』座長である渡部の頑張りなくしては成立しなかったと力強く語った。

すると高田から「(渡部は)影のプロデューサーって呼ばれてるんですよね(笑)」と絶妙な合いの手が飛び、これを受けて田崎監督は「影というか、日なたのプロデューサーですよ!」と言葉を重ねて笑顔を見せた。渡部は「そんなことないですよ」と謙遜したが、田崎監督は「秀くんのやる気……『オーズ』的に言えば“欲望”がこの作品を生んだと言っても過言ではありません。今日公開を迎え、客席のみなさんのお顔を見るにつれ、秀くんの思いの強さ、欲望の強さというものを感じました」と、かつてのテレビシリーズの10周年記念作を実現させるのは常に大変なことだと説明しつつ、それをやり遂げて見せた渡部の頑張る意志、やる気、欲望の強さを称えた。

田崎監督の絶賛を受け、渡部は「いやあ、僕はこんなに欲深かったのかな(笑)」と照れながらも「僕ひとりの力では成し遂げられなかったこと。最初にお話をいただいたとき、キャストのみんなに声をかけて意思確認する中、すごく悩んだ後に『みんなでやろう!』と一致団結しました。公開初日の今日改めて、みんなでこうして『進んで』よかったと思いました」と、キャスト陣が一丸となって取り組んだ本作の充実感をふりかえった。

高田の「秀くんがいなかったら、私はこの映画に出ていないと思います」という言葉を受け、田崎監督は「みんな秀くんがやるのなら、自分もやるという気持ちで集結し、出来た映画」だと、渡部の果たした役割の重さに言及。岩永も「秀がいなかったもう、本当に……って褒めちぎりたいと思います(笑)」と、ジョーク交じりながらも渡部の強い思いに引っ張られての出演だったことを強調した。

映画の見どころは? というMC(木下朋美)の問いについて、渡部は「上映前ですので内容に触れるのはなかなか難しいんですけれど、ひとつ言えるのは『映司という男は終始一貫している』ということ。劇場で販売しているパンフレットには僕が本作に込めた思いなどが掲載されていますので、映画をご覧になった後、いろいろと考えていただけたら」と、作品を最後まで観てもらった後で、いろいろな部分に思いを馳せてほしいと語った。

三浦は「とにかく、心を込めて演じさせていただきましたので、スクリーンでアンクを感じてくれたらなと思います」と、アンクの演技に並々ならぬ思いを乗せていたことを強くアピールした。

高田は「この10年間、比奈はどうしていたんだろう、何を考えていたんだろうと思ったとき、やっぱり『映司くん元気かな』『アンクにまた会いたいな』という気持ちがあったはず。この2人(渡部・三浦)とのシーンは気持ちを込めて演じたいと思いました。劇中で、比奈とアンクが対話するシーンがあるんですけど、雨が降ったので2度も撮影が飛んでしまい、別日にやっと撮ることができたんです。個人的に観ても、そのシーンが際立っているというか、比奈の内面の強さであったり、よりそう力であったり、比奈のいろんな部分が表現できていました」と、自身が撮影で苦労したことも含め、よいシーンが生まれたと笑顔で語った。

君嶋は「元の『オーズ』は10年前の作品ですから、今回は違った空気になってるんじゃないかと思ったんですけど、そんなことがなくて『オーズ』が持つ雰囲気、空気感がそのまま表れた映画になりました。そこが見どころじゃないかと」と、キャストの見た目も含め、10年前と変わらぬ『オーズ』独自の空気がしっかり継承された、緻密な映像作りに注目してほしいと話した。岩永は「伊達もそんなに変わっていません。バースチームの後藤ちゃんとは、ずっと一緒に居たわけではないんでしょうけど、以前よりもさらに信頼感が増したかなと思いながら演じていましたね」と、豪放な伊達・生真面目な後藤の名コンビぶりに磨きをかけたところを観てほしいとアピールした。

田崎監督は「『比奈を要とした映司とアンク3人』のカットが、テレビシリーズ最終回にありました。それを意識した構図がこの映画にもあります。比奈が『居場所』にいて、ちゃんと待っていることによって、オーズのカンパニーになる、みんなが集結できるんだな、ということが、映画を観ていただければわかると思います。さっき話題に出た『2回撮り直した比奈とアンクのシーン』については、僕も非常にいいシーンだなあと感じて、編集も丁寧にやらせてもらいました。あっ、別に他のシーンが雑ってわけじゃないですよ(笑)。伊達・後藤に関しては、本当に10年後かよって思うくらいバディ感が出来上がっていて、現場でびっくりしたのを思い出します。あと、後藤ちゃん手が震えすぎだなって思いました(笑)」と、キャストそれぞれの印象を話し、彼らのチームワークのよさに感心していた。田崎監督からいきなりの指摘を受けた君嶋は「画面をよーく観ていただければ(手の震えが)わかります(笑)」と語って、周囲の笑いを誘った。

