京王電鉄は、昨年10月31日に京王線を走行中の車内で発生した傷害事件を受け、今後の対策について発表した。2023年度末までをめどにリアルタイム伝送機能を持つ防犯カメラを全車両・全駅に設置するほか、同種事件の未然防止に向けた取組みも実施する。

  • 京王電鉄が京王線車内傷害事件を受けた今後の対策について発表

リアルタイム伝送機能を持つ防犯カメラの設置に関して、車内や駅構内の非常時における状況把握に課題があったとの反省から、従来から進めてきた車内防犯カメラをリアルタイム伝送機能を持つ仕様に変更し、全車両への導入を引き続き進めることとした。ホーム上に設置する防犯カメラも同様の仕様とする。あわせて曲線ホームなど一部の駅に設置している車掌確認用モニターについても、カメラを終日稼働させるという。

車内非常時の避難誘導態勢も見直し、列車の走行中に複数の車内非常通報装置が押され、その内容が確認できない場合は、防護無線などで他の列車を停止させるとともに、車内放送で注意喚起を呼びかけた上で、最寄り駅に停車することを基本とする。最寄り駅に緊急停車した際、ホームドアと列車のドアがずれていた場合でも、ホームドアと列車のドアの両方を開け、避難誘導を行うこととする。

車内非常通報装置、車両ドアコック、ホームドア非常開ボタン、ホームドア車両間扉といった非常用設備の認知度向上にも取り組み、ピクトグラムを活用した表示方法などで視認性を高めるほか、車内・駅構内でのモニター放映、駅・車内のポスターなどで取扱い方法を周知するという。非常用設備の操作体験会なども計画する。

事件発生翌日から緊急対策として実施している駅構内の巡回強化や、有料座席指定列車「京王ライナー」および特急で実施している警戒添乗は当面継続する。非常事態の発生を想定した警察との合同訓練等も引き続き実施する。飛田給駅でホームドアを使用した暴漢対応訓練も実施予定とのこと。