内閣府による、日本を含めた7カ国の満13~29歳の若者を対象とした「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成30年度)」によれば、日本の若者は諸外国の若者と比べて自分を肯定的にとらえている割合が非常に低いことがわかります。

  • 自信がないあなたに送る。あっという間に「自信」がつく、7つの心理学メソッド /心理カウンセラー・中島輝

「自分自身に満足しているか」という問いに対して「満足している」と答えた日本人はわずか45.1%。トップのアメリカが86.9%であり、他の5カ国のいずれも70%を超えています。つまり、日本人の多くが、外国人と比較すると極端に「自信がない」のです。どうすれば自分に自信を持つことができるでしょうか。日本における自己肯定感研究の第一人者である心理カウンセラーの中島輝さんが、「あっという間に『自信』がつく7つの方法」を教えてくれました。

■自信を失う要因は、過去の失敗との向き合い方

自分に対して自信がないという人は、自分を信じられないからこそ、なにをするにもネガティブ思考であり、自分はもちろんあらゆることのネガティブな側面ばかりを見てしまう傾向にあります。

そうなることには、過去の出来事との向き合い方が大きく影響しています。自分に自信を持てなくなることの大きな要因は、過去に経験したなんらかの失敗が関係しているのです。

過去の失敗とうまく向き合える人の場合は、「あの失敗があったからこそいまの自分がいる!」「こういう人生を歩めている!」というふうに、過去の失敗を自分の成長や幸せの糧にすることができます。そうして、失敗を自信に変えていけます。

一方、過去の失敗とうまく向き合えない人の場合、怒りや憎しみといった負の感情で失敗をとらえるため、失敗を自信に変えていけません。つまりは、未来を向いて生きていくことができないのです。

過去の失敗に対していつまでもくよくよと考えている人は、過去をいいかたちできちんと消化できていないという状態にあります。そのため、過去ばかりに目が向かって未来を向くことができず、人生をいい方向に向かわせることが難しくなります。

■人間は、そもそもネガティブ思考をする生き物

もちろん、そんな状態は避けたいでしょう。そこで、自信を失っている人が自信をつける方法を紹介します。その方法とは、次の7つです。順に解説していきましょう。

【あっという間に自信をつける方法】
1.「自分はできる」と自分にいい聞かせる
2.「失敗は成功のもと」と思う
3.自分のいいところを3つ探す
4.ポジティブで楽観的な心を持つ
5.「できる・できない」ではなく「やる・やらない」でジャッジする
6.「恐怖」をありのままに受け止める
7.「肯定語」を話す

1.「自分はできる」と自分にいい聞かせる
ひとつ目は、「『自分はできる』と自分にいい聞かせる」ということ。これには、わたしたちの思考の癖というものが関係しています。人間は、1日に6万回も思考しているといわれていますが、そのうちじつに4万5000回がネガティブな思考だというのです。

それは、人間の防衛本能です。ただ道路を渡るにも、「もし車が来たらどうしよう…」というふうに考えるからこそ事故に遭うことなく自分の命を守れます。でも、ネガティブ思考が一切なかったとしたらどうでしょう? その人は、なんらかの事故や事件に巻き込まれ、寿命をまっとうすることなく命を落としてしまうという可能性が高いはずです。

つまり、生存のためにそもそも人間はものごとをネガティブに考える生き物なのです。

でも、このことが、自信をつけるという意味においては障壁となります。なにかにチャレンジするときにも、放っておけば「できなかったらどうしよう…」と考えます。だからこそ、ことあるごとにあえて意図的に「自分はできる」と自分にいい聞かせましょう。

2.「失敗は成功のもと」と思う
これは、先にお伝えした、「過去の失敗との向き合い方」です。ひとつも失敗のない人生などあり得ません。どんな人でも多かれ少なかれ失敗をしていますし、今後の未来にもいくつもの失敗をしていきます。

そうであるなら、その失敗を役立てていくことを考えましょう。よくいわれる話ではありますが、「失敗は成功のもと」に他なりません。失敗があるからこそ、「今度はこうすればうまくいくはずだ!」と考え、成功を摑むことができるのです。あるいは、「失敗は成長の証」ともいえます。失敗なき人生には成長もありません。

そのように失敗をとらえることで、失敗を成長につなげ、自信に変えていくことができます。

■意図的にポジティブな側面をとらえ、楽観的な心を持つ

3.自分のいいところを3つ探す
冒頭に述べたように、自信を失っている人には、自分を信じられないがゆえになにをするにもネガティブ思考であり、自分はもちろんあらゆることのネガティブな側面ばかりを見てしまいがちだという特徴があります。しかも、人間の思考の癖によってそもそもわたしたちはネガティブ思考に偏りがちです。

