さまざまな物の値上げの動きが相次いでいる中、雇用保険料率の引き上げを柱とした雇用保険法改正案が閣議決定されました。雇用保険料は毎月の給料から天引きされるため、どれだけ変わるのか気になる方も多いのではないでしょうか。

今回は雇用保険料引き上げの背景、労働者の負担額がどれくらい変わる見込みなのか解説します。

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雇用保険料引き上げの理由・背景とは?

結論から言うと、雇用保険料率の引き上げが避けられない状況となっているのは、新型コロナの影響で支出が膨らんでいるためです。

雇用調整助成金は、企業が従業員の雇用を維持した場合に、休業手当などの一部を公的に助成する制度です。新型コロナ感染拡大の影響を受けた事業主に対しては、助成金の上限や助成率に特例措置が設けられ、通常より多い額が支給されます。

新型コロナは多くの企業に影響を及ぼし、雇用調整助成金の支給が急増しました。コロナの感染拡大は依然として続いており、雇用調整助成金の特例措置は2022年5月まで延長されることが決まりました。

このまま雇用調整助成金の支給が続くと財源が枯渇するリスクがあるため、企業側・労働者側ともに負担率を高める必要に迫られたということです。

雇用保険のこれまでの負担率

雇用保険には2つの事業があります。まずは「失業等給付」と「育児休業給付」で、保険料率は労使折半で合計0.6%です。もう1つは雇用調整助成金などの「雇用保険2事業」で、企業側のみ0.3%の負担です。

労働者だけでみると、これまでは労使折半である失業等給付・育児休業給付が対象であり、0.3%の負担でした。月収30万円の場合は月に900円支払う計算です。

月収30万円の場合、月の負担額は600円増加

2月1日に閣議決定された雇用保険法改正案では、2022年4月から企業側のみ負担する「雇用保険2事業」の料率を0.35%に、10月からは労使折半の「失業等給付」と「育児休業給付」の料率を合計1.0%に引き上げるとしています。

労働者の負担は、「失業等給付」の料率が引き上げられることで、2022年10月以降に0.3%から0.5%に増額される見込みです。

  • 労働者負担分の保険料率

月収30万円の会社員の場合、10月以降の負担額が600円増えて1,500円となる計算です。年間では、これまでより7,200円負担が増えることになります。

年間に換算すると意外と負担が重いと感じる方も多いのではないでしょうか。

今から対策を考えておこう

雇用保険料の増額は、毎月はそれほど大きくなくても年間にすれば地味に家計へのダメージになります。すでに電気・ガス・ガソリン・食品などの値上げラッシュも相次いでいますので、今後の家計の見直しは必須と言えるでしょう。

家計の見直しで比較的手を付けやすいのは以下の分野です。

・携帯電話料金プランの見直し
・保険料
・サブスク契約

保険は補償内容や特約について細かく確認し、本当に必要なのか判断しましょう。医療保険は公的な制度でカバーできる部分もあり、生命保険は子どもの成長に伴って必要な補償額は変化します。

携帯電話は格安SIM会社に加え、大手キャリアでも格安プランが出てきています。家族で乗り換えれば大幅な通信費の節約につながります。

サブスクはいったん契約してしまうと、そのまま契約しつづけることが多いもの。たいして利用していないのに、ズルズル契約を続けてしまう方もいるのではないでしょうか。

サブスクの利用状況を冷静に見直して、支払う金額に見合うほど使っていない場合は、思い切って契約を解除しましょう。必要になった時が来たら、また加入すればよいだけの話です。