渡部は、キャスト全員が結集した場面で田崎監督からもらった「10年あったからできるお芝居、できる物語だね」という言葉が忘れられないという。渡部は「その言葉だけで、僕たちはいろんなことを受け取りましたし、さらに映画の内容がブラッシュアップされたかなと思いました。監督、覚えてますか?」と、現場での感動を田崎監督にぶつけた。田崎監督は「もちろん、覚えています。秀くんがテレビシリーズ第1話のとき、変身ポーズを一生懸命練習していたなあとか、思い出しながら撮っていました。10年の月日を経て、『オーズ』というひとつのカンパニーがこれだけ成長したんですよ、というところを観ていただきたい。この映画にある重要なシーン、あれを撮れたのは嬉しかった。監督冥利に尽きます。みなさんのおかげです」と、10年という歳月で大きく成長したキャスト陣と一緒に仕事ができたことに、改めて喜びと感謝の気持ちを表した。

最後の挨拶で田崎監督は「10年前と今では、みなさんもいろいろなことが変わっているかと思いますが、僕らもいろいろ変わりまして、その結果がこういう形の映画になっております」と、10年後の『オーズ』はこれだ、という思いで作った本作を、ファンの方々に愛してほしいという願いを込めたコメントを残した。

岩永は「10年経って、また同じ作品の同じ役を演じるというのは、俳優業をやっててそうそうあるものではないです。今までずっと待ってくださり、愛し続けてくださったすべてのみなさまに感謝です。結末がどうであろうと、みなさん自分のフィルターを通して、少しでも、これからずっと生きていく上での活力になればいいなと、心から思っています!」と、『オーズ』を愛するファンたちの思いをしっかりと受け止め、最大限の感謝を伝えた。

君嶋は「10年間(新作)を待っていただき、もう一度観たいと声も上げていただいた結果、僕たちはこの場に立つことができている。ファンのみなさんにはとても感謝しています。映画について、どんな感想を持たれるのか人それぞれだと思いますが、最後までご覧になり、楽しんでいただけたら嬉しいです」と、『オーズ』愛の強いファンの方々に新作をじっくり観てもらい、いろいろな感想を持ってもらいたいと語った。

高田は「こんなにも、ずっと愛され続けられる作品に出たことは私の誇りであり、『オーズ』は私の芸能人生における核のような存在。今後は『ひな』から白鳥になれるように……って、これは(舞台挨拶が)始まる前、秀くんから『言ってね』とリクエストされたんですけど……(笑)。ひなから白鳥になって羽ばたけるよう、俳優業を頑張っていきたいと思います!」と、途中渡部から要望のあった“いい言葉”を交えつつ、感謝の気持ちを忘れず今後も頑張っていく決意を示した。

三浦は「僕が精一杯演じたアンクがみなさまの心に残り、これからの生活の中で何かの“力”になってくれればと思います。僕自身、この作品でたくさん勇気と力をもらいました。これからも精一杯生きていきたいです。頑張ります!」と、10周年記念であり、『オーズ』を締めくくる完結編となる本作から、何らかの力を受け取ってほしいと願いを込めた。

最後にマイクを握った渡部は「実は先日、主題歌『Anything Goes!』を歌ってくださった大黒摩季さんから『10周年の映画公開、おめでとうございます。Anything Goes! に出会えて幸せでした』とご連絡をいただきました。大黒さんをはじめ、『仮面ライダーオーズ/〇〇〇』にはたくさんのスタッフ・キャストの方々に支えられて、10周年まで成し遂げられた作品だなと、改めてみなさんのお顔を見て実感しました。本日公開されましたので、これから何度でも『オーズ10周年の物語』を楽しんでいただけたらと思っています。本日はまことにありがとうございました!」と万感の思いを込めて挨拶。作品を支えてくれたスタッフ、キャスト、ファンの方々それぞれに、深い感謝の思いを示した。

『仮面ライダーオーズ/〇〇〇 10th 復活のコアメダル』は2022年3月12日より、全国劇場にて期間限定上映中。8月24日からは東映ビデオよりBD&DVDソフトが発売される。

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