そうであるなら、やはり意図的にポジティブな側面に目を向けることが肝要です。自信がない人は、自分自身に対しても「自分は駄目な人間だ…」と無意識のうちにもネガティブにとらえます。そうではなく、「自分のいいところ」を見つけてみましょう。

そういっても、それこそ自信がない人は、「自分にはいいところなんてないよ…」と思うかもしれませんが、どんなに些細なことでもいいのです。おなかが減ったなら「自分の胃腸はきちんと働いてくれているぞ!」だとか、そんな程度でも構いません。そういう小さなことからはじめて、徐々に自信を取り戻していきましょう。

4.ポジティブで楽観的な心を持つ
これは、3つ目の「自分のいいところを3つ探す」にも通じるものです。人間は基本的にネガティブ思考である一方で、じつは、一度ポジティブなところに目を向けると、どんどんものごとのポジティブなところを探し続けるという特徴を持っています。

これは、「その人が持つ関心事についての情報を集めることに鋭敏になる」という、脳の「網様体賦活系(もうようたいふかつけい)」と呼ばれる機能によるものです。つまり、ネガティブなことに関心を持てばネガティブな情報を積極的に集め、ポジティブなことに関心を持てばポジティブな情報を積極的に集めるのが脳の特徴なのです。

だからこそ、自信を持つために、意識してポジティブで楽観的な心を持ちましょう。そうすれば、思考がポジティブになっていき、自信を持つことができます。

■「やる・やらない」で判断し、「やる」をチョイスする

5.「できる・できない」ではなく「やる・やらない」でジャッジする
自信を持てていない人は、つい「できる・できない」という基準でものごとを判断しがちです。自信がない人が、たとえばこれまでに経験がないことや過去に一度失敗したようなことにチャレンジするというときに「できる・できない」で判断するとどうなるでしょうか?

おそらく、「自分にはできないだろう…」と考える可能性が高いでしょう。そうすると、チャレンジをする前からあきらめているのですから、成功体験を積むことなどできませんし、その成功を通じて自信を得ることもできません。

そうではなく、「やる・やらない」で判断し、そして「やる」ことを選んでください。もちろん、その結果として失敗に終わることもあるでしょう。でも、その場合には、先にお伝えしたように「失敗は成功のもと」と考えればいいだけのこと。とにかく「やる」ことを意識してほしいと思います。

6.「恐怖」をありのままに受け止める
自信がない人は、なにをするにも「できなかったらどうしよう…」といった不安や恐怖を感じます。でも、恐怖とは自分の外側にあるからこそ怖いと感じるものです。「怖い怖い怖い…」とただ思っているだけでは、恐怖は自分の外側にあり続けます。

そうではなく、「わたしは怖いと思っていることを知っている」「怖いと思っている自分がここにいる」というふうに自分にいい聞かせ、恐怖を感じている自分を客観視しましょう。そうすると、「怖い怖い怖い…」というふうに恐怖だけに向かっていた視野が広がり、恐怖を自分の内側に入れることができます。

恐怖を感じていることは事実ですが、その事実を自分の内側で受け止めることで、恐怖とともに歩んでいく自信を手にできます。

7.「肯定語」を話す
最後の7つ目です。自信を失っている人は、「駄目」「無理」「できない」というふうにとにかく否定的な言葉を使いがちです。そんな言葉の発信者である自分のいちばん近くにいるのは誰でしょう? それは、自分自身です。自分の発する言葉を、誰よりも早く強く受け取っているのが自分なのです。

そのため、否定的な言葉ばかりを使うということは、自分の思考を否定的な方向に導くことに他なりません。

では逆に、肯定的な言葉ばかりを使ったとしたらどうでしょうか? 自分の思考を肯定的な方向に導けるということです。でも、自信がない人がその言葉をいきなり変えることは難しいでしょう。そこで、否定的な言葉を使ってしまったときには、まずは楽観的な言葉を使ってみてください。

「駄目だ…」「できない…」と考えたなら、「でも、なんとかなるかも」「ま、できなくてもいっか」という具合です。それを繰り返していくうち、いずれはもっと肯定的な言葉を使うことができるようになり、自信を手に入れることができると思います。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 取材・文/清家茂樹 写真/川しまゆうこ