女優の安藤サクラが、NHKの連続テレビ小説『まんぷく』(2018)のチームと再びタッグを組んだドキュメンタリータッチの旅ドラマ『旅屋おかえり』が、BSプレミアムで1月25日~28日(各日19:00~19:30)に4夜連続で放送される。偶然にもロケ地が、安藤と夫である柄本佑とが出会った場所の秋田と、姉で映画監督の安藤桃子が移住した高知ということで「すごく縁のある場所です」と驚いたそうだ。

  • 旅ドラマ『旅屋おかえり』で“おかえり”こと丘えりか役を演じる安藤サクラ

原作は原田マハの同名小説で、安藤が演じるのは、仕事で大失態をしてしまった元アイドルの“おかえり”こと丘えりか役。彼女が、依頼者の思いを背負って各地に出かけ、現地をレポートしていくというドラマで、脚本の台詞プラス現地で安藤が感じた生の声も入るというユニークな撮影方法がとられた。

「しっかりしたドラマでありながらも、旅先で感じた生の美しさを視聴者の方が一緒に体感できる部分がないといけない。実際、その場所に行ってみないとその土地の気候や自然が持っている魅力はわからないので、脚本の長田(育恵)さんや監督と相談しつつ、その場で見て自分が伝えたいと思ったことを優先させることになりました」と言う安藤。「だから、準備して行けるものではないし、自分の言葉で伝えなければいけないので、すごく緊張しました。でも、私自身がその場所を心から楽しみ、感動していれば、きっと伝わるだろうと思いました」と振り返る。

第1回・第2回が「秋田編」、第3回・第4回が「愛媛・高知編」。秋田については「私ってわりと秋田通なんです」とおちゃめにと言う。「もともと、原作に秋田と四国の両方が入っていますが、夫と出会った場所が秋田ですし、あきた十文字映画祭には度々行かせていただいてます。私はハタハタ漁もしたことがありますし、ナマハゲの取材もしているから、もしかして秋田の方よりも、秋田っぽいことをやっているかも(笑)。家では秋田の麹を使って甘酒を作ったり、毎年、年末には秋田のきりたんぽ鍋を食べています。まるで秋田に親戚がいると錯覚を起こしてしまうくらい秋田のファンです」と秋田愛を炸裂させた。

また、高知についても「姉の移住先なので、ものすごく身近な場所です」と関わりの深い場所だと明かし、「でも、今回ドラマで行ったような場所には行ったことがなかったので、いい経験がたくさん待っていました」と話した。

実際に映像を観ると、ロケ地での出会い一つ一つをとても感性豊かに捉えているおかえりを見て、ほっこりした気分にさせられる。特に、地元の郷土料理である鯛めしや比内鶏の親子丼などをおいしそうにほおばる安藤の姿が印象的だ。

「本当においしいんです! 食レポは確かにわかりやすいかもしれない。もちろんベースとなる台詞は描かれていますが、自分が食べていて、本当に感じた言葉も交えながら、レポートをしています」と屈託ない笑みを浮かべる安藤。

おかえり役を演じるにあたり、旅番組などを参考に役作りをしたのか? と聞くと「そこは特に……」と言いつつ、「最初におかえりが、どういうタイプのタレントさんなのかと話し合ったなと、今思い出しました。誰かを模写することはなかったのですが、実はもともと、ロケ地などのレポートを、勝手に旅番組風やアイドル風にやって楽しんだりしていたんです(笑)。別にそれを外に出すわけでもないのに、勝手にやっていましたが、それを今回活かせるかなとは思いました」と言ったあと、実際に声色を変えて、旅レポのプレゼンをして見せてくれた安藤。

さらに、「企画書におかえりが元アイドルと書いてあったのを見て、マネージャーさんに『やったあ! やっとやりたかったアイドルの役ができる』と言ったくらいですから。でも、実際におかえりは、あまりアイドル感のないキャラクターでした(笑)。また、旅のレポートについては、うちの母が昔、テレビでやっていたのをずっと観ていたので、楽しくタレント気分でできました」とうれしそうに話してくれた。

スタッフが、朝ドラで1年間組んだ『まんぷく』のチームなので、盤石な信頼関係が築けていた。「みなさんとは気心が知れていて、なんでもすぐに分かち合えるから、楽しく撮影できました。おかえりが自撮りをするシーンは、私自身も自分で撮ってはいるんですが、カメラマンの方がまるで私の手のように撮ってくれているんです。その画は、1年間やってきた一心同体の信頼関係があったからこそ撮れたものだとも思ってます。もう何も言わずとも、ウィンク1つで分かち合えるという最高のチームです」

シリーズ化も見越している本作では、現在、番組ホームページにて、次のロケ地候補に関連するキャンペーンも開催中だ。安藤はとてもリラックスして撮影できたそうで「私自身もいろいろなところへ行くなかで、丘えりかと共に、変化や進化をしていけるんじゃないかと感じてします」とのこと。コロナ禍で旅行に行きづらい今だからこそ、ぜひこの番組で旅気分を味わってほしい。

■安藤サクラ(あんどう・さくら)
1986年2月18日生まれ、東京都出身。2007年俳優デビュー。映画『百円の恋』(2016)、『万引き家族』(2018)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。2018年にはNHK連続テレビ小説『まんぷく』でヒロイン・福子を演じ、エランドール新人賞を受賞。同年公開された主演映画『万引き家族』はカンヌ映画祭にてパルムドールを受賞し、国内外で数々の主演女優賞を受賞した。藤沢周平原作の映画『殺すな』が1月28日公開、平野啓一郎原作の映画『ある男』が2022年公開。

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