転職を考えている人にとって、どのタイミングで会社を辞め、新たな職場に移るかというのは悩ましいテーマだろう。年齢が若いうちの方がフットワークよく動けるが、ある程度年齢を重ねた方が自身の経験を活かせるかもしれない。

ましてや管理職ともなれば会社での責任も重く、転職に際してはより慎重な判断が求められる。それだけに、結果としてその転職が成功だったか否かは、大いに気になるところだ。

  • 管理職以上になってから転職をしてよかった?

そこで今回は、管理職以上になってから転職をしたことがあるマイナビニュース男女会員503人を対象にアンケート調査を実施。「管理職以上になってから転職をしてよかったと思うか」などを聞いた。

  • 管理職以上になってから転職をしたことはありますか?

Q.管理職以上になってから転職をしたことはありますか?

「はい」(73.5%)
「いいえ」(26.5%)

  • 管理職以上になってから転職をしてよかったと思いますか?

Q.管理職以上になってから転職をしてよかったと思いますか?

「はい」(91.8%)
「いいえ」(8.2%)

Q.転職をしてよかったと思う理由を具体的に教えてください

■「部長」

・「自分のやりたいようにやれるポジションになった。人の管理をしなくてよくなったから」(72歳男性/千葉県)
・「プロジェクト全般に関わっていたので、細部の失敗までその原因を把握していた。その経験がまるまる活かせた」(50歳男性/東京都)
・「責任も重くのしかからなくなって気が楽になり、何より体調が元に戻って気分も軽くなり、仕事に集中できるようになったので」(63歳女性/埼玉県)
・「役職定年でも残る道はあったが、それでは一般社員待遇で退職金も減額される。転職先では幹部社員として迎えられ、給与の減額もわずかだった」(42歳男性/静岡県)

■「課長」

・「給料が増えて仕事の量が減って、体調がよくなりました」(39歳男性/静岡県)
・「給料は下がったが、楽しみながら仕事をできる」(66歳男性/栃木県)
・「立場も給料もさほど変わらないが、仕事量が減った」(42歳男性/埼玉県)
・「小さい組織の管理職よりも、大きな組織の一般職の方が待遇が良い」(44歳男性/埼玉県)
・「前職より大きな会社に入って給料もあがり、福利厚生もしっかりしてるから」(44歳男性/福岡県)
・「前の会社より待遇が良く、自分を高く評価してくれるから。また、会社の雰囲気もよく働きやすい」(52歳男性/大阪府)
・「管理職の能力は、他人から見て推し量りづらいものである。経験してからの転職はアピールしやすい」(41歳男性/山形県)
・「会社勤めより、よい環境で働けるようになった。かつての発注者サイドに転職したので、前職の各社を管理監督する立場になった」(70歳男性/東京都)
・「収入が増えて、好きな企業と好きな業界に入社することができ、収入が安定してよくなった」(54歳女性/東京都)
・「一般社員だが、給料は前とほとんど変わらず責任もないのでとても楽です」(44歳男性/茨城県)

■「課長代理」

・「本当にやりがいを感じる仕事ができている」(28歳男性/大阪府)
・「体力的にも精神的にもゆとりができた(経済的にはゆとりは無くなったけど)」(56歳男性/長野県)

■「係長」

・「精神的に楽になった」(44歳男性/佐賀県)
・「就職先を見つけるのは大変でしたが、どうにか創業して間もない会社に転職できたことがキッカケで、自分の意見が自由に言えるように。転職できてからは仕事の幅も広がり、初めて新しいことにも積極的に挑戦できるようになりました。社員の希望も意外と聞いてもらえることが増えて、他の社員も生き生きと仕事に身が入り、業績も徐々に上がり始めています」(54歳男性/富山県)

■「店長」

・「週休二日制で、定時には帰れるようになった」(53歳女性/三重県)
・「以前より大きい会社へ転職して、規模の大きさややりがいを感じることが出来た」(45歳男性/福岡県)

■「マネージャー」

・「経験を積めたので、人使いなど悩まず実行できました」(63歳男性/大阪府)
・「最終的に前の会社は同業他社に吸収され、人員整理があったから」(59歳男性/神奈川県)

■「その他」

・「副店長:今の店の方が自分に合っている」(46歳男性/東京都)
・「営業所所長:現在は管理職ではないので、気が楽になりました」(62歳男性/大阪府)
・「支配人(課長職相当):どうせ休みなく働かされるなら、裁量が多い方が開き直れて良かったです。ただし薄給なのはあまり変わりません」(歳49男性/神奈川県)
・「事務局長:経験を活かすことは仕事の仕方くらいでした。民間企業の厳しさは学べ、取り組みが結果となって現れやすかった」(56歳男性/愛知県)
・「生産管理部長:フリーランスになってからは時間に融通が利くので、ライフアンドワークのバランスが良くなり、充実した毎日を過ごせるからです」(52歳男性/大阪府)

Q.転職をしてよかったと思わない理由を具体的に教えてください

■「課長」

・「人間関係に苦労、給料が安い」(49歳男性/和歌山県)
・「給料がかなり下がってしまい、生活が不安定になった」(50歳男性/長野県)
・「新しい環境が想像していたものとはかなり違ったので、転職は失敗した感じがします」(48歳女性/埼玉県)
・「これまでの成功体験に引っ張られる」(30歳男性/兵庫県)

■「その他」

・「副部長:給与が下がった」(60歳男性/新潟県)
・「取締役:やはり年収がだいぶ下がった。但し、休み自体は増えた」(44歳男性/千葉県)
・「病院 看護師長:現場業務から管理職となり、本来の自分の看護師としてのやりがい(患者さんへの直接援助・コミュニケーション)から外れた。管理業務に追われ、うつ病にもなり、看護師としての仕事ができなくなった」(56歳男性/石川県)

■総評

調査の結果、これまでに管理職を経験したことがあるマイナビニュース会員のうち、管理職以上になってから転職をしたことがある人は4分の3に近い73.5%となった。

管理職以上になってから転職をしてよかったと思うかを聞いたところ、91.8%と大多数の人が転職を肯定的に捉えていることがわかった。

転職をしてよかったと思う理由と、よかったとは思わない理由をそれぞれ聞いた。まず、よかった理由としては、シンプルに「給料が増えた」というものが目立った。また、「やりたいと思っていた仕事に就けた」「自分への評価が上がった」などもあった。

印象的だったのは、「給料は下がったが、心身が楽になった」といったコメントが散見されたこと。「重い責任から解放され、体調が良くなった」「収入は減ったが、楽しみながら仕事ができる」など、金銭面を多少犠牲にしてでも、心の安寧や仕事のやりがいを求めて転職したというケースだ。中には、「管理職から一般社員になったが、精神的に楽になった」というものもある。前職での管理職のポジションを捨ててでも転職したかったということだろう。

一方の、転職をしてよかったと思わない理由は、母数は少ないものの、やはり「給料が下がった」というものが多い。その他、人間関係や職場環境、業務内容などが想定と異なっていた、というものが見られた。

今回のアンケートでは、管理職以上になってから転職をした人の大部分が、その転職をしてよかった、と感じていることがわかった。肯定的に評価する理由は収入面をはじめ、待遇や人間関係、仕事のやりがいなどさまざまだが、何よりも精神的・体調的に楽になった、というものが印象に残った。今後の転職を考えている人は、ぜひ参考にしてみてはいかがだろうか。

調査時期: 2021年2月17日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 503人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません