テレビやラジオ、雑誌などに出演するほか、執筆業でも活躍している宇垣美里。大の漫画好きとして知られ、『週刊文春』の連載「宇垣総裁のマンガ党宣言!」では、独自の目線で選りすぐった漫画の魅力を紹介している。漫画から多くのことを学び、生きる力をもらっているという宇垣に、漫画の魅力を聞くとともに、執筆業のやりがいも聞いた。

  • 宇垣美里 撮影:仲西マティアス

「両親が読書家で家に本がたくさんあり、読むものに困ったことはなかったです」。両親の影響で読書家になったという宇垣。漫画との出会いは小学生のとき。「お小遣いで『りぼん』を買っていて、妹が『ちゃお』、友達が『なかよし』を買っていたので、シェアしていました。そこから漫画が好きになり、たくさん読むようになりました」と明かす。

そして、漫画は宇垣の人生と切り離せない大切な存在に。「物語の主人公や登場人物の振る舞い、言葉に支えられて生きているなと思います。特に漫画は世相を反映するものだと思うので、世の中のこういったことに傷つけられたという気持ちを昇華する漫画が多く、とても救われています」と漫画への思いを語る。

好きな漫画は、多様性を描いた作品だという。「『自分とあなたはこんなにも違って、こんなにも分かり合えない部分があって、それでも一緒に生きるために頑張る』という作品がすごく好きで、そういう作品を読むと元気が出ます。分かり合えないことは誰だってあるのだと思えるし、ある種の諦めを抱いていいのならば生きていけるという、そこに気づけたのは漫画が大きい役割を担っていると思います」。

特に大きな影響を受けたのが『美少女戦士セーラームーン』。この作品を見て育ったことで、「自分の力で生きていないと楽しくない」という思いが根底にあるのだという。

「幼稚園のときから『セーラームーン』を見て育ち、女の子が戦って自分の大切な人や生きている場所を守るということを刷り込まれたので、自分の力で生きていく意識が強くなったのだと思います。友達も同じものを見ていた影響なのか、自分の足で立って生きていくという人が多いです」。

また、自身の性格について「子供の頃から、納得していないことはできない性格でした」とも明かし、「理由がちゃんとあればできるけれど、なんだかよくわからないことはやりたくないという、昔から気難しい子だったと思いますが、ちゃんと説明してくれる両親や教師に恵まれていました」と語った。

昨年12月には、「宇垣総裁のマンガ党宣言!」をまとめたコラム集『今日もマンガを読んでいる』を発売。連載で紹介した漫画54作品の評に加え、宇垣が敬愛する作家・恩田陸氏との対談や、TBSアナウンサー時代に執筆したエッセイ「拝啓、貴方様」も収録している。

宇垣は「いつの間にかこんなにたくさんの漫画を取り上げていたんだなってびっくりしました。どれも大好きで、その時々に勇気をもらった作品ばかりなので、好きな作品がギュッと詰まっている宝物だなと思います」と愛情たっぷり。

「漫画が大好きという方にも、あまり漫画を読んでこなかったという方にも読んでいただきたいなと。幅広いジャンルの漫画を取り上げているので、読みたくなる作品があると思います。特別な一冊がきっと見つかると思うので、お手に取っていただけたら嬉しいです」と語っている。